こんにちはtorajiroです。
先日K-1で女子の単独興行が行われ、ラウンドガールにユリアンレトリバーさんが現れて会場を盛り上げていましたが、ボクシングでも5大タイトルマッチというゴージャスな女子興行が開催されました。
女子ボクシングの魅力を発信する事を意識した形にてこの興行の観戦記をお届けします。
今回はBOXING RAISEの生配信で観戦。
全国各地の様々な試合を届けてくれるのでボクシングファンにとっては有難いコンテンツです。
女子フライ級4回戦 福家由布季(三迫) VS 岡田萌子(EBISU)
1戦1勝の岡田選手は表情に気合が入っている。
岡田選手この1勝は先日定年延長を賭けてガチコ萩生田選手と戦ったアダムスハナコ選手。
この試合がデビュー戦の福家選手は柔道出身らしく体が強くてどっしり。
デビュー戦は顔面への攻撃に集中しがちで中々ボディは打てないものなのですが、福家選手はインサイドに頭を入れてしっかりボディ打ちから組み立てていました。
岡田選手としたらもっと動いてジャブをついて突き放したかったと思いますが、福家選手の前進を止められずペースを取られてしまいました。
判定は3対0で福家選手の勝利。
フルマークのジャッジもいてポイント差は開きましたが福家選手もパンチはもらっていたので試合後の顔は結構腫れていました。
しかしパンチもらっても全く体がブレないので凄いフィジカル。下半身が強かった。
福家選手に勝てる女子ボクサーは少ないかも。
女子アトム級4回戦 森麗子(DANGAN越谷) VS 安部エミリー(花形)
この試合は一進一退。
ボクシングは森選手の方がやや上手いと思いましたが、安部選手は積極的に手を出してやや攻勢。
安部選手はリーチもあるしもっとジャブを突いていけばとも思いましたが、ここまで2戦2敗。
試合前の表情からも絶対に何がなんでも勝つという覚悟を感じました。
何としても勝ちたい気持ちで前進を続け、各ラウンド少しずつの差でポイントを取っていきました。
2R目中盤に安部選手がポンポンと突いたジャブは良かったので、初勝利をゲットして次の試合では自分の特徴も活かしたボクシングをして引き出しを増やすのもありかなと思いました。
女子ミニマム級4回戦 前原香那枝(三迫) VS 鵜川菜央(FLARE山上)
ワタナベジムから移籍の看護師ボクサー前原選手。ワタナベジムの看護師ボクサー率が高いのは何故でしょうね?
対するはデビュー戦で素晴らしいフットワークとカウンターを見せた鵜川選手。
この試合も鵜川選手は天才的な動きを披露。
解説の吉田さんと花形さんが2人揃って「何かやっていたのかな。動きが武道っぽい。」と語っていましたが、鵜川選手の動きには無駄がない。
リングインしてリング上を歩いているだけで風格を感じる。
高岡英夫氏の身体操法を極めたらこんな動きが出来るのでしょうか。
試合は前原選手が前に出るところを鵜川選手がジャブで突き放したりバックステップを使いながら右を打ち込んでいく展開。
前原選手も拳の固そうなパンチを振っていましたが鵜川選手の綺麗なボクシングが光りました。
鵜川選手は先々日本を代表するボクサーになる予感大。今から注目です。
前原選手は看護師ボクサーで夜勤の時には早い時間に来て練習していると紹介がありましたが、その精神力は尊敬します。表情からも誠実な人柄を感じました。
WBO-APアトム級王座決定8回戦 山中菫(真正) VS 狩野ほのか(オークラ)
鵜川選手の試合で女子ボクシングのレベルの高さを感じた直後に今度は山中選手。
サウスポースタイルからファイティング原田さんのようなゴム鞠のように弾むようなフットワークにマイクタイソンのようなダッキングからの素早い上下のコンビネーション。
1R目から左ストレートでダウンを奪い、その後も狩野選手の打ち終わりを狙った右フックも素晴らしかった。
狩野選手は山中選手のスピードに対処出来ず持ち味を出せなかったと思います。
本来もっと力強いパンチを打てるはずですが、序盤のダウンでペースも崩してしまったでしょう。
山中竜也選手の妹という事でデビューから注目されていた山中菫選手ですが、兄、妹で世界チャンピオンになる時はそう遠くないでしょう。
一気に世界まで駆け上がるはずなので目が離せません。
山中菫選手は複数団体のベルトを手にして世界的に有名なボクサーになると予言します。
日本女子フライ級王座決定6回戦 晝田瑞希(三迫) VS 柳井妃奈実(真正)
キャラ立ちっぷりが半端ない晝田選手の初タイトル戦。
晝田選手は後楽園ホールの客席にいてもその存在感が半端ないです。
入場時の衣装もド派手ド派手。1日レンタルしたら10数万はかかるだろう衣装。
強烈な個性のアマチュアエリート。
柳井選手も同じくトップアマからプロになった選手。
この試合は晝田選手のフットワークが冴えまくり、自在に動いてスピードのある左を突き刺して柳井選手を完封。
柳井選手はもう一歩距離を縮めたところでパンチを打ちたいが、その一歩手前からパンチを打たれ、距離を詰めようとしたら足を使われ、突破口を掴めぬままに最後まで行ってしまいました。
晝田選手の個性は3150FIGHTからもオファー来るのではないか。
セコンドが来ていたTシャツも個性的でした。
OPBF東洋太平洋アトム級王座決定8回戦 松田恵里(TEAM10COUNT) VS 長井香織(真正)
この試合は松田選手と長井選手との運動能力の差を感じました。
様々なスポーツを経験してきたという松田選手は体の使い方が上手でどんなスポーツをやっても結果を出せそうに思います。
サウスポーの松田選手に対する長井選手は真正ジム所属。
真正ジムと言えばアマチュア上がりのテクニシャンなサウスポーが豊富にいるし、同じ興行に出場するサウスポーの黒木選手も真正ジムでトレーニングを積んでいるので、サウスポー対策はしっかりやってこれたでしょう。
右ガードを顎の前に置いてノーモーションの右を打つ場面もありましたが、松田選手を崩すには至りませんでした。
3対0の大差の判定で勝利した松田選手の次戦は世界戦でしょうかね。
IBF世界アトム級タイトルマッチ10回戦 宮尾綾香(ワタナベ) VS 岩川美花(姫路木下)
長年トップ戦線で女子ボクシングを引っ張ってきた宮尾選手と岩川選手の一戦。
岩川選手は腰をがっちり入れ込んで一発一発ためのある強いパンチを打ち込む。
宮尾選手は腰を入れるというよりは腰を乗せた感じの柔らかい動き。
この試合、宮尾選手は終始やりづらそうで相性の悪さを感じました。
右スイングで切り込むも距離が合わずクリーンヒットを奪えない宮尾選手に対し、要所要所で的確な強い左を当てていたのは岩川選手でした。
ベルトダッシュに歓喜の岩川選手。動きもキレキレでした。
宮尾選手は機動力を活かしたボクシングが今日は見せられませんでしたがまだまだ全く衰えを感じないボクシングでした。今回は相性ですね。
WBO世界アトム級タイトルマッチ10回戦 鈴木菜々江(シュウ) VS 黒木優子(YuKO)
5年振りのベルトを狙う黒木選手は気合が入っていました。
前に出る鈴木選手に対し、黒木選手は右手を伸ばして距離を測って左カウンター。
右でいなして鈴木選手が強引に入って頭が下がったところに左を当てるボクシングが最後まで機能していました。
黒木選手は序盤からフットワークが冴え、流石に後半は失速するだろうと思って見ていましたがペースを落とす事なく最後まで戦い抜きました。
インターバル中もゾーンに入った感じ。
敗れた鈴木選手はどこか悲壮感が漂っていて、サウスポーに対する苦手意識なのか、ぐいぐい前に出ていましたが表情が冴えませんでした。やりづらかっただけか、どこか調子が悪かったのか。
まとめ
おそらく女子のボクシング興行としては今年最大規模だったであろう5大タイトルマッチ興行。
この興行で世界戦を凌ぐ程の勢いで存在感を示したのは晝田選手、山中選手、鵜川選手といったまだ若い選手達でした。
- 鵜川選手のリング上でのオーラ。
- 山中選手の圧倒的な実力。
- 晝田選手の実力もさることながらその個性。
いずれも眩しい輝きを放っており、近い将来の女子ボクシングの爆発を予感させました。
3150FIGHTも今後女子ボクサーを出していく計画がありますが、鵜川選手、山中選手、晝田選手はハズレなしと強く推薦します。