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A-SIGN BEE.31観戦記〜小國選手3年ぶりの復帰戦で実力を証明

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。

こんにちはtorajiroです。

オンライン配信で小國選手VS栗原選手の注目の一戦が行われたA-SIGN BEE.31の観戦記です。

小國選手以外にも帝尊選手や入口選手の再起戦も行われた見応えのある興行でした。

それぞれの試合を試合速報よりはもう少し掘り下げた形で紹介して行きたいと思います。

フェザー級4回戦 我孫子アンディ・リュウ(T&H)VS山鹿あたる(セレス)

デビュー戦同士サウスポー同士の一戦は序盤からお互い積極的に手を出すデビュー戦らしい試合となりましたが、その中でも山鹿選手のパンチの方が的確で威力がありました。特に右ボディと右フックが良かったです。

我孫子選手も積極的に前に出て手を出しますが、腰が外に抜けてしまっているので踏み込む度に体が前のめりになって前傾姿勢に。パンチも腰が入らないのでどうしても軽くなってしまいます。

2R目には山鹿選手が右ボディを効かせ、良い右フックも当てていたのでダウンもあるかと思いましたが我孫子選手ここは良く頑張りました。

我孫子選手少しダメージがあるかと思いましたが3R目は更にペースを上げて積極的に手を出しました。ただ、効かせるパンチは山鹿選手の方が良く当てていたと思います。

4R目はお互い疲れている中懸命に手を出す。

その中でも山鹿選手の左ストレートからの返しの右フックがヒットしていました。

判定は3対0で山鹿選手。39対37のジャッジが2者。フルマークが1者でした。

僕の採点はフルマークで山鹿選手の勝利でした。

我孫子選手は体は柔らかくてパンチの繋ぎも良いのでもっと腰を入れてパンチが打てるようになると良くなるのかなと思いました。

山鹿選手はもう少し肩の力を抜いてパンチを打った方が打ち抜けて倒せるパンチになりそうだなと感じました。

腰はしっかり入っているのですが、腕力を使ってパンチを打っているのでパンチとパンチの間に少し間があり、ガードが下がる点が気になりました。

パンチはあるけれど、カウンターをモロに喰らってしまいそう。そこが今後の課題でしょうか。

お互い懸命に手を出す好ファイトでした。

フェザー級4回戦 ボーニ・フェデリカ(RK蒲田)VS菅原麻子(一力)

ボーニ選手はイタリア人ボクサーでIT企業の人事で働く二足の草鞋ボクサーとしてちょいちょい取り上げられている選手。

1R目、ボクシングは菅原選手の方が上手いのだけど、パワーは圧倒的にボーニ選手。

序盤から有効打でボーニ選手がリード。

2R目には右をクリーンヒットさせ、これはかなりのダメージを与えた様子。菅原選手は鼻血もかなり出ている。

3R目に入り、菅原選手の鼻血が止まらないためにレフェリーストップ。

菅原選手はボクシングは上手いのでもう少し軽い階級に落とせたら結構勝てると思うのですが、ただ無理な減量も良くないですからね。

技術は問題ないのでフェザーで戦うならもっとパワーが必要と感じました。

ボーニ選手はパワフルですね。勝利後の涙にこちらもウルっと来ちゃいました。

いつも思うのですがRK蒲田の選手の試合時に、柳光会長が「ドーン!」とか「タタン、タタタン!」等と言った後に選手がそんな感じのパンチを出すとこれが面白いぐらいにクリーンヒットします。

柳光会長すげー。いつもそう思ってます。

フェザー級6回戦 入口裕貴(横浜光)VSファン キョンミン(韓国)

ABEMAの企画、格闘DREAMERSで総合格闘技に挑戦していた入口選手のボクシング復帰戦。

日本より平均給与の高い韓国から選手を呼び、ファイトマネーに加え最低でも選手とトレーナーの渡航費、隔離期間も含めた滞在費をA-SIGNが負担したでしょう。

更に外国人ボクサーは当然のことながらチケットも売らないし、出るもの大きく入るもののない外国人ボクサーは高い買い物です。

それだけ入口選手への期待が大きいということ。

1R目が始まるとファン キョンミン選手は変則的な動き。ほぼノーガードで時折スイッチしながらガンガン手を出す。

そのパンチもガードの固い入口選手に相当ヒットしており、立ち上がりは面白い展開でした。

入口選手のパンチもダッキングやスウェーでかわしまくるし、面白い選手。

ただ、1R終盤に入口選手の右アッパーがクリーンヒットし、流れが変わりそうな予感も。

2R目が始まるともうファン選手はやや疲れた様子。

ただそれでもサウスポーにスイッチして離れた距離で休みながら飛び込んでの左を当てたりしてポイントはリード。

かなり面白い選手です。

しかし3R目になるともう疲労が限界。ボディを貰って失速したところにパンチをもらいダウン。そのままタオル投入で入口選手のTKO勝利となりました。

勝ったのは入口選手ですが試合を盛り上げたのはファン選手。

次はもっとしっかりコンディション整えてまた日本で試合して欲しいと思う選手でした。

面白い試合だったなぁ。

Sライト級8回戦 野口将志(勝又)VS柳達也(伴流)

野口選手が当日の体調不良で急遽この試合は中止。

柳選手にとっては気の毒すぎる結果に。

チケットの払い戻しとか事後対応も本当に大変。

野口選手はこれで試合の棄権4度目かな?

普通だったら干されて試合できなくなるパターンですが、ここ数年の野口選手はかませ犬として重宝されています。

海外から選手を呼ぶのも難しい状況ですから、今後も野口選手のような勝ち星が計算できる選手には結構お声がかかるんでしょうね。

この試合、急遽ピンチヒッターでスパーリングパートナーとなった一力ジムトレーナーの宮崎さんは良い仕事をしました!面白かったですよ。

https://twitter.com/D6K25jhDRO9OAmu/status/1527594273574506496

バンタム級8回戦 千葉開(横浜光)VS鶴海高士(石田)

1,2R目は鶴海選手が距離を保ちながら積極的に攻める。

お互いクリーンヒットはないものの、積極性で鶴海選手がポイントを取っているように見えました。

が、3R目に入ると千葉選手がペースを上げて行き、鶴海選手も距離をキープできなくなり被弾がどんどん増えて行きました。

3R目以降は終始千葉選手のペースで試合終了。

5R目は鶴海選手も頑張りましたが、ポイントをつけるなら千葉選手かなと思いました。

鶴海選手はもっとスピード差を活かした展開に持っていけたら良かったですが、千葉選手の圧力が強かったのでしょう。

判定は78対74が2者、1者が79対73という結果でした。

僕の採点は78対74でした。

鶴海選手は負けましたがスピードがあって良かったです。

73.5kg 6回戦 京原和輝(久留米櫛間)VS帝尊 康輝(伴流)

帝尊選手は角海老宝石ジムから伴流ジムに移籍して2年半振りの再起戦。

関西の少数精鋭系の六島ジムから関東の大勢選手がいる角海老宝石ジムに移籍してから、やや居場所を失っているようにも勝手ながら思っていました。

伴流ジムに移籍してかつての勢いを取り戻して欲しいと期待。

1R目は帝尊選手が相手の動きを冷静に見て、ジャブでペースをとり、強引に入ってくる京原選手の前身を右でストッピングしながら打ち終わりに左を当てる展開。

2R目も同じ展開で右でストッピングからの左アッパーを好打。

上々の立ち上がりかと思いましたが、京原選手が右から入って強引にパンチをまとめるとこれを結構棒立ちで貰ってしまう。

ポイント的にはリードしているが、どこかで強引に攻められたら一気に京原選手に流れが傾きそうな展開。帝尊選手笑顔は見せるけどなんかボクシングに元気がない。

3R目も同じような展開ながら帝尊選手の左があまり当たらなくなってきた。逆に京原選手のオーバーハンドの右フックがクリーンヒット。

4R目はお互いクリーンヒットは少なめだが、ジャブで組み立てる帝尊選手がややリード。

5R目は大きな差はないけれど、京原選手の右が当たる場面があり、やや京原選手。

そして迎えた最終ラウンド。

僕のここまでの採点では1ポイント帝尊選手リードでしたが、最終ラウンドにやや押し込み気味の右をもらい帝尊選手痛恨のダウン。

結局このポイントが響き、2対1の判定で京原選手の勝利。

帝尊選手は積極性が少なくて後半失速し、「どうしちゃったのかな?」というボクシングでした。

移籍してもそんなに元気になっている気がしませんでした。

Sバンタム級8回戦 高橋 竜平(横浜光)VS木村 天汰郎(駿河男児)

1R目、ゆっくりと距離をつめる高橋選手とスピーディーな木村選手。

木村選手は高橋選手が入ろうとするところをジャブや左フックで止める上々の立ち上がり。

右カウンターも入りこれで高橋選手が腰を落とすと木村選手が一気にまとめる。

安全運転の印象の強い木村選手が倒しにかかったこの場面はジャッジにも好印象を与えたと思います。どっちつかずのラウンドがあった時に、こういう見せ場を作った選手の方に気持ちは傾くものなので。

ただ、初回にこれだけ積極的に手を出して後半失速しないか心配になりました。

2〜4Rはどちらも有効打は奪えないものの、木村選手が足を使って高橋選手の入り際にパンチを合わせている印象。

微妙なラウンドだけれどポイントをつけるなら木村選手かな。木村選手は意外とペースが落ちない。

5R目も同じような展開でしたが若干距離がつまってきて高橋選手も手を出せるようになってきたか。微妙ではあるが高橋選手にポイントをつけました。

6R目はついに高橋選手のパンチが木村選手の顔面を捉え、7R目も木村選手は後手にまわりロープに詰められる場面が増えて行きました。

最終ラウンド、このまま高橋選手が押し切ればドローもあるかと思いましたが、最後は木村選手が良く動き、手数も出して盛り返しました。

判定は77対75が2者、1者はドローでした。

僕の採点は77対75でした。

ドローもあり得た試合展開でしたが、高橋選手の勝ちはないのかな。そんな印象でした。

高橋選手は前戦でも藤岡選手に足を使われてしまいましたが、この手の選手に弱いですね。

木村選手はフットワークだけでなくボディワークも上手かった印象です。

スピードがあって足もあってボディワークも上手くて、この選手を捕らえるのは中々難しそう。気持ちを見せる場面、有効打をアピールする場面、対戦相手への礼儀、一つ一つの仕草にボクシング愛を感じる選手でした。

Sバンタム級10回戦 小國 以載(角海老宝石)VS栗原 慶太(一力)

小國選手赤コーナーなのに何故か青コーナーに角海老OBの京太郎選手が。

席間違えてないかと思ったら栗原選手入場のタイミングでそそくさと赤コーナーの方に移動していく京太郎選手が映っていました。動きがコミカルでちょっと笑えました。

栗原選手は普段より1階級上の試合なのでいつもより体がゴツかった。

栗原選手のトレーナーの田中栄民さんは元角海老で小堀選手を世界チャンピオンに導いた名トレーナー。角海老で世界チャンピオンを誕生させたトレーナー同士の対決も注目の1戦でした。

1R目の小國選手の立ち上がり、目でフェイントしながら左をボディに持っていく小國選手。栗原選手のパンチも良く見えており、右ボディもヒットさせて上々の立ち上がり。

栗原選手が接近してパンチを出せばブロックしながらの流れで得意の左ボディ。

栗原選手は力強い右フックを叩き込む場面もあったがガードの上。

小國選手の丁寧な細かいパンチが光った1ラウンド目でした。

2R目、序盤に小國選手の左フックからの右ストレートがクリーンヒット。

栗原選手がジャブで距離をつめるところにまた流れるようなカウンターの左ボディがヒット。

浅いもののその後にワンツーも好打。

栗原選手も反撃の右を当てるが、全体的には小國選手ペースのまま2ラウンド目も終了。

3R目になると少し距離が縮まってきたか、栗原選手の有効なパンチも目立ち始め、右を合わせる場面も。ただ小國選手も顔をずらしてクリーンヒットは回避。

栗原選手も迫力あるパンチを出すが、細かく当てているのは小國選手。

徐々に栗原選手がペースを手繰り寄せてきているが、ポイントをつけるなら小國選手。

4R目、栗原選手が鋭い踏み込みから強烈な右ボディを叩き込む。小國選手も右ストレートを浅くヒットさせる。

栗原選手ジャブジャブで小國選手をロープまで詰めたところで右アッパーをクリーンヒット。

このアッパーは予想外だったのでは。

外から叩きつけるようなパンチを見せてきて、ここで右アッパーかと痺れましたね。

小國選手は下がる場面が増えてダメージのある様子。

下がる小國選手に栗原選手の右フックもヒット。

ただこのまま一気に栗原選手にペースが流れるかと思ったところで今度は小國選手の右がクリーンヒット。

面白い展開になってきた矢先、「ガチン!」という音が。ボディ当てた音かと思いましたがこれがバッティング。

小國選手かなり深く頭をカットしてしまいこれで試合終了。

見応えのある試合だったのでとても残念でした。

小國選手は序盤からポイントを取っていたし、栗原選手は4Rに右アッパーを好打させて流れを引き寄せかけていたところ。

どちらにとっても悔しい結果となってしまいました。

あのまま続きがあれば年間最高試合級の試合になった事でしょう。

小國選手はジャブ一つとっても全く同じ動作で顔面、胸、ボディと打ち分け、動きに無駄がなく、ボクシングが本当に丁寧で、一つ一つのパンチに意味があるように思えました。

一方の栗原選手の作戦も素晴らしく、踏み込んで外から叩きつけるパンチを見せ続けて、そこからの右アッパー。まだまだ色々とパンチを当てるための伏線を用意していたでしょう。

ファンとしては再戦が見たい一戦ですが、階級も違うし栗原選手に取ってはメリットがないかもしれません。

小國選手はまだまだ第一線で活躍できる姿を見せてくれました。

もう一回観たい。。再戦希望です。

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