3150FIGHT JBC ボクシングニュース

皇治のボクシング参戦は何故NG?共同宣言,JBCルール,過去の前例から見た原因は?

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。

こんにちはtorajiroです。

8月14日の3150FIGHTの興行にてRIZINファイターの皇治選手がプロボクサーのヒロキングとエキシビジョンマッチを行う予定だったところ、日本プロボクシング協会(JPBA)から待ったがかかり、JBCが改善要求を出す事態に陥ってしまいました。

「非ボクシングイベント等には関与、協力しない。」事を明記したJBCとJPBAの共同宣言に反する事が待ったがかかった主たる理由と言われています。


但馬ミツロ選手と洋介山さんのエキシビジョンは良かったのになぜ皇治選手はダメ?

源選手の引退スパーは内山さんが相手だったけどあれはなぜOK?

LEGENDでプロボクサーとアマボクサーがエキシビジョンをしていたけれど?

プロボクシングの興行の中でアマチュア選手のスパーリングがあったけどそれは良いの?


様々な疑問の声を目にしましたので、共同宣言の中身とJBCルールの該当部分を確認し、妥当性を検証してみました。

JBC,JPBA共同宣言の全文

まず初めにJBCとJPBAの共同宣言全文を載せます。

他競技を貶める表現が多々含まれておりますので、不快に感じる方もいるかと思います。

宣言

ボクシングは最古のオリンピック種目の一つであり、また他の単なるショービジネス的競技とは一線を画して、長い歴史の中でスポーツとして認知されてきたプロ競技でもある。

我々各団体はこれまで、ボクシングがそうした競技スポーツであるという自負を持って、世界諸団体とも協働しながら、安全性重視の姿勢等に基づき、公平・公正なルールを策定し、その運営に努めてきた。

しかるに、近時「ボクシング」、「ボクシングルール」などの名の下、商業性のみを追求する一方、安全性を軽視し、公平・公正とは言い難い運営をするイベント、企画等(「非ボクシングイベント等」)が散見される。これらは、競技スポーツとしてのボクシングに長年にわたり寄与し、発展させてきた我々各団体の努力を踏みにじるものであり、看過できるものではない。また、安全性、健康管理上も極めて重大な危惧がある。スポーツ文化を守り、ボクシングの健全な発展を改めて期するため、我々は下記の通り宣言する。

  1. 非ボクシングイベント等には関与、協力しない。
  2. 非ボクシングイベント等の不当性を、今後も世論に訴え続ける。
  3. 非ボクシングイベント等に参加した格闘技選手等が、我々各団体が定める手続きを経た上で、競技スポーツとしてのボクシングに参加することについては、門戸を開放し、これを歓迎する。

以上

2019年6月21日
一般財団法人 日本ボクシングコミッション
日本プロボクシング協会

以上は日本ボクシング協会公式サイト【宣言】非ボクシングイベントについてより引用しました。

「他の単なるショービジネス的競技」が何を意図しているのか?かなり不穏な空気を感じる宣言です。

が、この宣言だけでは他のエキシビジョンが何故許可されて皇治選手のエキシビジョンが認められないのかは分からないので、続いてJBCルールの該当箇所を見ていきます。

JBCルール該当部分(ライセンス)

JBCライセンスを所持していない者の取り扱いとJBCライセンスを所持している者の取り扱いについては以下のルールが定められています。

第2章 ライセンス
第1節 ライセンスおよびライセンス所持者
第9条(ライセンスの意義)
JBCのライセンスを所持していない者は、JBCの管轄のもとでおこなわれるプロボクシングの試合(公式試合場におけるスパーリングおよび慈善試合を含む)に関与すること、および試合の興行に関する契約の当事者となることができない。

第12条(他のスポーツライセンスとの兼用禁止)
すべてのライセンス所持者は、JBCによる特別の許可がない限り、他のプロスポーツまたは他の格闘技関連団体に関与もしくは従事すること(非公式試合への出場を含む)はできない。

一般財団法人日本ボクシングコミッションルールより抜粋

JBCライセンスを持っていない者は公式試合場におけるスパーリングもNG。

逆にJBCライセンスを所持している者は他のプロスポーツに関与することは出来ませんが、JBCによる特別な許可があれば認められることもあるようです。

共同宣言、JBCルールに則した過去の前例の是非

共同宣言の内容とJBCルールに照らした場合の過去の前例の是非を見ていきます。

LEGENDでプロボクサーとアマボクサーがエキシビジョンをした件

このケースはJBCルールに「すべてのライセンス所持者は、JBCによる特別の許可がない限り、他のプロスポーツまたは他の格闘技関連団体に関与もしくは従事すること(非公式試合への出場を含む)はできない。」とあることから、JBCによる特別の許可があったのでしょう。

ということでLEGENDで謎のゾンビムーブをしていた佐々木尽選手はセーフ。

プロボクシングの興行の中でアマチュア選手のスパーリングがあった件

プロボクシング興行においてアマチュアボクサーのスパーリングが途中に組み込まれることは昔からありました。

かつてはアマチュア側がそれを問題視する事もありましたが、今はプロアマ解禁ですし、別に問題ないのだろうと思っていましたが、このパターンは「JBCライセンスを所持していない者はJBC管轄のもとで行われる興行には関われない」という規定に引っかかってきます。

出典:GENKOTSU 立川立飛大会 vol.5 ライブ配信

3150FIGHTはこの規定に抵触しないよう、エンタメファイトはJBC管轄の試合開始前に組み込み、但馬ミツロ選手と西島洋介山氏のエキシビジョンも全興行終了後、JBC役員が退出後に行われました。

そこまで徹底した3150FIGHTに対し、GENKOTSU興行でのアマ選手のスパーは興行の合間に組み込まれていました。

3150FIGHTでなければJBCのチェックも甘くなるようです。

ちなみにGENKOTSU興行でもアマチュアボクサーのスパーのレフェリーはJBCの方ではなく、元日本ライト級チャンピオンで現在リングサイドフィットネスジムの会長を務めるリック吉村氏がリングに上がっていました。

JBC役員は関与しないという面で、3150FIGHT程徹底はしていないにしても一応基準はクリアしているものと思われます。

但馬ミツロ選手と西島洋介山氏のエキシビジョンが認められた理由

但馬ミツロ選手と西島洋介山氏のエキシビジョンはプロボクサーとライセンスを所持していない者という構図なので今回の皇治選手とヒロキングのパターンとほぼ同じ。

このエキシビジョンは合わせ技で認められたものと考えられます。

  1. エキシビジョンを興行終了後、JBC管轄外のイベントとして実施
  2. ライセンス所持者がJBC管轄外の試合に出られない点については、JBCの特別の許可があれば良いのでJBCが特別に許可

1.JBC管轄外として実施し、2.そこに但馬選手が出場することをJBCが特別に許可。

この方法でなら規定にも抵触しないので開催出来たものと思われます。

源大輝選手の内山高志氏との引退スパーは何故OK?

最後に源選手と内山氏のエキシビジョンですが、このエキシビジョンは異なりJBC管轄のもとに実施されました。

レフェリーもJBCの寺山修平氏が担当しています。

BOXING RAISEより

源選手は既に引退を表明しており、2022年度のライセンスは更新していません。当然ながら過去に引退している内山氏もボクサーとしてのライセンスは持っていません。

どちらもライセンスを所持していないので、「JBCのライセンスを所持していない者は、JBCの管轄のもとでおこなわれるプロボクシングの試合(公式試合場におけるスパーリングおよび慈善試合を含む)に関与すること、および試合の興行に関する契約の当事者となることができない。」の規定に反します。

ライセンスを所持していない者が、JBC管轄の興行においてスパーリングを実施していたことになります。

心情的には当然認めて良いエキシビジョンだと思いますが、規定に照らし合わせれば認められないのでは?

皇治選手の参戦にJPBAが待ったをかけて厳しい条件を課すのであれば、この引退エキシビジョンもルールに準拠するべきです。

過去にライセンスを所持していた者がJBC管轄のリングに上がる事は認めるという細則がどこかにあるのかもしれませんが。

過去の前例がありながら何故皇治選手の参戦に待ったが入るのか?

但馬ミツロ選手の前例があり、更にルール上はNGに見えるライセンス不所持者の源選手と内山氏の引退スパーがJBC管轄で行われているにも関わらず、何故皇治選手の参戦には待ったが入ったのでしょうか?

その答えはJBCと日本プロボクシング協会の共同声明の中にある以下の表現にあると僕は解釈しました。

  • 「他の単なるショービジネス的競技とは一線を画して」
  • 「商業性のみを追求する一方、安全性を軽視し、公平・公正とは言い難い運営をするイベント、企画等(「非ボクシングイベント等」)」
  • 「非ボクシングイベント等には関与、協力しない。」

皇治選手はRIZINファイター。

RIZINはJBCとJPBA的には単なるショービジネスの団体と見做されたのでしょう。

ショービジネス団体に所属している皇治選手が出場するイベントであればそれは非ボクシングイベント。

よって非ボクシングイベントである皇治選手のエキシビジョンにプロボクサーが出場することは認められない。

という結論になったのだろうと解釈しました。

皇治選手のエキシビジョンは開催されるのか?

JBCとJPBAが皇治選手の3150FIGHTへの参戦にNGを出した理由は前述の通りと考えますが、この結論に至る根底にあるのはボクサーとボクシングが他の格闘技団体のスターの引き立て役に回ってしまう事を恐れる心理があると思います。

今の弱体化した日本ボクシング業界は、戦時中の日本のように劣勢に立たされ、敵国の文化を卑下することで自らの権威を保っているような状態と言えるのではないでしょうか。

間違っても自国民が敵国の文化になびくことは避けねばならず、そうした者が現れた場合には非国民として排除。

破産危機から復活した新体制のJBCはきっとこの流れから脱しようと模索しているはずですが、一蓮托生の日本プロボクシング協会(JPBA)は果たしてどうなのでしょうか?

今回の経緯を見る限り、JPBAはボクシング業界全体を考えるより、デカくなってきた3150FIGHTに警戒心を抱き、他団体の選手との交流も拒もうとしているように見受けられます。

他者を排除し、卑下する姿勢を貫いていたら、ボクシングから優秀な人材がどんどん流出し、いずれは一部のトップボクサー以外はパンチの技術でもキックボクシングの選手に勝てないような時代がやってくるかもしれません。

ですが今は民主主義の世の中。おかしいことに対してはおかしいと声を上げる人がいれば理不尽な理屈を押し通す事は出来ません。

今回の皇治選手の参戦は過去の前例からも客観的に見て認めない訳にはいかない案件です。

前例もあり、事前協議も重ねた上での発表ですので、開催されるものと思って当日を楽しみに待ちたいと思います!!

皇治選手もひたむきにボクシングに取り組んでおり、少なくとも4回戦レベルは超えていると思います。

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