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木村翔選手の中国での人気を実感 武漢での試合はJBCルール違反なのか?

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。

こんにちはTorajiroです。

元WBO世界フライ級チャンピオン木村翔選手が中国武漢で行われたエキシビジョンマッチで数々の反則行為を受けた事が話題になっています。

僕もこのブログで試合内容がいかに酷かったか記事にしましたが、とてもとても危険な試合でした。

元世界王者木村翔が中国武漢でプロレス技でTKO負け 反則行為連続の試合内容

起こってしまった出来事は残念でしたが、その後の木村選手への中国人の方々からの温かいコメントを読んで、木村選手を応援する一人として今とても嬉しい気持ちになっています。

中国の方々からのコメントを紹介すると共に、改めて木村選手が何故これほど中国で人気を得ているのかを振り返り、エキシビジョンマッチを受けた経緯や、今回のエキシビジョンが日本ボクシングコミッション(JBC)ルールに抵触しないか調べてみました。

木村翔選手への中国人の方々からのコメント紹介

対戦相手の玄武選手とその陣営の行為は決して許されるものではありませんが、中国人の木村選手を応援する方々からのコメントに救われる気持ちになったのでその数々を紹介します。

  • 中国人として恥ずかしい気持ちです。
  • 中国では99%以上の人が主催者側を非難しています。
  • 中国人としてお詫びします。中国政府は故意に国民にナショナリズムの感情を植え付けています。
  • 中国と日本は今の台湾との関係のように友達になれるはずです。中国共産党が崩壊すれば。
  • 怪我がないと聞いて安心しました。
  • 寛大で寛容な対応に感謝します。
  • 頑張れ木村翔!
  • 起こってしまった後では無駄だとわかっていますが申し訳ございません。
  • 完全な状態に回復することを願っています。スポンサーになる事はできますか?
  • 共産党による中国人の長期的な洗脳と憎悪教育の下で、中国人の道徳的性格はますます耐え難くなり、中国人はますます醜くなり、他人に対する悪意に満ちている。個人的な利益のために、彼らはいかなる規則にも従うことができません。人類なしで他人を死に至らしめ、悪を行いません。中国人は人間の本性に戻り、共産党の赤い悪性腫瘍を体内で取り除く必要があります。それは必要です。共産主義の悪霊を反映し、放棄すること。
  • 中国人であることを外国人に伝える事が恥ずかしい。
  • 中国共産党の憎悪教育が玄武にあのような事をさせた。今はだんだんと目覚めている中国人が増えています。
  • 健康診断を行なってください。頭部の問題は数日後に現れることもあります。今回の出来事は申し訳ございませんでした。

まだまだ全然書ききれませんが、身近で知っている中国人の方は良い人だけど、本土に行ったらどうなんだろう?そんな気持ちもあった中で中国人の方々のリアルなコメントの数々は今の中国を知るきっかけになりました。

逆に我々日本人は日本経済が停滞していく中で他国に怒りの矛先を向ける事がないように気をつけたいですね。

日本人と中国人、これからもっと仲良くなっていけるような気がします。

なぜ木村翔選手が中国で人気なのか改めて振り返る

木村翔選手の中国での人気は本当にすごいものがあります。

卓球の福原愛ちゃんか木村翔か、ピークの時はそれくらい人気があったのかも。

なぜここまで人気なのかと言うと、ボクシングファンはみんな知ってる一つの大きな試合がありました。

2017年7月28日、上海オリエンタルセンターで、木村翔選手は当時のWBOフライ級チャンピオン鄒市明(ゾウ・シミン)選手に挑戦。

出典元:ボクシングモバイルより@SUMIO YAMADA

鄒市明選手は北京、ロンドンのオリンピックで金メダルを獲得し、その後プロに転向して世界チャンピオンになった中国の英雄的な存在でした。

鄒市明選手はプロでのデビュー戦のファイトマネーも数千万円と言われており、アルバイトで生計を立ててボクシングを続けていた木村選手との生活レベルは雲泥の差。

この鄒市明選手との試合で、序盤リードを許しながら11Rに逆転のTKO勝利をおさめた事で、木村翔選手は中国で爆発的な人気を得ることとなります。

出典元:ボクシングモバイルより@SUMIO YAMADA

映画ロッキーのようなドラマに中国が熱狂し、その後木村翔選手の試合は中国で開催されるものが増えていきました。

なぜ木村選手が中国でのエキシビジョンマッチを引き受けたのか?

鄒市明選手との試合の後、中国で絶大な人気を得た木村選手は中国で試合に出る機会が増えます。

2018年7月27日 中国青島市でWBOの防衛戦

出典元:ボクシングモバイルより@SHUNYA Seri

2019年3月30日 中国上海にてOPBFフライ級シルバー王座決定戦

出典元:ボクシングモバイルより

2019年5月26日 中国広西省撫州市でWBA世界ライトフライ級王座挑戦

出典元:ボクシングモバイルより@SUMIO YAMADA

コロナ禍で中国に渡れなくなってしまった事と、所属していた青木ジムの閉鎖に伴う移籍問題で試合が決まらない日々が続いていますが、こうしたトラブルがなければもっと中国で試合をしていたでしょう。

日本と中国の主要都市とでは物価水準も中国の方がかなり高い(平均ランチ価格は日本の2倍)ので、人気のある中国で試合をしてファイトマネーを得た方が圧倒的に稼げるでしょうし。

僕は子供の頃に中国北京に住んでいましたが、あの頃とは大分時代が変わりましたね。

今後は日本のボクサーが中国に出稼ぎに行くような時代来るでしょうが、今回の木村選手のエキシビジョンも日本で試合をするよりは高額のファイトマネーが用意されていたのでしょう。

おそらく今日本国内で木村翔選手がノンタイトルの試合をした場合、ファイトマネーは50万から良くて100万程度ではないでしょうか。本来チケット収入でもっと稼げるはずですが、コロナ禍で収容出来ない状態も続いていたのでこんなもんではないかと思います。

であれば人気もあって人脈もある中国でエキシビジョンであっても試合をした方が木村選手にとってはメリットは大きかったはずです。

今回の騒動が落ち着いてきた段階で、何故こんな無謀なエキシビジョンを引き受けたのかという木村選手に対する批判に移行していく可能性もありますが、上記の通り、中国で人気もあり、人脈もあり、数々の中国での試合に出場しており、ファイトマネーも良い、これだけの好条件が揃っていれば今回のエキシビジョンは当然引き受けたであろうと思います。

ちゃんとボクシングルールで行われるという前提だったでしょうし。

中国武漢でのエキシビジョンマッチはJBCルールに抵触するのか?

さて、今回のエキシビジョンマッチについては木村陣営はボクシングルールという前提で引き受けたものが、試合開始直前に変更されるというあり得ない自体になりました。

仮にこれが最初からボクシングルールではないエキシビジョンだったとすると、今回の木村翔選手の行動は日本ボクシングコミッションのルールに違反することになります。

一般財団法人日本ボクシングコミッションルール第2章 ライセンスの第1節12条には以下の記載があります。

第12条(他のスポーツライセンスとの兼用禁止)

1 他のプロスポーツまたは他の格闘技関連団体に関与もしくは従事する者は、JBCによる特別の許可のない限り、ライセンスの交付を受けることはできない。

2 すべてのライセンス所持者は、JBCによる特別の許可がない限り、他のプロスポーツまたは他の格闘技関連団体に関与もしくは従事すること(非公式試合への出場を含む)はできない。

引用元:一般財団法人日本ボクシングコミッションルール(一部抜粋)より

非公式試合、つまりエキシビジョンマッチも含め、他の格闘技関連団体に関与もしくは従事することは禁じられています。

ヘビー級で活躍していた京太郎選手もこの縛りがあったので、ボクシングから引退し、K-1に戻りました。兼用オッケーだったらボクシング活動も並行し、但馬ミツロ選手と試合するなんて事も出来たのかもしれません。

おそらく木村選手もこのルールは十分理解しており、ボクシングルールだという大前提があった上でエキシビジョンを引き受けたはずです。

出場してみたらボクシングルールじゃなかったという今回のケースがルールに抵触することになるのかどうか、今後JBCにおいて状況証拠を集めながら木村翔選手の処分の有無を検討する事になるのでしょう。

まとめ

日本の経済停滞、世界平均で見た賃金の低下、日本国内のボクシング市場の衰退、こうした現状が続く今、日本のボクシングを守っていくためには、選手が海外に出ていく事と、国内のボクシングの興行を成立させていく事の両面で手を打っていく必要があります。

今回のエキシビジョンが、選手が海外に出ていく面でマイナスに作用しない事を願うと共に、それぞれの国と信頼の持てるパイプを強化していく事の必要性を感じます。

また、日本国内の興行においては、選手数が圧倒的に減っている以上、興行を成立させるために一部エキシビジョンの試合が入ってくることを否定してはいけないと思います。

先日の3150ファイトクラブ興行は話題になったので成功だったと思いますが、やはりTKOの木下さんやゆたぼん君のエキシビジョンに対する批判の声もあります。

ですがあの二人が頑張って話題を提供してくれた事で他のボクサー達にも注目が集まりました。

但馬ミツロ選手も西島さんが引き受けてくれなかったらお披露目がまた先になっていた事でしょう。

現状を乗り越えていくためには安全面等のリスクはありますが、こうした新しい取り組みは不可欠ではないでしょうか。

という事で木村翔選手について、JBCに対しては寛大な措置をお願いする今日この頃でした。

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