観戦記

武居由樹タイトル挑戦にベテラン40代対決の行方は?第91回フェニックスバトル観戦記

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。

こんにちはtorajiroです。

武居由樹選手が5戦目で初挑戦する東洋太平洋タイトルマッチに加え、43歳の高畑里望選手 VS 40歳の岡田誠一選手のボクシングではとても珍しい40代ボクサー対決も行われた第91回フェニックスバトルの観戦記です。

ひかりTVに加入していないのでABEMAプレミアムで今回は観戦しました。

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64.5kg契約4回戦 嘉生心(駿河男児) VS 中山啓(川崎新田)

中山選手は身長が高くリーチがある。

1R目、中山がリーチを活かして距離を取り、嘉生選手は踏み込むタイミングを狙うが簡単には入れない。デビュー戦ということもあり嘉生選手は距離を掴めていない様子だったが、ハーフタイム経過したところで中山選手がジャブで踏み込んだところに嘉生選手の右ワンパンチでKO。

中山選手はあのまま距離をキープしておきたかった。

中山選手は身長とリーチを活かした戦いをもっと徹底するか、もうちょいフィジカルを鍛えるか。体が強くなれば打たれ強くもなるので。

嘉生選手もまだ少し体の小さい印象はありましたが、若くてキレのある動きでした。

ミニマム級4回戦 玉城野里斗(沖縄WR) VS 磯金龍(大橋)

サウスポー同士の一戦。

1R目、磯金選手はジャブとフットワークが軽快。玉城選手が入る前に遠い距離からポンポンとジャブを当てる。磯金選手はこのジャブが力強くて良い。玉城選手も徐々に距離を詰めてくるが磯金選手は左アッパーから右フックで迎撃。この左アッパーからの右フックも力強かった。ミニマム級とは思えない。

2R目、開始早々の磯金選手の右アッパーで玉城選手が後退。ここで一気に磯金選手がパンチをまとめるがここは玉城選手も耐えた。玉城選手も被せる左から中に入ろうとするが磯金選手は簡単には入らせない。ラウンド終盤にも磯金選手が左カウンターを合わせ優勢だったが、最後に玉城選手が右フックで磯金選手の腰を大きく落とす。磯金選手はスピードもパワーもあるがガードが低いのでカウンターをもらうと危険。

3R目、前のラウンドにダメージを与えた玉城選手が距離を詰める。磯金選手はパンチのパワーが落ちてきて中に入られてしまう。玉城選手は磯金選手に相打ちの右から更に相打ちの左ストレートでダウンを奪う。立ち上がるがダメージのある磯金選手。磯金選手はジャブで自分の距離をキープしようとするが、相打ちの右フックを貰ってしまう。

4R目、序盤から玉城選手が磯金選手の打ち終わりに左右フックを返して攻勢。磯金選手は接近戦に持って行かれて苦しい展開。中盤からお互い疲れて接近戦で激しく打ち合うが、磯金選手は足に力が入っていない。しっかりガードを固めて打ち終わりにフックを返す玉城選手の方が有効打は多いか。

判定は割れて2対1で玉城選手の勝利。

判定が割れたのは少し意外でしたが、2R目序盤は磯金選手がリードしていたので確かに割れても不思議ではないですね。

磯金選手は良いポテンシャルを持っていたので打ちに行った時のガードが良くなればめちゃくちゃ勝てるボクサーになると思います。今日はデビュー戦でしたからね。

玉城選手はハートが強く、パンチのある磯金選手相手に勇気を持って相打ちに持ち込んでナイスファイトでした。

Sフライ級6回戦 富岡浩介(REBOOT.IBA) VS KC プラチャンダ(角海老宝石)

1R目、サウスポーの富岡選手とオーソドックスのKC選手での距離の探り合い。富岡選手は4回戦時代の低いガードが大幅に改善されている。KC選手が打ちに行ったところへの富岡選手のカウンターが浅いながらもヒット。

2R目、富岡選手がジリジリと距離を詰め、KC選手が打ちに行くとバックステップから踏み込んでワンツーでリード。KC選手が踏み込んだところへのカウンターの左が当たる。終盤にも富岡選手のワンツースリーがヒット。

3R目もKC選手が強引に入るところをバックステップで外してバランス崩れたKC選手に富岡選手がパンチを打ち込む。完全に距離を掴まれたKC選手は突破口が開けない。

4R目、KC選手は上体を振って細かいパンチから富岡選手が飛び込むところにパンチを合わせたいがパンチを貰い合わせることが出来ない。このラウンドも富岡選手が自分の距離を保つ。

5R目、富岡選手のワンツースリーでKC選手バランスを崩す。そこから富岡選手がまとめてダウンを奪ったところで西尾トレーナーが棄権を申し出。

富岡選手は4回戦時代のノーガードに近いヤンチャなスタイルから大人のボクシングに変貌を遂げましたね。ここまでスタイルを修正してこれたのは凄い事だと思います。長年染み付いたスタイルは簡単には変えられないので。

KC選手は最後までやりづらいサウスポーにペースを掴む事が出来ませんでした。本来の持ち味が出せませんでしたね。

最後KC選手がダウンしたところで西尾トレーナーが一切の躊躇いなく棄権を申し出る姿に感動しました。

51.0㎏契約6回戦 アッカポン・ヌガムカエオ(タイ) VS 豊嶋海優(大橋)

アッカポン選手は線が細い。

1R目、早めのフィニッシュが予想される中、豊嶋選手が左、左でダウンを先制。

豊嶋選手は瞬間のスピードが恐ろしく速い。1R終了間際、豊嶋選手がパンチを的確に当て、アッカポン選手が防戦に回っているところでレフェリーが試合をストップ。

豊嶋選手の瞬間で爆発するスピードは華を感じました。

ライト級6回戦 ジョン ローレンス オルドニオ(比) VS 今永虎雅(大橋)

1R目、静かな立ち上がりも今永選手のジャブでオルドニオ選手が大きく後退。今永選手は長身でバランスも非常に良く、完全に試合を支配。

2R目、オルドニオ選手は強引に飛び込むが今永選手は冷静にバックステップ。今永選手の左ボディがローブローとなり試合が一時中断。そんなに低くは見えなかったが。

3R目、コーナーで今永選手の左がヒット。今永選手がコーナーに詰める場面が増えてくる。今永選手はリードしているがもう少し手数も欲しいか。やや慎重になり過ぎている印象。

4R目、今永選手コーナーで左ストレートを当てるがオルドニオ選手は平気な様子。今永選手は単発で終わってしまう。単発で終わっているなと思っていたところ、ラウンド終盤に今永選手が連打から左ボディ。オルドニオ選手はこれが効いて腰を落とすが耐える。

ダウンと思ってコーナーに下がろうとしていた今永選手は慌てて再度の左ボディでKO。今永選手は優しさ、詰めの甘さが課題になってくるか。

日本人でこの階級でここまでバランスも良くスピードのある選手は初めて見た気がします。

世界を狙える逸材だからこそ、最後ダウンと勘違いして背を向けてしまった場面や、パンチが単発で終わってしまったところ、攻めに来てバランスを崩した相手にパンチを合わせなかったところ等、厳しく指摘されもするのかなと見ました。

Sフェザー級8回戦 高畑里望(ドリーム) VS 岡田誠一(大橋)

ランカー特例で定年延長中の後がない2人の一戦。

1R目、岡田選手は昔から得意の接近戦を仕掛けようとするが高畑選手は離れた距離と近づいた時の得意の右アッパー。徐々に岡田選手が接近戦に持ち込んでいく。

2R目、高畑選手は遠い距離からの飛び込むパンチ。岡田選手は中に入って接近戦。お互いの持ち味を発揮するが、高畑選手の左右アッパーの見栄えが良い。ラスト1分のところで高畑選手の右ストレートで岡田選手がゆっくりとダウン。ここで高畑選手もまとめるが岡田選手もボデイを返して反撃。

3R目、前のラウンドにダウンを奪われた岡田選手は積極的に前に出て接近戦へ。岡田選手は得意の接近戦に突破口を見出そうとするが、高畑選手も良い左ボディを返す。

4R目、岡田選手はロープに詰めて左ボディを好打するが、高畑選手もすぐにエスケープ。このラウンドは岡田選手が接近戦で攻勢を強めるが、高畑選手もよく耐えて打ち返した。

5R目、岡田選手はグイグイ前に出るが高畑選手も左右ボディで反撃。岡田選手は圧力を強め左右フックでダメージを与えるが、ダウンを奪うには至らず。

6R目、高畑選手がスタートから積極的に手を出す。高畑選手が先手を打つので岡田選手は中々パンチが出せない。中盤以降は岡田選手も距離を詰めてボディを打ち高畑選手を下がらせる。高畑選手はややふらついている。

7R目、スタートはまた高畑選手が積極的。そこから徐々に岡田選手の接近戦になっていく展開。高畑選手はふらついているようにも見えるが強いパンチを返す場面もある。ボディが随分効いているようにも見えるのだけど。

8R目、高畑選手がコツコツとパンチを当てていたところに岡田選手の強烈な右フックで高畑選手ダウン。ここでついに力尽きる。ポイントはもしかしたら勝っていたかもしれない。

岡田選手は試合開始時から感じていた事ですが、全盛期と比べると萎んで体の厚みが大分なくなりました。2R目のゆっくりと倒れた場面も歴戦のダメージの蓄積が心配になる倒れ方でした。

一方の高畑選手も老獪なボクシングで持ち味は出していましたが、足がふらつく場面が多かったですね。最後の痛烈なダウンもダメージが心配になりました。

高畑選手はこれでランキングから落ちるので引退でしょうか。

43歳。最後の最後まで良く戦い抜いたと思います。

岡田選手にしても高畑選手にしても、ベテランになると下半身の衰えはどうしても感じてしまいますね。同じ40代。2人を見習って僕ももっと走ろう。

OPBF東洋太平洋Sバンタム級タイトルマッチ ペテ・アポリナル(比) VS 武居由樹(大橋)

アポリナル選手ゴツい。簡単には倒せなさそう。

1R目、遠い間合いでの探り合いからスタート。中盤に武居選手強引に詰める場面もあったがアポリナル選手ディフェンスが非常に良い。残り30秒程のところで遠い間合いから武居選手の飛び込む右フックが浅くヒット。

2R目も遠い間合いでの静かな立ち上がり。ヒリヒリする距離の探り合い。武居選手の飛び込むフックはアポリナル選手ダッキングでかわす。ラスト1分で武居選手がボディストレートから攻めに出て両者打ち合いに。ラウンド終盤に武居選手飛び込んで右フックでダウンを先取。アポリナル選手立ち上がるが押し込むようなパンチで2度目のダウンを奪う。武居選手は体の力も強い。

3R目、武居選手の強烈な左ボディが効いている。武居選手の全身の力を拳に乗せるパンチは脅威的。武居選手の左ストレートの上下の打ち分けが有効。

4R目、武居選手が飛び込む得意の右フックでダウンを奪う。終盤に武居選手が左ボディストレートから一気にまとめるがここで武居選手も少し被弾。それでもパワーの差で打ち勝つ。

5R目、飛び込む右にボディストレートに下フェイント見せての左フックと武居選手が強烈なパンチを打ち込んでいく。アポリナル選手もガードが良い。それでも武居選手が強引に打ち込み続け、アポリナル選手が後退したところでレフェリーが割って入り試合終了。ややストップが早い印象もあったが、ポイント差は明らかではありました。

アポリナル選手はディフェンスも良く、攻撃力もあって強い選手でした。

それを力でねじ伏せる武居選手のパンチ力は凄い。

武居選手のパンチは昔のアレクサンデル・ムニョス選手やエドウィン・バレロ選手みたいな全体重を拳に乗せるパンチだと思いました。日本人でもこんなパンチを打てる選手が出てきた事が嬉しい。

まとめ

KOの連続で試合が終わったのも8時台と超速だった今回の興行。メインの終了後に規制退場のアナウンスを無視して帰っていく人も少ないように見えました。

あっという間で見せ場も多く、選手の成長も感じる楽しい興行となりました。

ランカー特例で37歳の定年を超えて40代で戦った岡田選手と高畑選手。2人とも被弾が多く、37歳で引退していくノーランカーの選手達よりもお二人のダメージの方が心配になります。

ランカーの方が歴戦のダメージも大きいでしょうし、ランカーだからという特例ではなく、37歳を過ぎたら一律試験を課してディフェンス面重視で再審査、加えて3連敗したら引退とか、2試合連続でKO負けしたら引退とか、定年延長の特例に関してはもうちょっと別な基準を設けた方が良いのではないかという気がしました。

勿論お二人の戦いには同世代として強く心を打たれましたが。

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