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大晦日エリート井岡一翔に挑む叩き上げ福永亮次、奥村トレーナーのドラマ

こんにちはTorajiroです。

コロナ禍の渡航制限で中止発表されていた大晦日の井岡一翔選手の試合は、角海老宝石ジム所属の福永亮次選手を挑戦者に開催が決定しました。

福永選手の試合は大半がKO決着なので、今度の試合もどっちが勝ってもKO決着間違いなしの結果となるでしょう。

実力的には井岡一翔選手がかなりリードしておりますが、型枠大工の遅咲き叩き上げボクサーリトルパッキャオこと福永亮次選手と、彼をサポートする奥村健太トレーナーを知ると、この試合は何かが起きるかも!?というちょっとした期待も湧いてきます。

福永良次選手の紹介

出典元:角海老宝石ボクシングジム公式サイト所属選手一覧より

では先ずは井岡一翔選手に挑戦する福永亮次選手の最近では珍しいバリバリ叩き上げのストーリーを紹介します。

25歳と遅咲きでプロキャリアをスタート

ボクシングモバイルのインタビューによると、福永良次選手は25歳の時に自宅近くのエディタウンゼントジムでボクシングを始めています。

25歳は相当遅い部類だと思います。

井岡選手は26歳で3階級制覇していますから、そう考えると相当なキャリアの違いですね。

デビュー戦は敗北

そして井岡選手が3階級制覇したのと同じ26歳(27歳になる直前)にデビューしますが、デビュー戦は黒星発進。

同じ26歳で片方は世界3階級制覇、そしてもう片方はデビュー戦で黒星。

全く交わる事のなさそうな両者がこうして大晦日に対峙するんです。

ちなみにTorajiroも元プロボクサーですが、仕事や家庭環境の変化もあって27歳の時に現役を引退しました。

まだプロで数戦しか出来ていなかったので心残りは相当ありましたが、27歳の現時点でこのキャリアでは先々も厳しいかなと自分自身に諦めるよう言い聞かせていましたっけ。

自分がその年齢だった時にデビューし、しかも黒星発進。

ショックは相当デカかったと思います。

そこから福永選手は破竹の4連勝(4KO)で新人王トーナメントを勝ち上がっていきますが、東日本の準決勝で帝拳ジムの松原陵選手に1ラウンドKO負け。

かなりマニアックな話ですが、この2015年の新人王トーナメントで福永選手が破った菊池大和選手や、山本大智選手は黒星先行ながら頑張って現役を続けていた選手なので応援していました。

菊池大和選手は福永選手との試合を最後に引退、山本大智選手はその後もしばらく現役を続けていましたが、2016年以降は連敗が続き、最近は試合をしていないので引退したのかなと思われます。

プロの世界は厳しい。

3つのジムを渡り歩きチャンピオンへ

福永亮次選手のキャリアの特徴として、3つのジムを渡り歩いているという点も挙げられます。

プロキャリアをスタートさせたのはエディタウンゼントジムですが、その後本業の大工の仕事がなくて仕事を求めて上京し、宮田ジムに入門しました。

確かに宮田ジムは新人王を多く輩出するジムではありますが、わざわざ上京してしてきて入門するジムかと言うと正直どうかなぁ、、と思ってしまいます。

何と言っても宮田ジムは狭い!!

出典元:宮田ボクシングジムFBより

立石にある宮田ボクシングジムを外から覗くとそのスペースの狭さにびっくりします。

あのスペースで2000年前後辺りなんて新人王はバンバン出すわチャンピオンは出すわランカーもたくさんいるわで、宮田ジムの選手の活躍は凄いものがありました。

後に内藤大助さんも世界チャンピオンになりましたし。

狭い狭いと書きましたが(ごめんなさい)、要は普通のボクシングジムなんです。なのにあれだけの数のチャンピオンやランカーを輩出出来たというのが不思議でなりません。

福永選手も宮田ジムで最初の新人王は逃しますが、2回目の挑戦で全日本新人王に輝いています。

その後、宮田ジムは何かがあったのかどうかは分かりませんが、プロ選手が次々に移籍しました。

移籍先として一番目立っていたのが角海老宝石ボクシングジムで、福永選手もちょっと遅れて角海老宝石ボクシングジムに移籍しました。

この時はまだチャンピオンにもなっていなかったので移籍金はおそらくそんなにはかかっていないでしょうが、同じく宮田ジムから角海老宝石ボクシングジムに移籍した粉川選手は元チャンピオンで世界タイトルも経験してますから相当な移籍金を払ったものと思われます。

最近は移籍が自由になってはいますが、そうは言っても元所属先のジムで合宿費だったり海外遠征費だったり色々先行投資をしてもらっている訳で、移籍するとなるとそうした先行投資してもらった金額はガッツリ請求されるのが常識です。

じゃないとジム側も若手の有望選手の育成出来なくなっちゃいますし。

推測ですが、粉川選手クラスであれば数百万単位の移籍金は払っているはずです。

福永選手がどこまで宮田ジムのサポートを受けていたかは不明ですが、全日本新人王まではなっているので、それなりの金額は払って移籍したのでしょう。

それでも福永選手はその後に日本と東洋のベルトを獲っているので、移籍金の元は十分に取れたのかな。

現在も型枠大工として働く

デビュー戦で敗北し、3つのジムを渡り歩いてチャンピオンになった福永選手ですが、15歳の頃から型枠大工の仕事を続けており、チャンピオンとなった今も辞めずに仕事を続けているそうです。

15歳の頃からってことは中卒!?

ボクサーではそんなに珍しい事ではありませんが、世間一般的には中卒は相当レア。

15歳の頃から一つの仕事をやり続けているので福永選手は忍耐、精神力は相当強いでしょう。

大晦日のオファーも大工の仕事が入っていたので、そちらの業務の調整を付けてからOKの返事を出したそうです。

大工の仕事自体相当ハードなのにその状態でボクシングを続ける精神力は恐れ入ります。

井岡選手はフィジカルでガンガン押してくるボクサーにはやや苦戦する傾向があるので、福永選手も試合本番は体格の利を活かしてフィジカルでガンガン攻めていくことになるでしょうね。

大工の仕事で鍛えたフィジカルでガンガン攻めちゃってください。

奥村健太トレーナーの紹介

今回は選手以外にトレーナーについても紹介します。

福永亮次選手のメイントレーナーを務める奥村健太トレーナーは福永選手の2歳年下の元プロボクサーでした。

出典元:ボクシングモバイル カメラマンはBOBBYさん

戦績は16戦して12勝3敗1分。めちゃくちゃ良い戦績!!

奥村トレーナーは熊本の本田フィットネスボクシングジムでボクシングキャリアをスタートしますが、2014年の試合を最後に本田フィットネスボクシングジムを離れ、時間をあけて角海老宝石ボクシングジムに移籍します。

そしてその移籍初戦の相手がJBスポーツジムの澤田京介選手。

澤田選手は現在日本ランキング1位で、色々と不運が重なりチャンピオンにはなれていませんが、本来であればとっくに日本チャンピオンになっているであろう猛者です。

出典元:ボクシングモバイル カメラマンはBOBBYさん

奥村トレーナーが試合をした2017年時点でもかなりの実力者であることに変わりはありませんでした。

移籍初戦でこの相手は酷だとも思うし、逆に期待されているという事だったのかもしれませんが、この澤田選手との試合後に、奥村トレーナーは急性硬膜下血腫で集中治療室に入ります。

出典元:ボクシングモバイル カメラマンはBOBBYさん

幸い命は助かりましたが、当然選手としての道は断たれてしまいました。

命があっただけ運が良かったとも言えますが、相当な決心をして上京し、移籍初戦で選手生命を絶たれてしまったのは気の毒で仕方ありません。

多くの人間だったらここで腐ってしまうところでしょうが、奥村トレーナーは角海老宝石ジムにトレーナーとして残らせてもらい、数々の選手の育成に携わるようになります。

そして福永選手と同じ宮田ジムからの移籍組の細川バレンタイン選手をはじめとしたチャンピオン、日本ランカークラスの選手を育成するようになります。

が、そこまでの道のりは決して順風満帆ではなく、スタート時点ではトレーナー経験ゼロから、しかも年齢的にも若く、指導者としては苦労の連続だったでしょう。

再起不能の怪我を負った状態からの下積み時代を経て、こうして奥村トレーナーが世界タイトルマッチのリングに上がるというのも感動的な話です。

まとめ

大晦日の井岡一翔選手のこれまでの戦績は9戦8勝(6KO)1敗。

敗れた1戦はドニー・ニエテスに喫したもので、KOを逃した2戦も強敵でした。

フェリックス・アルバラートは後に世界チャンピオンになっていますし、ジェイビエール・シントロンは長身サウスポーでめちゃくちゃテクニシャンでした。

特にシントロン戦では序盤4ラウンドはフルマークでポイントを取られ苦戦しましたが、ポイント取られてもボディで体力を削り中盤から後半にかけて逆転する好ファイトでした。

福永選手と奥村トレーナーがどういった作戦で難攻不落の井岡一翔選手の牙城を崩すのか。

フィジカルの強さでは型枠大工ハードパンチャーの福永選手が勝っているので、序盤からそのパワーでぐいぐい押し込んで体力勝負に持ち込んでいければ面白い展開になるかもしれません。

自分は大のボクシングファンですが、日本人対決の場合は特に試合後のドラマも含め楽しむタイプなので、どんな結果になっても福永選手と奥村トレーナーのその後も含めて応援したいと思います。

完全に福永選手寄りの記事になりましたが井岡一翔選手の事も応援しています!!

順当に行けば次こそは統一戦なので、そっちのストーリーも勿論楽しみにしています。

  • この記事を書いた人

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。ボクシングニュース、3150FIGHTネタ、各種ボクシングデータ、新人王トーナメント、選手紹介等のボクシングブログを書いています。

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