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ボクサーの減少、興行減、JBCの財務悪化、課題山積のボクシング再興策!!

torajiro

ボクシングファン歴27年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。Xも投稿していますのでフォローいただけると嬉しいです。

こんにちはtorajiroです。

元プロボクサーのボクオタです。

ボクシングの試合は再戦が本当に増えたなぁと感じたことがきっかけで、過去15年のボクサー数統計をグラフにまとめたところ驚きの結果になったことを以前以下の記事で紹介しました。

▶︎プロボクサー数調査 過去15年の日本人選手の減少数に驚愕!!

この時に合わせて以前から不安視されているJBCの財務状況と、その財務に影響を与えるであろう興行数の推移についても調べたところ、こちらもかなり危険な状況であることがわかりました。

▶︎JBC解体の危機!?正味財産とボクシング興行数の推移から見た今後

これらの現状分析の結果から見えた日本ボクシング界の現状と、ここからの再興策を時間をかけて考えてみましたのでよろしければご覧ください。

日本プロボクシング界の現状

まず初めに過去に書いた上記の2記事で分析したボクシング界の現状を簡単にまとめます。

プロボクサーが大幅に減っている

JBC事業報告書を元に作成(2012年度についてはデータなし)

このグラフの通り、プロボクサー数は過去15年減少の一途を辿り、コロナ禍もあって15年前に3,500人いたプロボクサーは現在1,400人しかいません。

一方でプロテスト受験者数は微減で推移

このプロボクサー数の大幅な減少の一方で、プロテストの受験者はそこまで減っていません。

2013年にリング禍で岡田哲慎選手が亡くなられた際に岡田選手のボクシング歴の短さも問題視され、プロテスト受験まではしっかり練習期間を設けるようになっています。

僕がボクシングをやっていた時代は「リングに上げてみないとわからない」という考えでガンガンプロテスト受験させていましたが、今は時間をかけて練習させ、基礎を固めてからプロテストを受験させる流れになっています。

それでも受験者数が大幅には減っていない点は光明かなと感じています。

JBCは訴訟続きで赤字へ転落

さて、ボクシングの未来を語る上で欠かせないJBC(日本ボクシングコミッション)ですが、こちらは度重なる訴訟でものすごい勢いで収支を悪化させ、2020年度の決算でついに赤字に転落しました。

JBC財務諸表を元に作成

興行数も以下のグラフの通り減り続けており、JBCの収入が増える要因はありません。

JBC事業報告書を元に作成(2012年度についてはデータなし)

一方でコロナ対策やドーピング検査の厳格化等、コストがかかる要因は増えています。

現状分析から考えた再興策

以上の現状分析を前提とした再興策を25年以上のボクオタ歴とボクサー歴6年の知識を総動員して考えてみました。

そもそもJBCはどうなる?

再興策を考える上で、そもそもJBCはどうなるのかについて先に触れておきます。

一般財団法人は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第二百二条ー2項において、解散事由として以下の記述があります。

一般財団法人は、前項各号に掲げる事由のほか、ある事業年度及びその翌事業年度に係る貸借対照表上の純資産額がいずれも三百万円未満となった場合においても、当該翌事業年度に関する定時評議員会の終結の時に解散する。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第二百二条より

既に2020年度の決算が赤字で、2021年度も予算の段階でマイナスの状況からすると、2021年度決算が出た後にJBCは解散!?という事になるように見えますが、この点についてはJBCの永田理事長が明確に否定しています。

「協力を申し出ているところもあり、JBCが破綻することはない。」

引用記事:プロボクシング界に起きている“内紛”は解決できるのか…JBCトップ永田理事長を直撃「そこまで悪いことをしましたか?」

こう断言しております。

ここまで言い切るという事はそれだけの根拠があっての事だと思いますので、JBCが当面破綻する事はないだろうという前提で話を進めます。

財政面改善のため、JBCは事業内容を見直し規模縮小へ

とはいえ単年度の収支が赤字続きではいくら支援者がいたところで存続は危ぶまれます。

プロボクサー数も興行数も減っている現状において単年度の収支を黒字化するためには、JBCの規模を縮小し、経費削減する以外には考えられません。

仮に試合承認料やライセンス料の値上げに踏み切ったとしても選手減、興行数減に拍車をかけるだけなので。

最低限ここだけは絶対に外せないというJBCの業務を洗い出し、他は捨てる、もしくは興行主やジムに移管するという施策が求められると感じます。

最低限外せない点って何でしょうね。僕なりに思いつく点を列挙します。

  • 試合運営に必要な人材の派遣(会場スタッフ、レフェリー、ジャッジ等)
  • 人材育成(レフェリー、ジャッジの講習等)
  • 試合前の公式計量
  • 公平なジャッジ
  • 早めのストップの徹底
  • プロテスト実施
  • ライセンス交付、更新事務
  • 各種規定の整備(体重オーバーの罰則等?)

全然これじゃあ足りないかも知れませんが、最低限公平中立な立場の方にやっていただいた方が良い点はJBCに頼み、それ以外は興行主に移管(ドーピング検査とか?)、不要な規定は廃止する方向に舵取りをしないと財政健全化は望めないでしょう。

廃止する業務としては例えば当日計量で体重4キロ以上増えている選手に対するウエイト変更勧告なんかは止めちゃって良い気がします。

今は水抜きとかで上手に減量してくる選手は計量後にしっかり飲んで食べて余裕で4キロなんて超えてきますし、多い選手だと8キロとか、すごい時には10キロとか増やしてくるので形骸化しているこの勧告なんかは廃止で良いと思います。

事務作業の効率化ですね。

その他にも招聘禁止ボクサーの管理も手を引いちゃって良いと思います。

そういったところは興行主がちゃんと対戦相手を把握して試合を組むものとして。

杜撰な管理で井岡選手が被害を被ったドーピング問題も、お金のないJBCが検査体制を整備するのは今後も困難でしょう。

反対意見はたくさんあるでしょうが、金がない以上やれない訳ですから、そこはもうJBCが抜本的な改革をして、「これはやめます!これはプロモーターに移管します!」と事業仕分けをしていかないと立ち行かなくなるというのが僕の持論になります。

プロモーター、所属ジムの責任が増す体制へ

JBCが事業範囲を縮小させると、当然その分の皺寄せは興行を主催するプロモーターやジム側にのし掛かってはきます。

  • ドーピング検査
  • 無気力試合をするような選手を招聘しない
  • 選手の体重管理

ドーピング検査についてはプロモーターが費用負担して検査機関に委託。

海外から招聘する選手についてはプロモーター側で責任持って選手情報を把握して招聘。変な選手ばかり招聘することのないよう、ファンが目を光らせ無気力試合を見つけたら叩きまくりましょう。

選手の体重管理については元々JBC管轄というわけではないですが、体重オーバーした選手に対する罰則を設けたり階級変更を義務付けたりといった指導はJBCがやらなくても良いと思います。

体重オーバーした選手というのはそこで評判落ちて自然と試合組まれなくなりますし、ケースバイケースの罰則をJBCが検討してもしなくても変わらない気がします。

選手数を増やすためにJBCは規制緩和へ

JBC管轄のリングに上がるためにはJBCのコミッションルールに従う必要があります。

例えば以下のようなルールが明記されており、他の格闘技団体に関与することは出来ないし、入れ墨は隠してリングに上がらないといけません。

第12条(他のスポーツライセンスとの兼用禁止)
1 他のプロスポーツまたは他の格闘技関連団体に関与もしくは従事する者は、JBCによる特別の許可のない限り、ライセンスの交付を受けることはできない。
2 すべてのライセンス所持者は、JBCによる特別の許可がない限り、他のプロスポーツまたは他の格闘技関連団体に関与もしくは従事すること(非公式試合への出場を含む)はできない。

第95条(欠格事由)
②入れ墨など観客に不快の念を与える風体の者。

一般財団法人日本ボクシングコミッションルールより抜粋

ただこれらのルールも基準が曖昧で、例えば武漢でエキシビジョンのリングに上がった木村翔選手はライセンスを更新していなかったからお咎めなし。

ということはライセンス更新しないでおいて他団体のリングに上がり、ボクシングの試合が組まれる目処が立ったらライセンス更新するといったやり方をしていけば煩雑ではあるけれど、制度上は他の格闘技にも参戦出来てしまいます。

トレーナーでも昔JBスポーツの山田武士トレーナーが他の格闘技のセコンドについたことで無期限の活動停止処分を受けました。

これだけボクサーが少なくなっていたらトレーナーだって生活するのに必死。

他の格闘技でもボクシングスキルが求められる訳ですから、トレーナー活動に制限をかけるべきではないと思いますし、トレーナーも他の格闘技を知ることでボクシングに還元出来るところは必ずあるはずです。

入れ墨にしても消したけど途中で見えてきちゃったり、腕周りのタトゥー程度だったらOKだったり、海外の選手は入れ墨しててもJBC管轄じゃないからOKだったり。

罰則を設けることで運用面で各種問題が生じている気がします。

これらの規制は事業整理の一環で廃止するべきだと考えます。

選手もトレーナーもボクシングの興行だけでは生計が立てられなくなっています。

この現状を受け入れ、他団体での活動を容認(黙認?)していくことで、選手・トレーナーの活動の幅を広げていって欲しいです。

K-1に戻った京太郎選手が再びボクシングのリングに上がって但馬ミツロ選手と試合したら盛り上がると思います(京太郎選手はやりたくないかもしれませんが、、)。

選手個々、ボクシング関係者が出来ること

ボクシングがピンチの今、プロボクサーの一人一人もこの現状に危機感を持ち、黙々と練習して試合をするだけではなく、もっと積極的に自身の活動を発信して欲しいなと思います。

キャラクターによっては逆に発信しないことでブランド価値を高めていくような選手も勿論いますが。

そういう選手はプロモーターが拾って話題にしていった方が効果は高いでしょう。

最近はYouTubeチャンネルを開設する選手も増えてきましたし、各種SNSを使ってどんどん情報発信する選手が出ていますが、ランカーやチャンピオンクラスの選手に限らず、もっと4回戦ボクサーでもどんどん発信していって欲しいです。

むしろ4回戦ボクサーの方が多様なバックボーンがあって掘れば掘るほど面白い選手が出てくるような気がします。

興行面でもかつてはA級ボクサーが賞金をかけて4回戦で争うレイジングバトルというものがありましたが、あれはもう一回復活出来ないものでしょうかね。

レイジングバトルは4ラウンドに凝縮されていて面白かったし、8ラウンド10ラウンド戦うより選手側の負担も少なくて済むので見る側にも試合する側にもメリットのある興行だと思っていました。

キックに転向した高橋悠斗選手のtweetでもこんな書き込みがありましたので紹介します。

(リツイートしていただきありがとうございました!!)

タイトルマッチなんかは勿論規定のラウンドで実施しないといけませんが、それ以外の試合に関しては短いラウンドの興行を取り入れるのは賛成です。

選手によっては後半ジワジワ追い上げる系の方もいて、短いラウンドが不向きな場合もありますけどね。

他にも昔やってたイケメンボクサーを集めた興行「ダビデ」なんかも話題になりましたが、そうした話題になる興行をどんどん打っていきたいですね。

例えば何でしょうね、YouTubeをやっているボクサーを集めてYouTuberボクサー対決とか、ボクサーの副業にもスポットを当てたマッチメイクをしたり、現役選手だけで枠を埋めるのが困難だろうから、エキシビジョンで引退したボクサーのスパーリングいれたり。

どんな興行が観たいかについては書き出したら長くなりそうなのでまた改めて書くことにします。

ボクオタ(ボクシングファン)として出来ること

さてさて、今回の記事は相当な長文になってしまいましたが最後に一ボクシングファンとして自分に出来ることです。

自分がボクシングを引退した時点では、ゆくゆくは現役ボクサーや引退後のボクサーを紹介、応援するようなブログを作りたいなぁと思っていましたが、日々の仕事や子育てに追われているうちに10数年が経過してしまいました。

何年も時間は経ってしまいましたが、10数年越しに今こうしてブログを書いています。

当初はいきなりボクシングネタ中心で書いても元からボクシングが好きな人にしか届かないと思ったので、色んなトレンドネタを集めながら勉強し、所々にボクシングネタを入れてボクシングファン以外にもボクシングを知ってもらえるようなきっかけを作りたいという目標がありました。

ま、現実問題それも中々難しく、徐々に徐々にボクシングネタ中心のブログになりつつありますが、今後はもっともっと色んなボクサーにスポットを当てた記事を書いていきたいと計画しています。

僕自身、昔から色んなボクシングファンのブログを読んでいて、現役時代なんかちょろっとでも自分の試合の事が取り上げられていたりするとめちゃくちゃ嬉しかったです。

微力ながらこのブログを使ってボクサーを応援していく事を今後の自分のライフワークにしていけたら最高です!!

まとめ

以上、自分なりに調べた現状とその現状に対する改善策を長々と書かせていただきました。

JBCの財政面の問題はやはり非常に大きいと感じており、まずはJBCの事業を整理縮小させる必要があるという前提に立って意見を書きましたが、たくさんの異論はあると思います。

そうした異論もどんどん発信されることで、この問題に対するより良い改善策が導き出されることにも期待しています。

自分が考えた通りになることがゴールではなく、ボクシングが盛り上がってくれることが一番です。

コロナ禍が明けてまた試合会場で大きな声援で選手を応援できる日が来ることを待ち侘びております。

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