格闘技

こびとプロレス新団体旗揚げ興行に参加して見えた可能性と課題

こんにちはtorajiroです。

2022年5月28日(土)に小人症レスラーのプロレス団体として新たに設立された椿ReINGzの旗揚げ興行にセコンド役として参加してきました。

自分はプロレス完全素人ですが、クラウドファンディングにセコンドコースで支援したので、その返礼品としての参加でした。

この旗揚げ興行に参加し、準備段階から少しだけお手伝いをさせていただき、間近で旗揚げ興行に参加したことで見えた可能性と、今後に向けた課題を今回は紹介します。

椿リングズ(こびとプロレス)旗揚げ興行の様子

試合内容はオンライン配信のアーカイブが6月5日まで販売、6月17日まで視聴可能になっていますのでそちらをご覧ください。

ここではリングサイドから試合を見た周辺の様子を紹介します。

第一試合 ミスター・ブッタマン選手VSプリティ太田選手

クラウドファンディング御礼オープニングマッチと銘打たれたこの一戦。

この試合のセコンドを務めるというのが元々の自分のクラファンの返礼品でした。

両選手の入場に立ち合い、プリティ太田選手にガウンをプレゼントしたモーリー夫妻の挨拶の後にリングアナ権で支援した田中さんによる選手コール。

これがめちゃくちゃ上手で、まず試合前にそこに感動。

ファンの情熱ってどの分野においても素敵ですね。この熱量が競技全体を支えてくれていると思います。

試合内容は両選手のコミカルな動きで笑いもあって、生観戦だと迫力も結構ありました。

オンラインで視聴した我が子達はこの第一試合で大爆笑していました。

こびとプロレスの面白さについては以前書いた以下の記事もご参照ください。

▶︎こびとプロレス復活へ!!試合観戦で見えた新たなプロレスファン開拓の可能性

第二試合 今井礼夢選手VS TAMURA選手

元スピードの今井絵理子議員の息子さんで先天性聴覚障害を持つ今井礼夢選手とその師匠である TAMURA選手の一戦。

今井選手はですね、まだ若干17歳ですが結構体鍛えられていました。

あれは相当練習していると思います。

あとね、実物見ると笑顔が爽やかで超イケメン。

帰り際に手話でありがとうをして去っていった時の笑顔はヤバかったね。おじさん惚れてまう。

TAMURA選手はさすが師匠、リードしながら試合をしっかり作り、試合中のトークも含め会場を盛り上げていました。

蹴りの音が凄くって一発で会場がどよめいていました。

第三試合 藪下めぐみ選手VS伊藤薫選手

伊藤選手と藪下選手は椿リングズの興行を成功させるため、こびとレスラーの育成も含め様々尽力されておりました。

試合も迫力があってテンポも良く、キャリアのある選手同士の試合は絶対にハズレはないという安心感がありました。

これはプロレスを観戦するようになって気づいた感覚です。

漫才でも滑りそうだなという若手芸人のネタは見ていてハラハラしますが、ベテラン芸人のは安心してみていられますよね。その感覚と似ていると思います。

お二人とも年齢的には50代ですが、めちゃくちゃ痛いことしていました。迫力ある攻防を披露していました。

直前まで興行成功のためプロデュース業に尽力し、激しい試合をした後の片付けもやって、プレイヤーとしてだけでないプロレスラーの大変さをお二人から学びました。

自分が試合やるだけでなく、プロデュースもして、鍛えたこびとレスラーがリングに上がってと、色んな緊張があったでしょうね。淡々としていて全然そんな風には見えませんでしたが。

第四試合 ダンプ松本ZAPミスター・ブッタマン選手VSプリティ太田・ザ・グレート・サスケ選手

プロレスファンでなくとも一定年齢以上であればおそらく誰もが知っているであろうお二方が参戦。

ダンプ松本さんの竹刀の音が凄かった。昔テレビで見ていた声がそのまま直で聞こえてくる不思議な感触。

細かな配慮も必要になるであろうと思ったのでこの試合に関してはセコンドは辞退して裏に引っ込みました。

そしてグレート・サスケさんはめちゃくちゃ紳士でした。

ガウンを渡す際のさりげない会釈や、記念撮影に応じる姿勢等、人としてたくさん学べそうな方でした。さすが元議員です。

あの覆面、ほんとずっと付けたままで、覆面のまま帰って行きました。

椿リングズ(こびとプロレス)旗揚げ興行にセコンドとして参加した感想

今回はセコンドという立場だったため、選手のリングイン時にロープを上げるお手伝いをしました。

元々自分はプロボクサーを少しやっていたので後楽園ホールのリングにも何度も上がった事がありましたが、ボクシングの試合の時よりロープがかなりピンピンに張られていたように感じました。

今回の興行に出場された女子プロレスラー藪下めぐみ選手の話によると、これでも普段よりは緩めに張ってあるとの事でした。

ピンピンのロープはですね「かなり痛い。相当痛い。めちゃくちゃ痛い。」です。

藪下選手からは最初はロープワークの練習でアザが出来たが、人間の体は怖いもので慣れるものだと教えていただきました。藪下選手は入場時のロープの持ち上げ方も色々と教えてくださり、めちゃくちゃ面倒見の良い方でした。

他にも選手の脱いだガウンを片付けたり、リングの清掃をしたり、プロレスを観客席より間近で観たり、場外乱闘に巻き込まれたり今後一生経験することのない体験をさせていただきました。

何ならついでにダンプ松本さんの竹刀で叩いてもらいたかったですが、あれは音だけじゃなく実際相当痛いらしいっす。。

おまけの話で、血糊は拭いても中々取れず、清掃も大変でした。

真っ赤っか。。

一生の自慢のネタにさせていただきます。

椿リングズ(こびとプロレス)旗揚げ興行で見えた可能性

旗揚げ興行を間近で観戦し、オンライン動画も視聴し、同じクラファン支援者のメンバーとも話して、こびとプロレスはプロレスファン以外の層に届けられ、新たなプロレスファンを創生出来るコンテンツだと確信しました。

かつてボクシングが日本に入ってくる際に、ボクシングをそのまま流入させても「何それ?」となってしまうので、柔道との異種格闘技戦「柔拳」という形で取り入れ、そこからボクシングという競技を普及させていった歴史がありました。

柔道という既知の文脈の中に未知のボクシングを混ぜ込んで、そこから理解を深めていったこの戦略は今のこびとプロレスにも当てはまるものと思います。

こびとプロレス再生は誰一人排除しないまぜこぜの社会を目指すという東ちづるさんが代表を務める一般社団法人Get in touchから派生したプロジェクトであり、プロレスファン向けというよりは障害者支援やSDGsといったテーマに関心の深い層向けから始まっています。

なのでプロレス興行でありながら、自分の周りのプロレスファンもこの興行の存在を全然知りませんでした。

SDGs層からこびとプロレスに関心を持った方々がこびとレスラーを橋渡しとしてプロレスファンとなり、逆にプロレスファンの方々がこびとプロレス復活の報を知り、そこからSDGs、まぜこぜアイランドな世界観を知る。

この橋渡しとしてのこびとプロレスの役割はめちゃくちゃ重要です。

例えば自分の話。子供を連れてプロレス観戦に行きたいと妻に伝えたら、「一人で行って」と即却下。

そこにこびとプロレスを混ぜて、「こびとプロレスが行われるプロレス興行に子供も連れて行きたい」と伝えたらOKが出ました。

子供とプロレスを観に行きたいけど妻の了承が得られないという方は、Get in touchのウェブサイトを見せ、こびとプロレス復活の意義を熱く語り、その流れでこびとレスラーが出場する興行に行きたいと伝えれば完璧です。

なのでこびとレスラーを色んなプロレス興行の前座に組み入れるのが効果的だと思います。

でもってこびとプロレスは子供受けも凄く良く、子供達に見せたら皆めちゃくちゃ笑います。コミカルな動きって大人の数倍子供の食いつき良いですよ。

個人的には子供向けの企画をもっと取り入れて行けばこびとプロレスバズるんじゃないかと思っています。

子供向けのテレビ番組とコラボしたり、子供に人気のYouTuberとコラボしたり。

椿リングズ(こびとプロレス)の今後に向けた課題

コンテンツとしては様々な可能性のあるこびとプロレスですが、旗揚げ興行に関わっていく中で、かなり致命的な問題もいくつかあることに気づきました。

後継者となるこびとレスラーが見つからない

何より一番の問題は後継者となるこびとレスラーがいないこと。

こびとプロレスが復活したことで、存在を知った小人症の方が関心を持つ可能性に今は賭けているところですが、元々のパイがかなり小さいので困難な道のりです。

これはクラファン支援者の方に教えていただいた話ですが、SDGsな多様な社会が実現していく中で、小人症の方も社会に出て普通に働ける環境が以前より整ってきているそうです。

職業選択の幅が広がる中でこびとレスラーを選択肢に入れる方はきっと少ないですよね。

また、これはまだ僕の理解が足りていないところですが、小人症の方がプロレスをやろうとする場合、健常者と比べると体への負担も大きく(特に腰)、体に与える負荷は無視できない要因と考えられます。

様々な思いを取りまとめて行くことが超困難

こびとプロレス発展のもう一つの問題は様々な思いの取りまとめが困難な点。

単純なプロレス興行と違い、こびとプロレスには様々な思いが込められています。

Get in touchと、こびとレスラーと、プロデュースに携わるレスラーの方々と、運営主体の株式会社つばきHOLDINGSと、それぞれの方向性を統一させて前に進めていくのは想像するにとても困難な調整と思われます。

障害者支援寄りで見るか、プロレス寄りで見るか、かつてのミゼットプロレスを知る往年のプロレスファンファンが今のこびとプロレスを見てどう思うか、視点を変えれば様々な意見、想いがあるでしょう。

それぞれの意見を聞いて調整する人がいるのか、はたまたトップダウンで押し進めていく人がいるのかどうか、現状のこびとプロレスを見ているとおそらく前者なのでしょうが、そうだとすると運営スタッフは多大なる労力を要する必要があります。

運営スタッフが足りない

前述の通り様々な意見、想いの寄せ集めで誕生した椿ReINGz(こびとプロレス)の今後をハンドリングして次の興行を打っていくことは並大抵の努力では出来ません。

外野から興行成功に向けて動いている姿を見ていて、スタッフ足りないよね?というのは正直思ったところです。

各方面の調整をしながら会場設営もして、オンライン配信の手配もして、我々のようなクラファン支援者への連絡や、当日の役割を決めて、それらの大半は運営スタッフの方々がやっているはずです。

日の目を見ることもなく、陰日向で咲きながら。

そのことを考えながら自分が関わったスタッフの方々を思い浮かべると、人手は足りないよなと正直思ってしまいます。

椿リングズ(こびとプロレス)今後の予定

今後の可能性もありながら課題山積のこびとプロレスの今後については、団体としては今のところ未定です。

が、プリティ太田さんやブッタマンさんに関しては他のプロレス団体の興行に出場する予定がコンスタントにあります。

他団体の興行に出場して椿リングズの話題性を高め、自主興行を有利に進める流れを作れれば万々歳ですが、逆に他団体からオファーあるからそれで良いかなとなってしまうと、椿ReINGzの活動存続が危うくなってきます。

椿ReINGzの認知度をどうすれば高めていけるか、そこを第一に考えて戦略的にハンドリングし、実務を担える方が今後の椿ReINGzに求められているのではないでしょうか。

まとめ

無事旗揚げ興行を成功させた椿ReINGz。

多くの可能性を秘めつつも課題も山積なこの団体がこの先発展していくのか、はたまた途中で頓挫してしまうのか、客観的に判断すれば頓挫する可能性の方が圧倒的に高いと思います。

ただ、だからこそ取り組む意義があり、これを乗り越えていくのがプロレスラーの生き様なのかもしれません。

旗揚げの支援に携わった一人として、今後も椿ReINGzの活動には注目し、面白そうな興行があればチケットを買って応援に行きたいと考えております。

旗揚げに携わった方々は本当にお疲れ様でした。次回もまた楽しみにしております。

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