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亀田和毅無念!3150×LUSHBOMU vol.6試合レビュー|勝敗を分けたポイントは?

torajiro

ボクシングファン歴28年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴3年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。Xも投稿していますのでフォローいただけると嬉しいです。

2025年5月24日(土)の3150×LUSHBOMU vol.6はセミセミからメインまで3連敗という厳しい結果に終わりました。

見どころ・試合速報に続いてこの記事では全試合のレビューと勝敗を分けたポイント、今後の展望をまとめました。

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亀田和毅はアンジェロ・レオにあと一歩届かず!

メインの亀田和毅選手は自身の3階級制覇と兄弟8本目の世界のベルトに挑みましたが2対0の判定で惜しくもベルト奪取ならず。

戦前の予想からすればここまで肉薄したのは大健闘。

亀田和毅選手の健闘によってSNSでは「アンジェロ・レオが大したことなかった」という声も多く聞こえましたがそんなことは決してありません。

柔らかい動きから打っては離れ、亀田和毅選手が手を出そうとする瞬間に先に動いて手を出させない上手さは世界最高峰でした。

なぜアンジェロ・レオがイマイチな選手に見えたか?

なぜ多くのファンの目にアンジェロ・レオ選手がイマイチな選手に見えたのか、その理由は以下の点にあると考えます。

  • アンチ亀田的に亀田和毅選手の健闘が許せない
  • ロペスを倒した左フックのインパクトが強過ぎた
  • 試合全体を通して見せ場が少なかった
  • 亀田和毅選手のパワーが通用していた

何よりもまず、中年親父世代にとってアンチ亀田は青春の1ページ。

亀田兄弟が勝つ=対戦相手が弱いはアンチ亀田のデフォルトです。

そのフィルターがかかっているので亀田和毅選手に健闘を許した時点で、アンチ亀田層にはアンジェロ・レオ選手はフェザー級最弱の世界王者にしかもう見えません。

続けてアンジェロ・レオ選手のVTRで再三流れたルイス・アルベルト・ロペス選手を倒した衝撃の左フック。

あのパンチの印象でアンジェロ・レオ選手に対して凄いパンチを持ったパンチャーの印象が付いていた方も多かったはず。

しかし実際のアンジェロ・レオ選手はパワーファイターではなく、どちらかと言うと足も使える万能型の選手。

過去の試合映像を見ても足をよく使う場面が多く、KO率も50%を切っています。

パンチャー、ファイターというイメージを持っていた場合、この日の試合内容がイマイチと映ったのは頷けます。

最後に試合全体を通して見せ場が少なかった点もあると思います。

激闘に次ぐ激闘の世界戦に目が肥えてしまった日本のボクシングファンにとって、クリーンヒットの場面も殆どない駆け引き中心のこの一戦は物足りなさもあったでしょう。

物足りない試合となった要因の一つは亀田和毅選手のパワーがアンジェロ・レオ選手に通用していた点があるでしょう。

ポイントでリードしていても亀田和毅選手のボディショット等のパワーパンチはレオ選手にとって脅威であり、無理して攻めることが出来ませんでした。

勝敗を分けたポイント:亀田和毅選手は何故序盤に手を出せなかったか

この日の試合の勝敗を分けたのは序盤4Rまでの攻防。

アンジェロ・レオ選手が上手かったのは事実ですが、亀田和毅選手の悪いクセで手を出さずにガードしてパンチを見過ぎてしまい、ボディで相手を弱らせることもなく淡々とポイントを失うことになりました。

何故あそこまで手が出なかったか、1つには冒頭でも触れた通り、打っては動き、相手が打ってくるより先に先手を取るアンジェロ・レオ選手が上手かった点が挙げられます。

加えて亀田陣営がレオ選手のパワーを警戒してし過ぎていたこと、和毅選手のパワーがフェザー級で通用するのか確信が持てなかった点があったと見ています。

5R以降徐々に攻勢を強めていき、終盤にはフィジカルパワー面では明らかに亀田和毅選手が優勢でした。

アンジェロ・レオ選手のパワーを警戒し過ぎ、確認作業にラウンドを使い過ぎてしまったことが今回の敗戦の大きなポイント。

井岡一翔、重岡兄弟と、負けた側が再戦で勝利するのは難しいとされていますが、アンジェロ・レオ×亀田和毅に関しては再戦で勝てる可能性は高いと見ています。

ドラミニ2戦目の時のように浪速の弁慶スタイルで序盤からガンガン攻めていけばパワーで押し勝てる可能性は十分ある。

この日の試合でパワー面でもフェザー級の世界戦線で十分以上に通用することが分かったのは大きな収穫。

ただ、試合終盤にアンジェロ・レオ選手の危険な右フックも当たっていたし、ギリギリの駆け引きがある中で攻めまくることが難しいのも事実。

重岡銀次朗はあと半歩届かず!

IBFミニマム級王座への返り咲きを賭けてペドロ・タドゥラン選手へのダイレクトリマッチに挑んだ銀次朗選手は2対1の判定で惜しくも返り咲きならず。

torajiro

世界戦基準のジャッジなら、特にIBFはジャブを取る傾向が強いから勝ったかも??

という淡い期待は脆くも崩れ去りました。

僕は配信で視聴していましたが、会場では配信以上にタドゥラン選手のパンチのインパクトが強かったのでしょう。

勝敗を分けたポイント:何をやっても埋まらないパンチ力の差

打ち合って敗れた前回の敗戦を活かし、序盤から銀次朗選手は徹底的に足を使うボクシング。

出入り素早く、タドゥラン選手が強引に入ってバランスを崩しているところに右ジャブや右フックを合わせ、作戦は完璧に遂行出来ていました。

しかしタドゥラン選手が更に前進を強めて相打ち覚悟でパンチを振ると、お互いのパンチが当たっていても印象はタドゥラン選手が良い。

両選手の顔の腫れ具合からもよりダメージを負っているのは銀次朗選手であることは明らか。

この日のボクシングでもジャッジが違えば銀次朗選手が勝っていた可能性もありますが、これ以上どうすれば、というボクシングをしての敗戦。

この1敗のショックは銀次朗選手にとってとてつもなく大きく、再び這い上がって来るのには時間がかかるかもしれません。

本物の相手に序盤はヘビー級での可能性を見せた但馬ミツロ

ウガンダのハーバード・マトヴ選手に5RTKO負けした但馬ミツロ選手。

戦前に”ブラックボンバー”マトヴ選手の映像を見た僕は、今までの但馬ミツロ選手では勝ち筋が見えないと感じました。

ヘビー級の中では小柄なミツロ選手の武器はスピードになってきますが、マトヴ選手は193cmの長身に加えてヘビー級離れしたフットワークとスピードでジャブを突いてくる。

マトヴ選手にジャブを突かれ中に入り込めず、ダメージが蓄積したところで右ストレートを打ち下ろされる姿を戦前はイメージしていました。

勝敗を分けたポイント:ブロックしていても蓄積していた左ジャブのダメージ

序盤のミツロ選手はマトヴ選手のジャブをしっかりブロックしながら中に入りボディでしっかりダメージを与えているように見えました。

このままボディを打っていけばマトヴ選手が先に失速してジャブが打てなくなり足も止まると思っていたところ、先にミツロ選手の動きが落ちてきた。

ブロックしているように見えたが4Rには顔はかなり腫れていた。

ガードの上からでもヘビー級のジャブはかなり重たかったのか。

3Rにジャブをもらった時に但馬ミツロ選手の膝が揺れているように見え、ポイントはイーブンかやや取れていても心配のあった5R、フックをもらい膝が揺れたところからマトヴ選手が猛ラッシュ。

前回の敗戦時にも気になりましたが、ダメージを受けた後のミツロ選手は積極的にクリンチで逃げるでもなく棒立ちでパンチをもらい続けるところがある。

フィジカル強化の過程で確かに体は強くなってきているが、まだ体がヘビー級に順応していない気がする。

本来持っているスピードが活かせる体を作り上げてリング上で躍動する但馬ミツロ選手を見てみたい。

ポテンシャルは高い選手なので負けたことで更に強くなってリングに帰ってくるでしょう。

危険なマッチメイクだと思いましたがそれだけミツロ選手にもっと強くなれると期待しているということ。

ワンサイドで負けると思った試合でこれだけ善戦したミツロ選手の成長曲線に期待しています。

再び接戦の英洸貴×中川抹茶

タイトルマッチでの連敗でランクを落とした英選手と、3150×LUSHBOMUと契約してチャンスをものにしている中川抹茶選手。

1年前の引き分けは抹茶選手が復帰して日も浅い時期だったので、あれから1年しっかり場数を踏んだ抹茶選手が勝つと予想していた試合は再び大接戦となりました。

勝敗を分けたポイント:流れは英だったが抹茶の左が乗り越えた

序盤からグイグイと前に出て豊富なスタミナで接近戦を仕掛けた英選手。

3Rに左をもらいダウンした英選手でしたが、中盤以降スタミナ切れをおこしている抹茶選手。

流れは完全に英選手でしたが7Rに起死回生の左で再び流れを引き寄せた抹茶選手でした。

OPBF王者の中野幹士選手は世界に照準を合わせてそう遠くないうちにベルトは返上すると思われ、空位となったベルトに抹茶選手が挑戦する時がやってくるでしょう。

世界ランカーへの挑戦に成功した政所椋・丸元、岡も順調に勝利

9戦無敗の世界ランカーに挑戦した政所椋選手はポイント劣勢の場面からワンチャンスをものにしました。

4Rに腰を落とすピンチもあった政所選手でしたが、5R訪れたチャンスに一気にパンチをまとめて逆転TKO勝利。

丸元大成選手は開始早々に実力差が明らか。

岡朱里選手はワタナベジムに移籍後も順調に成長中。

まとめ:契約選手達の連敗に終わった3150×LUSHBOMU vol.6

どっちが勝つか分からないカードはファンにとっては楽しみ。

しかし興行主にとっては胃が痛いもの。

メインを張れる看板選手達が揃って敗れたことで次にどういった話題を生み出していけるか。

重岡兄弟は世界に戻ってくるには少し時間が必要でしょう。

但馬ミツロ選手も体のダメージが心配。

亀田和毅選手は井上尚弥選手がフェザー級に上げてくる前に再びチャンスが来るかどうか??

3150×LUSHBOMUにとっては厳しい1日となりました。

果たして次の3150×LUSHBOMUではどんなカードが提供されるでしょうか。

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