亀田興毅氏率いる3150FIGHTとエンタメ集団LUSHBOMUが手を組んだ興行3150×LUSHBOMUがキルギスに進出。
新たな市場開拓、しかもキルギスといえばアマのトップエリート達が多数存在する。
プロ興行がなかったが故にプロの世界に入らなかったアマのトップファイター達をプロの道に引き込めば、ここから次々と世界王者が誕生するかもしれない。
ディミトリー ビボル選手のような世界的に活躍する選手も出てくるかもしれない。

でもここでちょっと待った。確かに夢はあるけれど、これって日本ボクシング界にとってメリットのあることなの?
という視点で見た時の疑問点をこの記事では整理します。
厳しい意見を述べますが、元来が3150FIGHTとLUSHBOMUを応援する立場ですので期待を込めての意見であることはあらかじめご了承ください。
物価の安いキルギスで稼げるの?
まず最初にこれは興行主として見た時の問題として、日本と比べ1/3程度といわれるキルギスで興行を行っても稼げるのでしょうか。
自国より物価の安い国に出稼ぎに行くことがあり得ないことからも分かるように、物価の安い国でいくら稼いでも日本に帰ればその価値は1/3。
しかも日本から選手、関係者、JBC職員がキルギスに向かうので移動費・滞在費も相当にかかる。
2025年7月20日のキルギス興行は会場のチケットも無料だったと報道されていました。
キルギス側から先行投資として相当なお金が出ていたとしても、現状においては稼げるポイントが見つかりません。
将来的にビボルのようなスター選手が出てくればそこで投資額を回収出来るのかもしれませんが、まだまだプロデビューしたばかりの選手が大半で、スター選手が出るまでには長い時間がかかりそうです。
キルギス興行は配信も視聴数は正直良くない
3150×LUSHBOMU in キルギスのABEMAでの視聴数は最終的に10万超でした。
この数字は対戦カードの半分が日本では無名の中央アジアの選手だったことを考えれば健闘した数字かもしれませんが、10万視聴はそんなに誇れる数字ではありません。
西田 VS エマロド戦なんかはアンダーカードの4回戦時点で10万視聴を超えていたし、最終的にはメインの入場時点で40万視聴を超えていました。
そう考えるとキルギス興行は視聴数の面でも稼げていません。
今後、日本だけでなく世界のボクシングファンに向けて配信されたとしても、まだキルギスボクサーの大半が実力はあっても世界的には無名。

無名の異国のボクサー同士の対戦なんて配信されていたとしても普通に考えて視聴しません。
ビボルが出るとかそういうことでしたら話は別ですが、世界的に知名度のある選手が出場しない限りは世界各国で配信されたとしても殆ど視聴されずに終わるでしょう。
これは断言します。
無名のキルギスボクサーと対戦するメリットは?

- 物価の安い国での興行。
- 配信も視聴数は悪い。
- 更にキルギスのボクサーは実力はあるがまだ無名でランキングも持っていない。
という前提がある中で日本人ボクサーがキルギスで戦う意味は何なのでしょう。
直行便もなく移動時間も片道20時間弱かかるそうです。
減量中にこの20時間の移動は鬼畜。
トレーナーはじめスタッフもこの間拘束されて他の選手を見ることが出来なくなります。
そこまでして試合をして勝ってもランキングが手に入るわけでも名前が売れるわけでもありません。
TBプロモーションであれば海外のリングに上がるリスクはあれど、カシメロのようなビッグネームであったり、タイトルがかかっていたり、勝てばランキングが手に入ったり、戦う選手にメリットがあります。
同じ海外での興行でも、TBプロモーションと3150 in キルギスは戦う選手のメリットの有無に大きな違いがある。
日本タイトル並みの100万を超えるファイトマネーが出るとかそういう話でもない限り、キルギスのリングに上がるメリットは殆どありません。
物価の安い国での興行なのでファイトマネーもしっかりした額が出せるのかどうか。
この辺りちゃんとした説明がないとキルギス興行に協力するジムも選手も出てこないでしょう。
個人的推しの花田颯選手が唯一キルギスで勝利して「次もかかってこい!」の精神ですが、せめて周囲も納得するようなファイトマネーが払われていて欲しいと願います。
まとめ:キルギス興行の大きな問題は説明不足
こうして3150×LUSHBOMUのキルギス興行の疑問点を挙げていくと、1番の問題点はファンへの説明不足であるということに帰結します。
例えば日本で活躍しているアイドルグループが「これからは活動拠点をキルギスに移します!」と宣言したらハッキリ言って意味不明です。
何かヤバい新興宗教にでも入ってしまったのではという得体の知れない不安感がよぎるはず。
3150×LUSHBOMU in キルギスに対して自分が抱く率直な気持ちはこの「得体の知れないものに対する不安感」です。
今この状況下で仮に矢吹正道選手の防衛戦をキルギスで開催したら3150×LUSHBOMUからボクシングファンが一気に離れていくでしょう。
(流石に国内でチケットが売れる世界戦をキルギスで開催するような悪手を選択することはないとは思いますが。)
この得体の知れないものに対する不安感を解消するにはLUSHBOMU側ではなく、ボクシング界に名の知れた亀田興毅氏からの説明が必要ではないでしょうか。
- 何故キルギスなのか?
- 今後のキルギス市場の将来性
- 日本人ボクサーがキルギスのリングに上がるメリットは?
この辺りに対する明確な回答が欲しいと思っているのは自分だけではないはずです。