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岡澤セオン選手が災害を乗り越え五輪金メダルへ。試合中の攻勢点アピールの理由も解説。

こんにちは。Torajiroです。

東京オリンピック金メダル候補の一人、ボクシングの岡澤セオン選手をご存知でしょうか。

https://twitter.com/5678243

ボクシングといえばロンドンオリンピックで村田諒太選手がミドル級で金メダルを獲ったことで、ちょっとは脚光を浴びましたが、アマチュアボクシングはマイナー競技で、オリンピックでもあまり注目されませんよね。

でもこの岡澤セオン選手はここ数年で急激に力を付けてきた選手で、かなり高い確率でメダルを獲る事が予想されます。去年は練習拠点としてきた鹿児島の練習場が豪雨被害に遭うという災難がありましたが、そこで多くの方々の支援を得たことで、セオン選手のオリンピックにかける意気込みは並々ならぬものがあるでしょう。

そんな岡澤選手について、ボクシングスタイルや今後の展望といったところを今回は紹介していきます。

岡澤セオン選手の来歴

  • 1995年12月21日生まれの25歳。
  • 山形県山形市出身。
  • 父親はガーナ人、母親は日本人のハーフ。
  • 高校からボクシングを始め、インターハイにも出場したが優勝経験はなし。
  • 中央大学に進学し、大学では2017年の国体で準優勝。

ここまでの実績ですと、オリンピックに出場する選手としては物足りないと思うのではないでしょうか。そもそも国内敵なしで圧倒的な強さを誇っていても、オリンピック出場を逃す選手が大半ですから。

ただ、岡澤セオン選手はここから一気にブレイクを果たします。大学卒業後、鹿児島県体育協会に所属し、アマチュアボクシングを継続するとそこから快進撃が始まります。

  • 2018年全日本選手権で優勝続く2019年も優勝
  • 2019年アジア選手権で日本人36年ぶりのウエルター級銅メダルを獲得(国際試合もこれが初)
  • 2019年世界大会準々決勝進出
  • 2021年ロシアで開催されたコンスタンチン・コロトコフ記念国際トーナメントで優勝

大学までは国内トップクラスではありましたが、世界の頂点を狙えるようなレベルにはなかった岡澤セオン選手ですが、ここ数年はフィジカルが強化されてものすごい勢いで成長を続けています。

岡澤セオン選手の練習場が豪雨被害で浸水

2020年7月の九州地方を襲った豪雨で、岡澤選手の鹿児島の練習拠点は浸水してしまい、大きな被害を受けました。写真を見てもその時の悲惨な状況が良くわかるかと思います。

https://jabf-revival.com/jabf_reporter/sewon-okazawa-is-not-the-target-of-recovery/

この時に岡澤セオン選手はクラウドファンディングを実施し、多くの方の支援を得ることが出来ました。声援を力に変えるタイプの選手なので、この支援への感謝の思いを胸に、リング上で結果を出してくれると私は信じています。

岡澤セオン選手が試合中に手を挙げて攻勢点をアピールする理由

岡澤セオンの戦い方は、ディフェンス重視ですが、ガードを固めて守るのではなく、ガードは下げてフットワークで避けるタイプのボクシングです。

ノーガードに近い状態でピョンピョンと跳ねながら、隙をついてパンチを当て、すぐさまパンチを当てた方の手を挙げてパンチが当たった事をアピールします。

もしかしたらプロボクシングの試合に見慣れた方は、このスタイルに対して嫌悪感を抱くかもしれません。「そんな手を挙げてアピールする暇があったらもっとダメージを与えないと」とか、「アピールする姿勢が日本人らしくない」と感じるかもしれません。

ですがこのアピールは、1発パンチを当てる毎にポイントが加算されていくような採点方法のアマチュアボクシングでは結構重要だったりします。ダメージを与えてダウンを取っても、一発強くはないけど綺麗にパンチを当てたのとが同じ1ポイントになるのがアマチュアスタイルです。

審判の見ている角度によってはパンチが見えなかったりすることもあるので、「ん?今の当たったかな?」となってる時にセオン選手が手を挙げてアピールしていれば、「当たったんだな」と判断してくれる可能性があります。

もちろん全然当たってないのにアピールしていたら逆効果になるかもしれませんが。

余談ですが、オリンピック前にエキシビジョンで岡澤選手が若手最注目株のプロボクサー佐々木尽選手と試合をしたのですが、その時は佐々木選手が手を挙げてめちゃくちゃアピールをしていました(パンチ当たってなかったけど)。岡澤選手を意識したパフォーマンスだったのかもしれませんね。

岡澤セオン選手はプロでも通用するのか

アマチュアボクシングで結果を出すと、次はプロかという議論になり易いですが、岡澤選手は前々からアマチュア一本で行くことを宣言しています。岡澤選手としてはアマチュアボクシングをもっと改革して、アマチュアでも稼げる道を開拓する事を目指しています。

ボクシングスタイル的にもかなりアマチュアスタイルに特化しているので、プロ仕様に変えるのは困難かもしれません。岡澤選手のボクシングスタイルは、所謂タッチボクシングと言われるもので、ダメージを与えるのではなく、ちょこんと見栄えの良いパンチを当てて攻勢をアピールする形なので、このスタイルではプロでも人気が出ないでしょうね。特に海外では評価されないスタイルです。

アマの試合中でも、後ろ重心で前足が内側を向いちゃっているので左ストレートが伸びません。左ストレートを当てようとしてバランスが崩れる事が度々あります。どんどん前に出てくるスタイルの選手との相性は良いでしょうが、スピードのある長身の選手とは相性悪いかもしれません。左ストレートが届かないか?

まとめ

  • 岡澤セオン選手はここ数年で急激に力を付けており、直近の国際大会でも優勝しているのでメダルが期待できる。
  • 岡澤セオン選手は昨年豪雨の被害に遭ったが、多くの方からの支援があった事で、その経験を力に変えてくれるはず。
  • 岡澤セオン選手のボクシングスタイルは所謂タッチボクシングで、一発当てる毎にアピールするのがうざいと思うかもしれないが、意味のある行動なので大目に見てね。
  • 岡澤セオン選手の将来はプロを目指すのではなく、アマチュアボクシングで稼げる道を模索予定。

以上、岡澤セオン選手の紹介でした。クールな試合運びを期待しています。

  • この記事を書いた人

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。ボクシングニュース、3150FIGHTネタ、各種ボクシングデータ、新人王トーナメント、選手紹介等のボクシングブログを書いています。

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