ボクシングと音楽と食が融合した総合エンターテイメント興行LUSHBOMU。
このLUSHBOMUはタイトルマッチがなくても2,500人の観客を集めるボクシング界の常識を覆す興行であります。
わたくしtorajiroはLUSHBOMU vol.1〜3までは配信で視聴してきましたが、2024年6月23日(日)に開催されるLUSHBOMU vol.4は初めて現地で観戦します。
観戦後の感想は改めて書きますが、この記事ではLUSHBOMU vol.4の見どころボクシング中心にお届けします。
ボクシング以外を目的に会場に来られる方にボクサー達の特徴を伝え、観戦の楽しみを2割増しくらいにすることを目指しています。
6月24日追記
現地観戦した会場の様子は別記事にまとめますが観戦記を追記しました。
試合の見どころ・観戦記
では早速4回戦を中心に全10試合開催される対戦カードの見どころを紹介します。
(対戦カードの画像はLUSHBOM vol.4特設ページより引用させていただきます。)
中日本新人王トーナメント予選も多く組み込まれているため、以下の記事もあわせてご覧ください。
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中日本新人王Sフライ級4回戦 村田碧(和光) VS 桂ケンシロウ(とよはし)
中日本新人王Sフライ級の優勝候補と予想するのが高校アマで3位の実績を持つ村田碧選手。
中日本で優勝して全日本も狙える逸材です。
この村田選手と対戦するとよはしジムの桂ケンシロウ選手がまた好戦的で面白い選手。
LUSHBOMU vol.2でデビューしたケンシロウ選手は現在1戦1勝1KO。
アマチュアキャリアのある村田選手にも臆することなく自分から積極的に仕掛けて打ち合いを挑んでいくでしょう。
4回戦は注目された選手がこうしたイケイケのファイターにアップセットを起こされることも良くあります。
1試合目から見応えのある試合となるでしょう。
観戦記:村田碧が距離を制す
キャリアで上回る村田選手相手に果敢に先手を取りに行ったケンシロウ選手。
良い攻撃でしたが村田選手は冷静にジャブとフットワーク、スウェーで距離を掌握。
左ボディも効いていたのではないか。
徐々にダメージを蓄積させて最終ラウンドに村田選手のTKO勝利。
全日本決定戦の舞台に上がって来そうなパフォーマンスでした。
ケンシロウ選手は元気いっぱいに持っているものを出し切った。
体がしっかりしているのでキャリアを積めば強くなる選手。
中日本新人王バンタム級4回戦 綾野太晴(中日) VS 中村列亜(畑中)
第2試合には畑中ジム期待のホープ中村列亜選手が登場。
畑中ジムからは2023年もフライ級で坂井涼選手が全日本を獲得しましたが、畑中ジムの選手は技術だけでなく体が強い。
中村選手はアマチュアでは15戦8勝7敗というキャリアを持ち、プロでは2戦2勝2KO。
アマチュアキャリアに加えてパンチもある魅力的なボクサーです。
しかし対戦相手の中日ジム綾野太晴選手もまたパンチのある選手で戦績は2戦2勝1KO。
どちらも倒す力を持った選手同士の1戦。
観戦記:中村のジャブが冴えた
この試合はとにかく中村選手のジャブが良かった。
体重の乗ったジャブを飛ばして綾野選手の体勢を崩し、綾野選手のコンビネーションもしっかりガードしてバランス崩さず。
綾野選手の攻撃力も良かったがこの試合はジャブとバランスの良さで見栄えの面でも中村選手が良かった。
中日本新人王バンタム級4回戦 林田翔麗(三河) VS 小川昂輝(駿河男児)
中日本を背負うボクオタ、ボクシング選手名鑑のせきちゃんが中日本バンタム級の優勝候補と予想するのは駿河男児ジムの小川昂輝選手。
戦績は3戦3勝(2KO)。
小川選手は戦績が示すとおりパンチがあり、チャンスを逃さず一気にまとめることの出来る嗅覚もあり。
ただ一点、スタンスがやや広く、踏み込んだ時に後ろ足がついていっていないためバランスを崩しがちなところは気になります。
それでいてあのパンチ力ということはポテンシャルが高いことの裏返しでもありますが。
対する三河ジムの林田翔麗選手は2戦1勝1KO1敗。
この敗れた1敗は綾野太晴に喫したもの。試合は一進一退の攻防だったようです。
この林田選手は野球でスポーツ特待生として高校に入学していたスポーツエリート。
ボクシングを始めたのは2022年12月。
つまり伸びしろが相当ヤバい選手ということです。
まだボクシングを初めて1年半。。
こういう選手は恐いです。突然化けて出てきますから。
観戦記:敗れた林田のポテンシャルに注目
試合はフィジカルの強い小川選手が右からの左フックでダウンを奪い判定勝利。
リングに上がった小川選手の体は岩のよう、ポケモンのゴローンのようだった。
林田選手は敗れはしたが高い運動能力とセンスを感じた。
まだボクシングに順応しきれていないため不用意な被弾もあるが、目と体が慣れて反応出来るようになったら手のつけられない選手になる。
この選手は絶対ここから伸びてくると期待。
中日本新人王Sバンタム級4回戦 藤本翔大(LUSH) VS 白井優成(駿河男児)
LUSHジム所属、この興行の主役の一人としてリングに上がる藤本翔大選手。
戦績は5戦1勝(1KO)2敗(1KO)2分。
5戦目で初めて勝利を手にした選手です。
この戦績だけ見ると平凡ですが、その理由はこれまでの対戦相手が強敵過ぎたから。
引き分けの中の一つは2023年の新人王トーナメントで圧倒的な実力を見せつけて優勝した武藤涼太選手との試合。
藤本選手は実力だけで見れば2024年の新人王トーナメントで優勝候補の一人と言える選手です。
だがしかし、対戦相手の駿河男児ジム所属の白井優成選手がこれまた難敵。
白井選手の武器はスピードと積極性。
藤本選手のエンジンがかかる前に白井選手がスピードを活かして先制し、流れを一気に持っていく可能性もある試合です。
感動を呼ぶ男、藤本翔大選手は再び会場が湧き上がる試合を見せることが出来るでしょうか。
観戦記:判定はやや意外ながら藤本課題も浮き彫りに
藤本選手が外側からの右を決めれば白井選手は多彩なジャブで藤本選手の顔を跳ね上げる互角の展開。
最終ラウンドは白井選手がホールドで減点、藤本選手は後頭部への打撃で減点。
判定はドローの優勢点で白井選手がトーナメントを勝ち上がりました。
「優勢点なら最終回に自分から仕掛けて試合を作った藤本選手だろう」と思ったのでやや意外な結果ではありましたが、白井選手のジャブは確かに見栄え良かった。
藤本選手はこの試合で上体が浮くという課題が浮き彫りになりました。
以下はあくまで個人的な意見ですが、気になるのは藤本選手の左足が内側を向き過ぎている点。
左足がブロックになってしまいストレートが打ち抜く形ではなく右フック気味に。
同じく左足が壁になって腰も落とせていない。
腰が落とせないので下から攻めてこられたら上体が浮いてしまう。
後頭部への度重なる打撃で減点を取られたのも上体が浮いていたからと見えました。
体の使い方の問題なので比較的早く改善出来るし、持っている能力を考慮したらもっともっと上を目指せる選手です。
中日本新人王フェザー級4回戦 青柳冴亮(浜松堀内) VS 鈴木蒼平(とよはし)
浜松堀内ジムの青柳冴亮選手は2戦1勝1敗の戦績ですが、この試合は実に5年半ぶりの実戦。
6年弱の時を経て再びリングに上がる青柳選手。
その舞台がLUSHBOMUとは何と幸せなことか。
どんな気持ちでリングに上がるのか、心の中が気になります。
悔いのないよう思い切り復帰のリングを楽しんでください!!
とよはしジムの鈴木蒼平選手はこの試合がデビュー戦(ピースと笑顔が特徴的)。
根拠はなく、何となくなのですがこの鈴木選手多分強いです。
おそらく他のスポーツのバックボーンあり。
単なる予感なのですが、この顔はスポーツが出来る男の表情。
観戦記:鈴木の心臓の強さが光った
デビュー戦ながら伸び伸びと自分のボクシングをやっているように見えた鈴木選手。
左ストレートからの返しのフックが良く、最後は左ストレートでダウンを奪い、チャンスを逃さず一気にまとめてTKO勝利。
イメージ通りに本番に強い選手でした。
青柳選手はやや動きが固かったか。
入りは良かったのですが。
中日本新人王ライト級4回戦 田中友介(西遠) VS 高井広大(唯心)
西遠ジムの田中友介選手はデビューから2戦連続KO中のピチピチの19歳。
ライト級で身長167cmは小柄な方ですが(実際はもうちょい低い?)、柔らかい筋肉でナチュラルな体の強さがあります。
スパーリングではそこそこだけど試合では強い選手の典型かもしれません。
唯心ジムの高井広大選手はLUSHBOMU vol.1で初勝利を手にした選手。
縁起の良いLUSHBOMUで再び勝利なるか!?
観戦記:田中の荒さが良かった
田中選手はボクシング自体は決して綺麗ではないが、どんな体勢からでも打ってくる。
その姿はさながらマニーパッキャオ。
序盤からかなりのダメージを与えていたが、高井選手も踏ん張り判定へ。
バッティングによる傷口のチェックがなければ田中選手が倒していたかなという内容でした。
女子48.0kg契約4回戦 神成咲良(changes) VS 谷原羽奈(ARITOMI)
3戦1勝2敗の神成咲良選手もLUSHBOMUのリングで初勝利を手にしたボクサー。
デビュー戦の相手はつい先日WBOアジアパシフィックの王者決定戦に挑んだ吉田里穂選手。
で、2戦目の相手がその吉田里穂選手との王座決定戦に勝利した鵜川菜央選手。
デビューから2戦続けてこの強敵らとの対戦はキツかったでしょうが、この敗戦を糧にLUSHBOMUのリングに上がり初勝利を手にしました。
ARITOMIジムの谷原羽奈選手はこれがプロデビュー戦ですが、アマチュアでのキャリアは少しあるようです。
プロのリングは1戦しているかどうかの影響はとても大きいので谷原選手にとっては厳しい戦いになるかもしれません。
観戦記:女子の新たなスター候補誕生
とびきりの笑顔で入場した谷原羽奈選手。
試合は中に入りたり神成選手をジャブで入らせず。
最後まで自分の距離でジャブからワンツーを決めてポイントリードした谷原選手が判定勝利。
デビュー戦ながら試合運びも冷静。
更に勝利者インタビューでもしっかり自分をアピール。華のある新たなスター誕生の予感です。
後楽園ホールの名物おじさん次郎さんが喜びそうな選手。
神成選手はまだ若干20歳。女子ボクサーは選手生命も長いのでこれからです。
ライト級4回戦 浦野一希(浜松堀内) VS 秋山星也(名古屋大橋)
浦野一希選手は1戦1敗。
初勝利を賭けてリングに上がります。
一方の秋山星也選手は3戦1勝(1KO)2敗。
僕が現役でボクシングをやっていた20年弱前はプロ選手も多く、1戦1敗の選手であれば同じ1敗同士かデビュー戦の相手と2戦目を戦うというのが一般的でした。
選手が減った昨今はそうした恵まれたマッチメイクは中々実現出来ませんが初勝利を手にすべく頑張って欲しいです。
秋山選手も勿論ここで勝って戦績をイーブンに持っていきたいところでしょう。
観戦記:試合経験の差があった
浦野選手は良い表情をしていたが動きが固くパンチが伸びてこない。パンチも単発になってしまう。
一方の秋山選手はリラックス出来ておりコンビネーションに繋げていく。
徐々に差が出てきたところで2Rに秋山選手が左フックをヒットさせてからの右ストレートでダウンを奪う。
この一発のダメージは甚大でレフェリーがストップ。
デビューから2連敗はこたえますが、LUSHBOMUのリングに上がった経験を次に活かして欲しいです。
ライト級8回戦 英豪(LUSH緑) VS ポンラワット ナンタエーカポン(タイ)
僅か2戦で日本ランキング入りを果たしたLUSH緑ジム期待の英豪選手がセミファイナルに登場。
前戦はランカーの竹嶋宏心選手との新旧緑ジムボクサー対決でした。
僕は配信で視聴していて竹嶋選手が勝ったかな??
と思いましたが判定は2対0で英豪選手。
会場で観ると英豪選手のパンチはパワーがあって見栄えが良いのでしょう。
ということは現地観戦の方々は英豪選手のド派手なKOシーンを拝める可能性大!!
観戦記:英豪予感的中の秒殺
試合は1Rに英豪選手がえげつない左ボディをねじ込んでKO勝利。
会場に鈍い音が響き渡りました。
あれは立てない。凄い音だったもん。。
英豪選手は試合後のマイクパフォーマンスも完璧。
しどろもどろな選手が多い中、堂々と喋り応援して欲しいと呼びかけ、上に行く選手のオーラを感じました。
WBC世界ユースSフライ級王座決定10回戦 佐野遥渉(LUSH) VS イェロゲ グラ(比)
LUSHBOMU vol.4のメインを務めるのはこの興行の顔と言って良いLUSHジムの佐野遥渉選手。
佐野選手なくしてLUSHBOMUが生まれることは無かったのではないでしょうか。
幼い頃からのボクシングキャリアを持つ佐野遥渉選手の分かりやすい特徴は階級離れした身長・リーチとスピード。
しかしこの選手の特徴はそれだけではない。
2022年の全日本新人王決定戦を会場観戦したtorajiroが出場全選手の中で最も衝撃を受けた選手がこの佐野遥渉でした(ちなみにチケットもボクシングチケットドットコムを通じて佐野選手から購入)。
ただ速いだけでなく、佐野選手の動きには無駄な力みがなく柔らかさがある。
まるでサッカーのジダンみたいな柔らかさ。
日常生活を送るように自然な流れの中からパンチが飛んでくるとでも言えば良いのでしょうか。
ブルース・リーの名言「Be water my friend」(元ネタは宮本武蔵)を地で行くようなボクシングには惚れ惚れとしました。
高い金払ってでもこの選手の試合は生で観るべきだとお薦めする選手の一人です。
これだけ持ち上げたら佐野遥渉選手が勝つこと前提のように見えてしまうかもしれませんが、今回対戦するイェロゲ グラ選手は過去最大の強敵。
- 9戦8勝(3KO)1分の無敗。
- リーチも長く出入りも速い。
- 更にフィリピン人ボクサー特有の振り切るパンチも持つ。
身体能力も非常に高く、過去の試合映像を観ましたが世界ランカークラスの自力を持った選手だと思います。
今回はもしかしたら厳しい戦いになるかもしれません。
イェロゲ グラ、この選手は確実に勝つために日本のリングにやってきます。
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観戦記:佐野遥渉の脱力を堪能
グラ選手の試合映像から厳しい戦いになると予想しましたが、結果は佐野遥渉が中差の判定勝利。
まともなパンチは殆どもらわずに有効打を重ねていきました。
佐野選手の目を惹くポイントはスピードではありますが、会場で観戦すると速いだけではないことに気付くと思います。
フットワークはとても滑らかで地面をドタドタと蹴る音がしない。
パンチにも力みがなく緩急自在。
グラ選手のパンチがあったので打ち合う場面は少なかったが、10Rたっぷり芸術的な動きを堪能することが出来ました。
実力者を相手に力を出させず華麗に捌いた佐野遥渉がWBCユースのベルトを手に。
音楽の見どころ:ハーフタイムショーどころじゃないLUSHBOMUの音楽
続いて音楽の見どころを紹介(わかる範囲で)。
ボクシング興行なのに何故に音楽?
とボクシングファンは思うでしょうが、LUSHBOMUはもしかしたら音楽目当てて会場に行く方の方が多いのでは??
と感じる程に生ライブが多数用意されています。
音楽ファンをボクシングに取り込み、ボクシングファンをLush Musicに取り込む。
果たしてそんな理想的な結果を生み出すことが出来るでしょうか。
「ハーフタイムショーはいらない!!」という生粋のボクシングファンは多いと思います。
おそらく自分もそんなボクシングファンの一人。
(3150FIGHTのハーフタイムショーでアスカさんが歌っている時も帰りの時間が気になって仕方なかった。)
そんな生粋のボクシングファンである僕がLUSHBOMUを現地観戦したら果たしてどう思うのか??
そこは後のお楽しみ。
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食の見どころ
LUSHBOMUのもう一つの見どころは食。
会場の周辺にはたくさんの飲食ブースが設置されます。
ボクシング観戦しながら静岡の地元の味を楽しめるのは魅力的。
SNSのフォロアー様から飲食ブースは混雑するので早めに並んだ方が良いですよと教えていただきました。
現地入りして座席を確認したらすぐ飲食ブースに向かおうと思います。
ボクシング興行においてこうした地域と密着した取り組みは有効な手段の一つとChatGPTも推薦しておりました。
ChatGPTもお勧めするチケットを売るための取り組みが随所に見えるのがLUSHBOMU。
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LUSHBOMUを視聴するには!?
LUSHBOMUは2,500人もの観客を収容可能な会場(ツインメッセ静岡)においてチケットは早々に完売。
会場観戦が叶わない方は配信で視聴することが可能です。
配信プラットフォームはTravel TVという聞きなれない媒体になりますが無料でライブ配信を視聴可能です。
6月23日(日)になりましたら以下のリンクから視聴できるはずですのでチェックしてみてください。
まとめ:LUSHBOMUがボクシングで地域活性化の成功モデルとなるか?
LUSHBOMU vol.4の見どころを試合と音楽と食とに分けて紹介しました。
LUSHBOMUが地域に根付いた形で成功していけば、今後は別の地域でも第二、第三のLUSHBOMUが生まれていくかもしれません。
東京進出で苦戦を強いられた亀田興毅氏率いる3150FIGHTも、地元の企業と手を組んだ興行を手がけていくことで浮上の足がかりにしていけるのではないかと期待しています。
まずは実際LUSHBOMUがどんな可能性を秘めているのか、現地観戦した結果を後日まとめようと思います。
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