こんにちはtorajiroです。
東京ドームの支援によって清算法人となっていたJBCが財団法人に復活しました。
これで無事にこの先の試合も継続して行けますし、プロテストも滞りなく実施出来ます。
きっと亀田史郎さんのセコンドライセンスは復活されるし、真道ゴー選手も男子としてプロテストを受験出来るでしょう。
良い話(賛否あり?)の一方でJBCは10年以上に渡り経常収支の赤字が続いていたという大きな問題があります。
この赤字体質を改善出来ないとまた再び正味財産は赤字となり、再び解散問題が浮上してしまうでしょう。
財務改善のために何が出来るのか、JBCの過去の財務諸表を見ながら取り得る改善策を考えてみました。
ライセンス料の値上げは有効なのか?
ニュースでも取り上げられているJBCの赤字体質改善案の一つとして、各種ライセンス料の値上げ案があります。
現状の各種ライセンス料は以下の通り。
いかがでしょうか?C級ボクサーのライセンス料程度でしたら「まぁこんなもんか」と思うかもしれませんが、A級まで上がると高いですよね。
この各種ライセンスの発行数は2021年度のJBC事業報告書によると3,316名。
ちょっと乱暴な計算ですが一律1,000円の値上げをしたとすると約300万の増収となります。
このライセンス料の値上げに対しては、JBCが裁判の泥沼化と賠償金で財務を悪化させた経緯を考えると、責任転嫁にも移り当然反発を招くでしょう。
イメージを更に悪化させた上で見込める増収が300万は得策ではありませんね。
まずはイメージ回復が急務のJBCにとってこの案は絶対にやらない方が良いです。
試合承認料の値上げは有効なのか?
では続いて試合承認料の値上げ案についてです。
この案に対しては部分的に賛成、部分的に反対です。
プロボクサー数が減り、海外からの招聘も難しくなったためか、ここ最近はやや雑と思われる興行が目につくようになっています。
元々の試合数が少なく、更に選手が棄権する事で全2試合とか、オール4回戦の全4試合とか、そうした興行を見ていると、試合の承認料を上げる事がそうした興行を生み出す抑止効果にはなるかもしれません。
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が、それより何より今問題になっているのは試合数の減少によって試合承認料が減っている点でしょう。
コロナ禍前の2018年度の試合承認料は約3600万円でした。
これがコロナ禍の2020年度に1100万円まで減り、2021年度に1900万円まで盛り返したというのが現状です。
現状を鑑みると試合承認料は添え置き、まずは興行数を以前の水準まで戻していくことが先決かと思います。
ただ、コロナ禍に加えた日本経済の低迷によって国内での世界戦開催は以前より減っており、世界戦のような大きな試合での承認料は見込めないため、以前と同じ水準まで戻すことは難しいでしょう。
試合役員費の値上げについて
試合承認料も当面は上げない方が良いという考えですが、試合役員費に関しては値上げした方が良いのではないかと考えております。
2021年度の財務諸表と2010年度の財務諸表で試合役員費収入と支出の項目を見比べた表をご覧ください。
2010年度 | 2021年度 | |
試合役員費収入 | 47,123,160 | 41,769,210 |
試合役員費支出 | 43,683,682 | 41,292,326 |
差額 | 3,439,478 | 476,884 |
この通り10数年の間に試合役員費収入と支出の差額が大幅に減っていることがお分かりいただけるかと思います。
各種の仲介手数料を考えると、この収支差は2010年度水準まで戻しても良いのではないでしょうか。
物価や人件費の上昇分を価格に反映させるということであれば納得の行く説明になるかと思います。
こうした説得力を持って説明できる項目からまずは値上げをしていくべきだと考えております。
放送承認料の値上げについて
JBCが収入を大きく減らしている項目の一つとして、放送承認料というものがあります。
放送承認料についてはJBCのルールブックおいて以下のように定められています。
第6章競技
一般財団法人日本ボクシングコミッションルールより引用
第5節 試合の放送許可等
第127条(試合の放送許可等)
1 日本国内でJBC管轄のもとにおこなわれるプロボクシングの試合(公式試合場におけるスパーリングおよび慈善試合を含む)を放映、放送、録画、撮影する個人または法人は、事前にJBCに対し、書面により許可の申請をするとともに、放送承認料を支払わなければならない。外国でおこなわれる日本選手の試合を日本国内で放送する場合もこれに準ずる。
2 放送承認料は、放送の内容、試合の価値を勘案して決定される。
この放送承認料は放送の内容、試合の価値を勘案して決定されるようですが、当然の事ながら世界戦のような規模の大きい試合になればなる程料金は上がっていくものでしょう。
10数年前であれば3,000万前後の放送承認料収入がありましたが、コロナ禍の2020年度に300万まで収入は減り、2021年度も600万の収入に止まりました。
この放送承認料収入はテコ入れが必要ではないでしょうか。
地上波の撤退はもう避けようがない現象ですが、例えばAmazonプライムで配信された村田諒太選手の世界戦の放送承認料はどれくらいの収入になったのでしょうね。
お金のない日本のテレビ局と違い、AmazonだったりDAZNだったりはお金もあるのではないでしょうか。
日本人選手も今後は海外に出て世界戦を行う機会が増えるでしょうから、そうしたところからうまいこと高額の放送承認料を徴収出来ないものでしょうかね。
削減すべき支出は?
経常費用を見る限り、劇的に減らせる支出項目はなさそうです。
日頃からの細かな節約を意識しつつ、内紛や選手とのトラブルで裁判に発展させることのないよう、ガバナンスをしっかりすることが不可欠です。
- 健保金問題
- 安河内裁判
- 亀田兄弟裁判
- 井岡選手騒動
- 矢吹VS拳四朗リマッチ騒動
こうした不祥事・騒動をこれ以上引き起こさないで欲しいと切に願っております。
まとめ
JBCの公式サイトでは6月3日に継続決議に関するお知らせとしてプレスリリースが出されております。
厳しい意見もあるでしょうが、僕はこのプレスリリースを読んでJBCの改善に向けた前向きな姿勢を強く感じました。
清算法人になった際の「コロナ禍の影響で〜」といった言い訳がましい弁明と異なり、この声明でははっきりと「訴訟費用といった運営赤字以外の経費も大きな負担となっておりました。」と明記されています。
JBCはこれから良い方向に大きく変わっていくでしょう。
財務諸表を見た上での個人的な意見としましては、ライセンス料と試合承認料は一旦添え置きしつつ、試合役員費と放送承認料は値上げに踏み切った方が良いだろうと思いました。
新体制のJBCを応援しております。