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ボクシングの減量失敗、怪我等の棄権は本当に増えた?10年前との比較

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。

こんにちはボクシングブロガーのtorajiroです。

最近ボクシングの試合おいて減量失敗や怪我による棄権が増えているなと思い、2022年と2012年の月毎の興行数と選手の棄権数を比較してみました。

ボクシングモバイル様の試合結果を元に算出したのですが、調べるのが大変過ぎて比較したのは1月〜5月までの5ヶ月間のデータとなります。

2012年1月〜5月の興行数と棄権数

ボクシング興行において選手の減量失敗による試合中止は国内外問わず近年は当たり前のように耳に入ってきます。

昔はタブーとされていた減量失敗が日本でもチラホラと聞こえるようになったのは2010年代辺りから徐々にでしょうか。

減量失敗に限定せず、試合の棄権数をカウントしたところ、2012年のデータは以下の結果となりました。

興行数棄権試合数
1月72
2月102
3月216
4月292
5月148
ボクシングモバイル様の試合結果を元に集計

2012年はまだ自分が現役だった時に一緒に練習していた選手がたくさんまだ試合をしていた時期なので頻繁に後楽園ホールに足を運んでいましたが、当時から水抜きの失敗による体重超過はありました。

個人的な実感としては棄権者数はもっと少ないと思っていましたが、毎月数人は棄権する選手がいるという状況だったようです。

5月は新人王トーナメント途中の怪我による棄権と思われるものが多かったです。

2022年1月〜5月の興行数と棄権数

では続いて2022年1月〜5月の興行数と棄権数を見ていきます。

興行数棄権試合数
1月34
2月87
3月143
4月2316
5月1211
ボクシングモバイル様の試合結果を元に集計

こうしてみると全体的に興行数自体が減っており、それと反比例して棄権試合数は増えていることはわかりますが、1〜3月に関しては目立って増えているとまでは言えないかもしれません。

特に2月の棄権試合数に関してはコロナ感染の影響が非常に大きく、コロナの要因を除いた数字で見れば2012年と2022年の1〜3月の数字に関しては目立って棄権者数が増えたとは言えません。

ただ、4月以降の数字に関しては突出しています。

  • 4月は23の興行があり16試合で棄権者が発生。
  • 5月は12の興行があり11試合で棄権者が出ています。

大半の試合において誰かしら棄権者が出ていたという事になります。

これは2012年の統計と比べても突出した数字です。

特に悲惨なのは新人王トーナメントの棄権

2012年と2022年とでは出場選手の数が全然違うので、棄権者が出た時の興行に与えるダメージが尋常ではありません。

  • 2012年であれば15試合予定されていたうちの2試合が中止。
  • 2022年は7試合予定されていたうちの3試合が中止。

2012であれば2試合中止になっても13試合分は楽しめました。

torajiro

チケットも3,000円の席とかあったよね。

2022年は新人王トーナメント予選で予定されていた試合数が7試合で3試合が中止となる興行がありました。

わずか4試合で最安チケットでも5,000円

会場によってはプラスでドリンク代も。

torajiro

エンタメとしては完全に崩壊しています。。

2022年4月に棄権数が激増した原因

続いて何故2022年の4月に棄権者数が激増したのか原因を考えた時に、一要因として4月22日の谷口将隆選手と石澤開選手のWBOミニマム級タイトルマッチでの石澤選手の体重超過があると個人的には考えています。

科学的根拠はありませんが、大きな試合での体重超過があると、その年の体重超過等による試合の棄権者数が増える傾向が過去にもありました。

2018年はルイス・ネリ選手が大幅な体重超過を起こした事で減量失敗が取り沙汰された年でしたが、この年の9月に比嘉大吾選手も計量失敗で世界のベルトを剥奪されており、1年間で11名もの選手が体重超過によってJBCに処分される異例の年でした。

>>計量失敗、体重超過したボクサー達のその後

2022年は5月の興行においても選手の棄権による試合中止が相次ぎ、2018年と同じように大きな興行で計量失敗があり、その後の興行でも体重超過が続く状況になりました。

試合中止から選手を守る必要性

2022年4月の棄権数を見ると、ここまで棄権者がいる以上は対戦予定だった選手を守る仕組みの必要性を感じます。

例えば旅行であればキャンセル規定があり、1週間前だと50%、直前だと100%負担と、キャンセルしても費用負担を負いますが、ボクシングの試合においては棄権した側に費用負担義務が発生する事はありません。

棄権した側に費用負担義務がないとすると、試合を棄権する側は調整ミスによる敗戦の可能性をチャラに出来、棄権された側はこれまでの努力がパーになるだけです。

体重超過に関しては過去に前日計量に6.9キロも超過した状態で表れた選手もいました(参照記事はこちら)。

計量失敗は選手個人に責任がある問題ではありますが、ジム側ももう少し選手の体調管理、体重調整に当事者意識を持つべきはと思う事案もあります。

棄権に関しては気の毒なケースも勿論ありますが、試合を棄権する選手の情報や所属ジムを調べていると、同じ選手が複数回棄権しているケースや、特定のジムから棄権者が複数出ているケースが多数ありました。

頑張って練習して減量したにも関わらず、対戦相手が6キロも体重超過してきたら、自分だったらメンタル崩壊します。。

まとめ

2012年と2022年とで選手の棄権数はイメージしていたほどには増えていませんでしたが、2022年4月の棄権者数は突出しており、5月の興行に関しても複数の選手の棄権や減量失敗が取り沙汰されている状況にありました。

体重超過は試合を観戦する側からしたら競技自体に対する熱が興醒めする大きな要因になります。

  • 楽しみにしていた試合が体重超過で流れる。
  • 試合は開催されるけれど王座は剥奪。
  • 1階級分も体重落とせなかった選手と試合。

仮に高いチケットを買って観戦に行こうとしていた試合で前日にこのような事が起きたらボクシング自体に対する熱も冷めるだろうなと思います。

ボクシングにとって計量失敗はファン離れを加速させるリスクの高い要因故、エンタメとして存続していくためにはJBC・ジム・選手それぞれが協力して対策を講じていく必要がある問題です。

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