ボクシングブロガーのtorajiroです。
この記事では、最新の情報に基づき「現役の日本人ボクシング世界王者」をまとめています。
井上尚弥選手をはじめ、各団体でベルトを保持する王者の顔ぶれを一覧表で整理。
加えて世界王者の仕組みや日本人が強い階級、最近の傾向についても解説。
ボクシングファンはもちろん、初心者にもわかりやすい内容を意識してまとめました。
この記事がボクシングファンになるきっかけとなれば幸いです。
1.ボクシングにおける「世界王者」とは?

ボクシングで「世界王者」と呼ばれるのは、世界主要4団体(WBA、WBC、IBF、WBO)のいずれかの王座を保持する選手を指します。
日本国内でも「世界チャンピオン」と紹介されるのは基本的にこの4団体の王者であり、これ以外の団体(例:IBOなど)は正規の世界王者として扱われないことが多いです。
ただし、井上尚弥選手のような「統一王者」や、同じ団体でも「スーパー王者」「正規王者」「暫定王者」と複数の肩書きが存在するため、コアなボクシングファン以外にとっては少しわかりづらいのが現状です。
ここではまず、主要4団体とその王座区分について整理します。
1-1. 世界主要4団体(WBA・WBC・IBF・WBO)の違い
WBA(世界ボクシング協会)
1921年創設。
アメリカで設立された最古の団体。
ベルトの歴史が長く、認知度も高いが、王座の分裂(スーパー王者・正規王者・暫定王者など)が多いことで知られる。
WBC(世界ボクシング評議会)
1963年設立。
緑のベルトは多くの日本人ボクサーの憧れであり、多くの名王者を輩出。
日本では最も人気・権威が高いとされる団体?
IBF(国際ボクシング連盟)
1983年設立。
元々はアメリカ色が強く、近年はアジア選手の活躍も目立つ。
日本が世界王座認定団体と認めたのは2013年。
1位の選手との指名試合制度が厳格4団体で最も厳格に管理されている。試合当日の体重の戻し幅も制限を設けている。
WBO(世界ボクシング機構)
1988年創設。
本部はプエルトリコ。比較的新しい団体だが、今では主要4団体の一角として完全に定着。
日本が世界王座認定団体と認めたのは2013年。
井上尚弥選手がオマール・ナルバエス選手を破りSフライ級のベルトを獲得したことで日本でも認知度が一気に高まった。
1-2. 正規王者・スーパー王者・暫定王者の違い

ボクシングでは、同一団体の同じ階級に複数の「王者」が存在するケースがあります。
特にWBAは階級内に“スーパー王者”と“正規王者”が同時にいることが多く、ファンを混乱させています。
(WBAには更にゴールド王者というものもありますがこれは無視。)
- 正規王者
本来の王座(変な表現ですが)。通常はこの選手がその団体における「チャンピオン」と呼ばれるが、WBAにおいてはスーパー王者の乱立という問題も生じています。 - スーパー王者
同じ団体で複数回の防衛や統一戦勝利など特別な実績を残した場合に与えられる称号。スーパー王者が存在する場合、別の選手が「正規王者」として認定される。これによって同一団体同一階級に世界王者が2人という事象が生まれます。 - 暫定王者
元々は正規王者が怪我や事情で試合できない際に設けられる一時的な王座で、正規王者が復帰すれば王座統一戦が行われるというものでしたが、WBAにおいては暫定王者が設けられる基準も曖昧で承認料ビジネスのために利用されている側面が強い。 - 休養王者
怪我により正規王者が「一定期間」防衛戦を行えなくなると休養王者が設けられます。この「一定期間」が曖昧で、明確な基準がないままに突如として休養王者となったり暫定王者が設けられたりすることがあります。
こうした事情から「世界王者は誰?」という問いに対して一つの団体の中ですら複数の名前が挙がることがあります。
王者が乱立している時代において4団体のベルトを全て統一し、そのベルトを守り続ける井上尚弥選手がいかに異次元の存在かが分かるかと思います。
2.現役日本人世界王者一覧

2025年9月現在、日本人ボクサーは男女合わせて8名が主要4団体の世界王座を保持しています。
井上尚弥を筆頭に、男子はバンタム級やスーパーフェザー級で複数の王者が誕生しており、女子でもWBO世界王者が存在しています。
以下の表では、階級ごとに現役日本人世界王者を整理しました。
2-1. 日本人世界王者 一覧(2025年9月時点)
階級 | 選手名 | 団体 | 所属ジム | 戴冠日 | 防衛回数 |
---|---|---|---|---|---|
スーパーバンタム級 | 井上尚弥 | WBA・WBC・IBF・WBO(4団体統一) | 大橋 | WBC・WBO=2023年7月 WBA・IBF=2023年12月 | WBC・WBO=5 4団体=4 |
バンタム級 | 中谷潤人 | WBC・IBF | M.T | WBC=2024年2月 IBF=2025年6月 | WBC=5 IBF=新王者 |
バンタム級 | 武居由樹 | WBO | 大橋 | 2024年12月 | 2 |
バンタム級 | 堤聖也 | WBA | 角海老宝石 | 2024年10月 | 1 |
フライ級 | 矢吹正道 | IBF | 緑 | 2025年3月 | 新王者 |
ライトフライ級 | 高見亨介 | WBA | 帝拳 | 2025年7月 | 新王者 |
女子スーパーフライ級 | 晝田瑞希 | WBO | 三迫 | 2022年11月 | 5 |
女子ミニマム級 | 黒木優子 | WBA | 真正 | 2025年1月 | 1 |
2-2. 日本人世界王者の動き

2025年の日本ボクシング界では、以下のような動向が見られます。
- 男子はバンタム級と今後はスーパーバンタム級が激戦区へ
バンタム級は井上尚弥選手が統一王者を返上後は中谷潤人・武居由樹・堤聖也・西田凌佑・井上拓真と、多くの日本人ボクサーで世界のベルトを奪い合う時代へ。
同時期にこれだけ多くの日本人が同階級付近で王座を保持するのは極めて珍しい状況です。ここに那須川天心選手も近々参戦。
中谷潤人選手はSバンタム級に階級を上げて井上尚弥選手とのビッグマッチが予定されています。井上尚弥選手がSバンタム級のベルト返上後は同じくSバンタム級が激戦区になっていくか。 - 地方ジムからの世界王者も誕生
緑ジムの矢吹正道選手や、今は無冠ですが倉敷森安ジムのユーリ阿久井政悟選手のような地方ジムから世界のベルトを手にする選手も出ています。Sフェザー級の力石政法選手が緑ジムから大橋ジムに移籍したように中量級以上になると大手ジムでないとマッチメイクは困難。 - 女子ボクシングの定着
女子ボクシング界の圧倒的カリスマ晝田瑞希選手の登場によって女子ボクシングも大きな盛り上がりを見せています。今後も和田まどか選手ら圧倒的実力を持った選手達が世界のベルトをどんどん獲得していくでしょう。ベテラン黒木優子選手が女子ボクサー達の壁になるか!?
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3. 日本人の世界王者数・強い階級は?
日本ボクシング界は長い歴史の中で数多くの世界王者を輩出してきました。
長い歴史の中で遂に井上尚弥選手のようなパウンドフォーパウンドの1位になる選手も生まれました。
ここでは、日本人ボクサーがどのように世界王者を獲得してきたのか、ざっくりと歴史的、階級的傾向を整理します。
3-1. これまでに何人が世界王者になったのか?

1952年に白井義男が日本初の世界王者になってから、2025年現在までに100人を超える日本人世界王者 が誕生しています。
2000年代以降は毎年のように新たな王者が生まれており、現代は日本ボクシング界の黄金期と呼べるほどの量産期に入っています。
(IBFとWBOが日本でも認可されたという要因もありますが。)
特に2020年代は、
- 井上尚弥選手の2階級4団体制覇
- ビッグバン中谷潤人選手の台頭
- 寺地拳四朗選手の長期政権
- 唯一無二の4階級制覇王者井岡一翔選手
- ミドル級で統一戦を実現させた村田諒太選手
ら世界的にも高く評価されるボクサーが次々と現れています。
日本人は世界的に見ても「小柄な体格」が多いため、軽量級での戴冠が中心ですが、選手層の厚みが増したことで同じ階級に複数の日本人世界王者が並び立つ現象も珍しくなくなりました。
井上尚弥選手がSバンタム級からフェザー級へと戦場を移したら日本人ボクサーが戦える階級の幅も更に広がっていくでしょう。
軽量級大国日本においてミドル級でゴロフキン選手とのビッグマッチを実現させた村田諒太選手は異質な存在でした。
3-2.日本人ボクサーが強い階級はどこ?
日本人が特に強さを発揮してきたのは、ライトフライ級〜バンタム級 にかけての軽量級です。
日本のボクシング界はこの4階級を中心に回っております。
この4階級に加えて最近はスーパーバンタム級が熱くなっており、ミニマム級も多くの世界王者を輩出しております。
一方で、ライト級以上の中量級では歴史的に日本人王者は少なく、世界的な壁の高さがうかがえます。
階級別の世界王者の防衛回数については以下の記事もご参照ください。
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4. 現役世界王者の試合予定
4-1. 直近の世界戦スケジュール
2025年後半も、日本人王者の試合が続きます。注目のスケジュールを簡単に整理すると次の通りです。
- 井上尚弥 VS ムロジョン・アフマダリエフ(2025年9月14日/IGアリーナ)
4団体統一王者・井上尚弥が、WBA暫定世界王者アフマダリエフと激突。2025年最大の注目カード。 - 武居由樹 VS クリスチャン メディナ ヒメネス (2025年9月14日/IGアリーナ)
WBAバンタム級王者として2度目の防衛戦。ここに勝てば那須川天心選手との対戦も近づいてくる。
4-2. 注目の対戦カード
現役王者の試合予定の中でも特に注目すべきはやはり井上尚弥選手の一戦でしょう。
2025年9月14日に対峙するアフマダリエフ選手は高い技術・強いフィジカル・強打を誇る危険な相手であり、この一戦は世界的にも注目を集めています。
また、バンタム級は中谷潤人選手がベルトを返上し、武居由樹・堤聖也の王者2人に加え、井上拓真VS那須川天心戦も噂されています。
もし実現すれば、日本ボクシング史上に残るビッグイベントとなるでしょう。
女子に目を向けると、晝田瑞希の防衛戦は海外メディアからも注目されており、今後のスター選手としての飛躍が期待されています。
まとめ|ボクシング世界戦の観戦方法や配信媒体
記事の最後にボクシング世界戦の観戦方法を紹介しておきます。
休日に開催される井上尚弥選手の試合でもない限りボクシングのチケットが売り切れることは滅多にないので、少しでも興味が湧きましたら会場にも足を運んでみてください。
試合の現地での観戦方法については以下の記事にて紹介しております。
世界戦チケットは選手から直接購入はなかなか難しいですが、可能なら選手から直接チケットを購入すると応援の熱も増します。
配信媒体は世界戦の場合には主にアマゾンプライムビデオ、U-NEXT、Leminoの3媒体で視聴可能です。
Leminoは無料プランでも井上尚弥選手の世界戦は視聴できますが、プレミアムに加入していると内容の濃いドキュメンタリーも視聴できるのでお勧めします。
U-NEXTは月額の高さが気になり加入に躊躇する方も多いかと思います(自分もそうでした)。
少しでも安く加入したいという方向けに安く視聴する方法を以下の記事で紹介しています。