こんにちはtorajiroです。
2022年度一発目のボクシング興行「ザ・グレイテスト・ボクシング」の観戦に行ってきました。
チケットはセレスジムの南出仁選手からVIP席で購入させていただきました。
1試合目は間に合わなかったので2試合目からの観戦記です。
試合内容よりは選手の長所や課題に目を向けた内容となっております。
Sフライ級4回戦 安岡翼(パンチアウト)VS関根光(館林)
34歳の安岡選手と20歳の関根選手の一戦。
オールドルーキーの安岡選手に頑張ってもらいたい気持ちはあったが、スタートから実力差は明らか。
序盤から関根選手の打ち終わりやカウンターの右が良く当たっていた。
安岡選手は貰った時に真っ直ぐ下がってしまい簡単に追撃を許していた。
セコンドから「そこ入らないと」という指示に従って中に入るのだけど、そこで何もしないのでただパンチを貰うだけになってしまっていた。
安岡選手はリーチがあるのだからもっと自分の身体的特徴を活かしたボクシングに活路を見出した方が良い(と思います)。
相手の入りをジャブで止めるような、もっと相手の動きに合わせたジャブを練習して行くべきじゃないかと思いました。
ガード固めて中に入って接近戦に持っていくようなスタイルではないはず。
関根選手は動きにキレがありましたね。新人王トーナメントに出れば良い線行くと思います。
試合は関根選手の2RTKO勝利。序盤にも打ち終わりに右合わせてダウンを奪っていました。
Sフェザー級4回戦 高橋倫矢(セレス)VS遠藤圭介(DANGAN郡山)
まだ19歳と若い高橋選手の冷静さが光った試合でした。
開始直後は上背が高くて懐の深そうな遠藤選手に距離が合わないように感じたが、強引に入ってきた遠藤選手からダウンをゲット。
2R目からはボディストレートも当たるようになり、距離も掴めていた印象。
ボディが当たるようになったところから、セレス会長の「それ工夫して上に」というアドバイスを聞き、左ボディストレートの角度から上に持っていこうとしている姿勢も良かった。
試合の中でも冷静に練習していることを実戦で使おうとしているようでした。今後も伸びるだろうし、トレーナーとしても教えがいのありそうな選手。
一方の遠藤選手はリーチで優っているのにどうしてそこを活かしたボクシングをしなかったのだろう。
序盤は高橋選手も明らかに距離の遠さを感じていたはず。
ちょこちょこ左突きながら距離を詰めて大振りの右を狙ってそこから接近戦という戦い方で、リーチの差を全く活かせていなかった。
サウスポー相手でやりづらかったのかもしれないけれど、例えば左をもっと上下や中と外に散らしながら動いて、距離が合ったらノーモーションの右を打ったり、(大振りの右じゃなくて)ノーモーションの軽い右から左を返したり、身体的特徴を活かしたボクシングをして欲しかったです。
その上であのオーバーハンドの右を打てばクリーンヒット奪えたんじゃないかと思います。
もっと腕の長さ、懐の深さを活かした戦い方をすればかなりやりづらい選手になるはず。
試合は3対0の判定で高橋選手の勝利。僕の採点は40対35。どなたか一者が38対37と付けていましたが、高橋選手が2ポイントも取られるような試合内容ではなかった気がします。
ダウンがなければドロー?あの内容で?少し偏りのあるジャッジに感じました。
バンタム級4回戦 細淵雄大(F赤羽)VS小林亮二(戸高)
ワンサイドのフルマークで小林選手の判定勝利。
小林選手は変なクセもないし、パンチも良く伸びるので、体が出来上がって来れば勝ち星を重ねていく選手になるでしょうね。強いて言えば後半のラウンドは若干ガードが低くなっていたかな。
勝利で若干泣いていましたね。勝って当たり前みたいなキャラかと思いきや、ちょっと可愛かった。
細淵選手はそもそもの体の使い方を見直さないとアレでは強いパンチが打てません。
常に肩まわりに力が入っていて、肩と腕の力だけでパンチを打っているので全部のパンチが寸止め状態。
意識を肩まわりではなくお腹に持っていかないと。例えばお腹を引っ込めなから息を吐いたら肩の力みが下に降りてくるので、そうやって中心を意識したり、下半身の力を拳に伝えていく練習をした方が良いと思います。
かなり意識して体の使い方を変えていく練習をしないと、いくらガムシャラに練習しまくったとしても強くなれないです。使っている筋肉が少なすぎるので。
逆に言うと伸び代は半端ない。細淵選手は既にある筋肉を使えるようにしていくだけで劇的に変われるはずです。
その上であの機動力があれば勝てるボクサーになれると思います。
あと一点、細淵選手あのホールドは良くないです。かなり執拗に小林選手の腕を掴んでいたので、故意ではないでしょうから、そこは意識しないと次も同じことしてしまうと思います。
58.5kg契約6回戦 それいけ太一(KG大和)VS関根駿(ワールドS)
この試合から一気にレベルが上がりました。実力的にはランカーと遜色なし。
それいけ太一選手は勝手にもっと変則的なボクサーだと思っていたけれど、柔らかいフットワークでサイドに良く動き、相手のガードの隙間にポンポンと軽快にパンチを当て、動きに華がありました。
どんなスポーツやっても器用にこなしそう。
関根選手はフィジカルが強くてパンチがありました。特にボディが良く、1,2Rはそれいけ太一選手が軽快にパンチを当てていましたが、3R目になるとボディ打ちで反撃。
このまま流れが関根選手に傾いていくかなと思ったところでバッティングにより試合終了。
切れた箇所がかなり目の近くだったので危ないカットでした。
関根選手はこの敗戦で気落ちする必要はなく、このまま経験を積めばランカーにはすぐになれると思います。
判定は2対0でそれいけ太一選手の勝利。僕の採点は39対38でそれいけ太一選手でした。
Sバンタム級6回戦 坂本佳朗(本多)VS吉岡 新(マナベ)
試合開始前から吉岡選手の目がヤバかった。。
あんな目で見られたらちょっと恐い。でも試合が盛り上がるから良いことです。
試合は坂本選手のジャブワンツーが内側から綺麗にヒットして、吉岡選手がフックを振り回して反撃する展開。
改めて自分はジャブの上手い選手が好きなんだなと感じた一戦。
坂本選手のジャブが光った一戦でした。多分スパーリングではもっとめちゃくちゃ強い選手なのではなかろうか。
吉岡選手は強引に詰めるしかなかったのでしょうが、バッティングが目立って最終ラウンドには減点取られてしまいましたね。
拳はかなり固そうで、握力が強そうなパンチでした。
判定は3者共に58対55で坂本選手の勝利。僕の採点は59対54で坂本選手の勝利。自分の好みが採点にも出てしまいましたね。
Sフェザー級8回戦 奈良井翼(RK蒲田)VS長谷川慎之介(ワールドS)
奈良井選手はSフェザー級にしては小柄な印象。
しかしサウスポーを苦にする様子が全く見られず。距離を掌握する能力に秀でていると感じた。
それと度胸があってどんな状況でも落ち着いていますね。
1Rに左フックで長谷川選手をグラつかせた後も慌てることなく冷静。
2Rも長谷川選手のダメージを確認しながら深追いはせず、最後はここだと思ったところで一気にまとめてレフェリーストップ。
2Rの短いラウンドで決着しましたが、長谷川選手のダメージは相当でした。
奈良井選手は冷静にダメージを見極めていたし、トレーナーの指示もちゃんと聞いているし。これは強い。。
それと柳光会長のアドバイスが的確過ぎ。指示通りに出したパンチがどれもクリーンヒットしていました。
一方の長谷川選手。今回は負けてしまいましたが、体幹が太くてフィジカルの強さを感じました。
関根選手もそうでしたが、ワールドSの選手はフィジカルが強い選手が多い気がします。普段から良く練習しているのでしょうし、指導方法も良いのだと思います。
全然ここで終わる選手ではないので、ダメージ抜けたら再起して欲しいです。
Sバンタム級8回戦 南出仁(セレス)VS竹原毅(協栄新宿)
南出仁選手のスタイル変更(修正?)が光った試合。
元々南出選手は激闘型のハードパンチャーで、勝っても負けてもKOというハズレなしの選手です。
今回はサウスポー同士の一戦なので距離が噛み合って余計に激しいどつき合いになるかと思いきや、静かに距離を探り合う展開に。
普段は強引に入って足が揃った所にパンチを貰ってしまう事のある南出選手ですが、今回は軌道修正していて殆どクリーンヒットを貰っていませんでした。
南出選手はそもそもがスピードも技術もある選手なので、接近戦で激しく打ち合わなくとも中間距離でスピードとパワーを活かして戦っていればもっと良いボクシングが出来るはず。
その思いが体現されたかのような試合でした。
落ち着いた立ち上がりでしたが、徐々に距離が縮まり、南出選手の有効打が目立ち始め、3R目には優劣が明らかになり、4R目に良いパンチが入ったところで一気にまとめてレフェリーストップという文句のつけようの無い試合でした。
竹原選手はもっと手を出したかったでしょうが、打ちに行こうと思ったら南出選手に先手を取られてペースを取られたままズルズル行ってしまった感じでした。
南出選手はスッと入りながら打つノーモーションの左が得意ですが、サウスポー同士でもあのパンチは良く当たっていました。自分の中でここだというタイミングが分かっているのでしょうね。
次戦への期待が膨らむ試合内容でした。
全体を通した感想
久々にボクシングの興行を生で観戦しました。
会場で1人で観戦したのは初めてかも。
自分がボクシングを始める前の、セレス小林選手が大好きなボクシングファンだった頃の気持ちを思い出して懐かしい気持ちになりました。1人観戦も悪くないですね。
ボクシングは殴り合いなのでエンターテイメント的な派手さはなく、演出もやや地味。観客も少なくて声援禁止で拍手のみなので、会場が静かでちょっと寂しかったです。
自分のようにボクシング自体が好きな人なら気になりませんが、初めて来た人が見たらと思うと気になりました。
(4回戦の選手から入場音楽をつけていたのはとても良かったです!!)
あと、仕方のないことかもしれませんがスポンサー紹介が長かった(苫米地さん肩書き多すぎるよ笑)。
初戦は間に合いませんでしたが、4回戦で負けてしまった安岡選手、遠藤選手、細淵選手は自分の個性を伸ばすボクシングをすれば勝てると思います。特に遠藤選手はあのパワーと懐の深さは対戦相手にとっては脅威のはず。
このまま終わらずに頑張って欲しいです。
最後の最後に、リングアナウンサーの「高いところから声援禁止と呼びかけ続けて申し訳ございません」というメッセージがグッと来ました。