格闘技

なぜメイウェザー?朝倉未来、RIZINそれぞれのメリットと誤算

こんにちはtorajiroです。

フロイド・メイウェザー氏の次なるエキシビジョンの相手が朝倉未来選手に決定しました。

9月のRIZIN興行で行われるこのエキシビジョンに対しては様々な疑問符もつきます。

メイウェザーのカードは既に那須川天心選手で使っているのに何故あえてもう一度?

朝倉未来選手にとっては海外に名を売るチャンスかもしれないけれどRIZINにとってのメリットって何だろう?

高額のファイトマネーを払う程の広報的なメリットはあるのだろうか?

等々

今回のカードについて、フロイド・メイウェザー、朝倉未来、RIZINの3者それぞれにとってのメリットと、カード発表後の海外の反応から感じた誤算について見ていきたいと思います。

フロイド・メイウェザーにとってのメリット

まずは一番分かり易いであろうフロイド・メイウェザーにとっての朝倉未来選手とエキシビジョンを行うメリットです。

楽な相手で小銭が稼げる

朝倉未来選手は総合格闘家としては打撃レベルは高い方とは言え、スピード面でも技術面でもメイウェザーからしたら圧倒的に劣っています。

朝倉未来選手の弟の朝倉海選手が、メイウェザージムでメイウェザーの秘蔵っ子とスパーリングした事がありましたが、その時に朝倉海選手はワンサイドで結構ボコボコにやられていました。

スピードでもパワーでも技術でも全く歯が立っていません。

打撃に定評があると言われる朝倉海選手でも、本物のトップボクサーとボクシングルールで戦ったらこうなってしまうんです。それぐらい競技が全然違うという事です。

メイウェザーもその状況は見ていましたし、コナーマクレガー選手らとの対戦でも総合格闘家とのボクシングマッチが楽なマッチメイクだということは十分分かっているでしょう。

ファイトマネーについては10億と言われていますが、メイウェザーのエキシビジョンは1,000万ドルがベースとなっているようです。これにPPVの売り上げが加味されます。

高いか安いかと言えばめちゃくちゃ高いですが、過去にメイウェザーがエキシビジョンも含めて稼いできた額と比べれば小遣い程度なのかもしれません。

▶︎フロイド・メイウェザーがエキシビジョンで稼いだ驚愕のファイトマネー総額

日本人のメイウェザー認知度を上げられる

那須川天心選手とのエキシビジョンに続いて朝倉未来選手と戦う事で、日本人の中ではボクシングファン以外の間でもフロイド・メイウェザーという存在の認知度は上がったと思います。

パッキャオとあれだけデカい試合をやった時ですら、ボクシングファン以外の反応はイマイチでしたが、那須川天心選手との一戦を契機に「メイウェザーってすごい奴なんだ」という認識が一般にも高まった感じが実感としてありました。

コンスタントに戦うことで忘れられるリスク回避

いくらフロイド・メイウェザーとは言え引退して何年も経てば徐々に忘れられていくもの。

日本でも亀田三兄弟、特に亀田興毅氏はヒールキャラであれだけメディアを騒がせ、引退後も亀田に買ったら1,000万円の企画でバズっていましたが、その神通力も徐々に失せていっている事を亀田興毅氏本人が語っていました。

今、仮に「亀田興毅に勝ったら1,000万円」の企画をやってもあんな風には盛り上がらないでしょうね。

格闘家の旬が過ぎるのは本当に早い。

メイウェザーもそのことは十分承知しているでしょう。

なのでドバイでのエキシビジョンから間髪入れずに組まれたこのカードの発表の際には、メイウェザー節を炸裂させて喋るは喋る。

ドバイの一戦や朝倉未来戦のような、メイウェザーからしたら小さな試合であっても、コンスタントに組み込んで忘れられずにいることが、来るべき時に発表されるビッグなエキシビジョン(パッキャオ?)を成功させるためには大事なこと。

朝倉未来にとってのメリット

続いて朝倉未来選手にとってのメリットです。

世界的認知度の高いメイウェザーを使って海外での認知度を上げる

会見で朝倉未来選手が語っていた事ですが、世界的認知度の高いメイウェザーと戦えば、仮に凡戦だったとしても名前が知られ、対戦オファーに繋がる可能性があります。

相手がメイウェザーであれば凡戦になる事は折り込み済。

ワンチャン一瞬でも見せ場を作って盛り上げられればこいつは面白いと思ってもらえるでしょう。

自身のYouTube再生回数が稼げる

朝倉未来選手はご存じの通りYouTuberとしても大活躍しております。

メイウェザーとの対戦カード発表後の動画は早速再生回数が伸びていますし、このエキシビジョンによって新たなファンの開拓にも繋がっていくでしょう。

メイウェザーとの一戦によってMMAファイターとしての認知度も、YouTuberとしての認知度も両方一気に高めていけるので、朝倉未来選手にとっては美味しいことだらけではないでしょうか。

ビッグネームに挑戦できる!!

格闘家としては何だかんだ言ってもこれは大きいです。

ジャンルは違えど、全時代を通じてナンバーワンと言われるボクサーと戦えるのですから、それは格闘家としての本能が騒ぐこと間違いなしです。

レベルは全然違いますが、僕もかつてプロボクサーだった頃、いつか強くなって憧れのボクサーと試合をしたいという気持ちがモチベーションになっていました。

自分の話ですが、雄二ゴメス選手というハードパンチャーに憧れていて、いつかスパーリングでも良いから手合わせしたいと思っていましたが、ゴメス氏は気がついたらアダルトな世界の男優さんになっていました。。

(流石にここに画像は載せられないな。)

ジャンル違い過ぎるし流石にそっちの世界で手合わせしたいとは思わなかったっす。

ということで話を戻しますが、格闘家だったらメイウェザーと戦えるって確かに断る理由のないオファーかもしれません。

RIZINにとってのメリット

最後に、これは微妙なところですがRIZINにとってのメリットを紹介します。

海外にRIZINの存在を知ってもらう

RIZINの海外展開を考えた時に、メイウェザーに限らず海外の有名選手に出場してもらうことが海外マーケットの開拓には欠かせません。

いくら広報に金を出しても、出場する選手が全員知らない外国人だったら誰も見ませんよね。

K-1の草創期にも、最初から全員外国人選手だけだったら全然盛り上がらなかったと思います。

あの中に日本人として佐竹雅昭選手がいて、その後も武蔵選手がいたからこそ、K-1ヘビー級は社会現象とも言えるような発展を遂げたと考えられます。

出典:GONG【1998年5月の格闘技】佐竹雅昭と武蔵が初対決、同門の日本人対決は両者一歩も譲らずより

RIZINを海外で売り出すためには有名な外国人選手の存在が不可欠で、その点でメイウェザーの存在はうってつけとも言えるかもしれません。

「RIZIN?あーあのメイウェザーが出てた団体か。」とか「メイウェザークラスの選手を呼べる資金力のある団体か。」と思われれば、そのリングに上がって見たいと考える海外の格闘家も出てくる事が期待されます。

ファンと選手の両方のマーケット開拓の上で、メイウェザーの出場は先々の大きな効果をもたらすかもしれません。

そう考えれば高いけれども1,000万ドルは将来に向けた先行投資とも言えるのかもしれません。

メインを豪華にすることでアンダーカードにも注目が集まる

メインカードにメイウェザーと朝倉未来選手のカードが入ることで、デカい会場でも観客の入りを心配することはなくなるでしょう。多分ね。

たくさんの観客が入る興行となればアンダーカードにも注目が集まります。

大勢の観客が応援する中で、次世代のスーパースターが羽ばたくきっかけとなる興行になるやもしれません。特にメインのメイウェザーVS朝倉未来戦は高い確率で凡戦になるでしょうから、その分アンダーカードのあの試合が良かった!という思いがファンの心に宿る可能性がありますね。

那須川天心の抜けたRIZINに華を添えられる

6月19日(日)のTHE MATCH2022で、看板選手だった那須川天心選手がRIZINを卒業し、ボクシングに転向します。

202200925_超RIZIN

スーパースターが抜けた後で団体自体がダメになってしまうというのは格闘技の世界では良くある事です。

那須川天心のいないRIZINをどう盛り上げていくか、そこを考えた時に、メイウェザーの存在は天心選手が抜けた穴を一時的に埋めてくれる存在になってくれているのかもしれません。

フロイド・メイウェザーVS朝倉未来戦の誤算

メイウェザー、朝倉未来、RIZINの3者にとってWINWINWINの興行になって欲しいと切に願っておりますが、いくつか危惧する点があります。

対戦カード発表後の海外の反応が想像以上に薄い

メイウェザーVS朝倉未来戦が発表された後の海外の報道を見てもそれ程の話題にはなっていませんでしたし、Googleトレンドでアメリカの動向を見ても無風でした。

5月にドバイで行われたメイウェザーVSドン・ムーアのエキシビジョンもそこまでの話題になりませんでしたし、メイウェザー神話も徐々に崩壊してきているのかもしれません。

日本のメディアでメイウェザーVS朝倉未来戦の海外メディアの反応が報じられているので、向こうでも関心あるのかと思いアメリカやイギリス等のメディアやSNSを調べてみましたが、概要が簡単に紹介される程度であまり話題にはなっていませんでした。

今後1,000万ドルの投資に見合った海外からの関心を集められるのかどうかは甚だ疑問です。

PPVに馴染みの薄い日本人がこの試合に金を払うか?

ご存じの通り、THE MATCHからフジテレビが撤退したので、おそらくRIZINの試合がフジテレビで放送される事は今後もないでしょう。

RIZINとしてはPPVの路線に舵を切るしかありませんが、緊張感のないエキシビジョンの試合にお金を払ってまで観たいと思う格闘ファンがどれほどいるでしょうか。

メイウェザーVS那須川天心の時のようにテレビで放送されるのであれば、話題性で格闘技に関心のない方も興味本位で見てみようかと思ったでしょうが、当時を振り返って考えてみてください。あの試合を3,000円〜5,000円辺りの金額払って視聴したいと思ったでしょうか?

「メイウェザーが来るのなら」と関心を持ったテレビ局がどこか手を挙げてくれたらまた違った展開になるかもしれませんが、今の路線だとABEMAかU-NEXTでの有料配信が有力でしょう。

U-NEXTは過去にRIZINの試合で配信が落ちるという大失態をやらかしているので、THE MATCHの流れでABEMAにしておくのが無難か。

THE MATCH2022を視聴するためにABEMAプレミアムに加入した人が一定数いるでしょうから、そこをターゲットにしておく事で失敗の確率はある程度減らせるとは思います。

PPV購入未経験の層を攻めるよりは一度PPVを購入した経験のある層にアプローチする方が絶対に良いと思います。

が、それでもやはり、もはや過去の人になりつつあるメイウェザーのエキシビジョンにそんな大金を払う人はいないと思われますが。

まとめ

今回の記事のまとめです。

フロイド・メイウェザーVS朝倉未来戦を行うことのメイウェザー・朝倉未来・RIZINの3者のメリットは以下。

メイウェザーのメリット

  • 安パイな相手で小遣い稼ぎができる
  • 日本での認知度アップ
  • コンスタントに戦う事で忘れ去られるリスクの回避

朝倉未来選手のメリット

  • 海外での認知度アップ
  • YouTubeの再生回数アップ
  • ビッグネームに挑戦できる!!

RIZINにとってのメリット

  • 海外進出(ファン・選手の開拓)のきっかけとなる
  • アンダーカードにも注目が集まり、次のスターが生まれるきっかけの興行になる
  • 那須川天心選手が抜けた穴を一時的に埋められる

そして水を差してしまうようですが危惧する点は以下。

  • 海外の反応が想像以上に薄い
  • 過去の人となりつつあるメイウェザーをPPV購入してまで観たいか?

PPVを前提でここまで語ってきましたが、メイウェザーが出場する興行が上手く行くかどうかは、その前段階のTHE MATCH2022のPPVの売れ行きが判断材料の一つとなるでしょう。

このPPVが売れて、PPVも悪くないとユーザーが思ってくれたら、次にメイウェザー戦のPPVも買ってくれるかもしれません。

という事でTHE MATCH2022はみんなでアベマPPVで観ましょう!!

僕は近所の子供達を招待して観戦します。格闘ファンを増やすきっかけになってくれれば。

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