こんにちはtorajiroです。
2022年10月20日(木)のDANGAN252、堤選手と大嶋選手のバンタム級タイトルマッチに南出選手と与那覇選手の挑戦者決定戦、チャンピオン候補飯村樹輝弥選手も参戦し、細川バレンタイン氏と渡部あきのり氏の引退式もありの盛りだくさんな興行の現地観戦記です。
56.0kg契約4回戦 北村創(輪島S) VS 菅原弘貴(Reason押上)
34歳デビューの菅原選手が両ガードをしっかり上げてのジャブで先手を取り、北村選手はやや受け身ながら時折力強いパンチをまとめる展開。
1Rは良いペースだった菅原選手ですが、2Rになるとやや単調になり、北村選手に右を合わされて後退。
そこまでのダメージを負ったようには見えなかったのですが、ここから北村選手の連打に防戦状態に。
深いダメージには見えなかったのでレフェリーも様子を見ていましたが、手が出なかったのでしばらく連打が続いたところでレフェリーストップになりました。
年齢は関係ないと思うものの、30過ぎてデビューした選手達の耐久力の面は少し気になっています。
これまでにも30代デビュー選手の試合でこういう展開が何度もあったような気がしていまして。
菅原選手は勝てる試合だったと思うので攻め手のバリエーションを増やして下半身を鍛えて強くなって帰ってきてください。
80.0kg契約4回戦 石浦良平(RK蒲田) VS 中野健太郎(W日立)
この試合は残念ながら石浦選手の怪我で中止。
80kgの迫力ある試合を見てみたかったですが怪我は仕方ないですね。
フェザー級6回戦 山口成也(厚木ワタナベ) VS 中塚 貴大(JBS)
前戦で引き分けた両者の再戦。
中塚選手は1R目から右クロスが冴えていました。
前回引き分けだったとは思えない立ち上がりでしたが、2R目に山口選手がダウンを先取。
中塚選手は右を打って体が正面に立つ癖があり、そこにパンチをまとめられると危ない。
しかしその後は中塚選手がジャブで先手を取って右を被せる展開から、ラウンドが進むにつれて手数の差が出て中塚選手がポイントをピックアップ。
山口選手はフットワークが軽快で中塚選手が正面立ったところへのパンチのまとめは効果的でしたが、受け身に回る場面が多くてポイントには繋がりませんでした。
また、この試合JBスポーツのセコンド陣の指示が的確で観戦しながらとても勉強になりました。
右ストレートを打って正面立ちやすい中塚選手に対し
「頭入れっぱなしにしなければ大丈夫!」
「手から行かない!」
「4つまで!」
と、中塚選手が手から打ちにいって体が前を向く状態を作らないように要所要所で注意を促していました。
手から行かなければ腰が回って体が正面には立たないし、4つ打つには回転が必要だし、弱点をストレートに指摘するのではなく弱点が出ないような動きを指示する。とても勉強になりました。
ラストラウンドの終盤、山口選手がラッシュした場面では相手に打たせて疲れを誘った後で「GO!!」と指示を出していたのも的確だなぁと勉強になりました。
これだけ的確な指示を出してくれるセコンド陣がいたら選手も安心でしょうね。
解説付きで観戦しているような気分になりました。
52.5㎏契約6回戦 篠田将人(野口) VS 齋藤哲平(M.T)
昨年度の全日本新人王篠田選手は身体能力抜群でサウスポースタイルからの鋭い踏み込みとパワフルなパンチが魅力的。
ついでに入場曲は安室ちゃんの「TRY ME」でテンションアゲアゲ。
この試合は前戦で比連崎選手に初黒星を喫してからの再起戦。
対する齋藤選手は前戦も身体能力抜群、スピードが尋常ではない和田大杜選手と試合をしてドロー。
相手の早い動きに乱されず冷静に対処できるところがストロングポイントです。
冷静な試合運びが良い齋藤選手は篠田選手を相手に良く足を使い、打っては動いて的を絞らせず、右で先制。
篠田選手も左を狙いながら齋藤選手が来たところを左アッパーで迎え打ちますが、中盤まではやや齋藤選手のパンチが的確か。
ただ中盤以降は篠田選手の積極性の方が光った印象で僕の採点は58対56でしたが、ジャッジ2者がドローでこの試合は引き分け。
篠田選手は見過ぎてしまう場面と、攻めが雑になってしまう面がありますが、鋭い踏み込みにパワフルな左ストレートやアッパーは華があって魅力的な選手です。
フライ級8回戦 飯村樹輝弥(角海老宝石) VS エスネット ドミンゴ(比)
未来の世界チャンピオン候補飯村樹輝弥選手の約1年ぶりの試合。
1R目は落ち着いた立ち上がりで、ドミンゴ選手が打ち終わりを狙っている事を把握すると打ち終わりもしっかり動いて被弾を開始していました。
ジャブから右もヒットさせてまずまずの立ち上がり。
が、それにしてもドミンゴ選手のパンチに勢いがあって怖い。
会場内がドミンゴ選手のパワーにざわつく中、2Rにドミンゴ選手の左からの右で飯村選手まさかのダウン。
そこまでダメージがあるようには見えませんでしたが、ドミンゴ選手は続く3R目にも左フックで飯村選手の腰を落として2度目のダウンを奪いました。
飯村選手は4Rにはペースを取り戻し、緩急のある攻撃からカウンターを打ち込み、このまま後のラウンドもポイントを取っていくと思いましたが、5R終盤に再びパンチをまとめられてダウンし、6R目にも左フックを効かされてレフェリーストップ。
飯村選手の高いスキルはこの試合中随所で見られましたし、スピードもパワーも素晴らしかったです。
ガードもしっかりしているし、スピードもあるし、パワーもあるし、攻撃に緩急もあるし、将来世界チャンピオンになれる選手だと思います。
ただいかんせんドミンゴ選手のパワーがあり過ぎました。
あんな思い切り飛び込んでパワフルなパンチを振られたら対処が難しいですね。
すごいパンチ力でした。
飯村選手は思い切り倒された後も立ち上がってスピードも落とさず強いパンチを打ち込んでいたので、耐久面の心配はないし、下半身の強さを感じました。
まだまだプロ4戦目。穴がなくて完成度の高い選手なので再び這い上がって来てください。
日本バンタム級挑戦者決定8回戦 南出仁(セレス) VS 与那覇勇気(真正)
南出選手の2トンフック(右フック)VS与那覇選手のヨナッパー(右アッパー)と必殺パンチを持つ、KO率の高い注目選手同士の一戦。
KO決着が予想されていましたが、個人的には南出選手は前回の試合で見せた足を使ったボクシングを磨いてくると予想していました。
足を使えば南出選手、打ち合いになるなら与那覇選手がヨナッパー炸裂でKO勝利が戦前の予想。
試合は与那覇選手が距離を詰め、南出選手が足を使って距離を取る展開でスタート。
まずは南出選手が左ボディフックで先制し、ノーモーションの左からの右フックを顔面、ボディとヒットさせてポイントでリード。
与那覇選手は中々距離が掴めず追いかけて前に出るところに南出選手のジャブや左ストレートをもらってしまう展開。
3R途中から徐々に距離が縮まり始め、打ち合いになる場面も増え始めました。
このまま足を止めて打ち合いになる展開だと流れが与那覇選手に行くと思いましたが、南出選手は時折打ち合いつつも終始足を使う新しいスタイルを完遂。
5R目にはヨナッパー炸裂でピンチもありましたが、ここでも熱くなって足を止めたどつき合いにはならず。
南出選手は左からの組み立てが良く、左で飛び込んだり、左から右を上下に返したり、左のダブルで攻めたり、左をフェイントに使ってジャブを入れたり、左を起点とした多彩な攻めが良かったです。
与那覇選手は自慢のセクシーでワイルドな強打を爆発させる事は出来ませんでしたが華のある選手でした。
日本バンタム級タイトルマッチ 堤聖也(角海老宝石) VS 大嶋剣心(帝拳)
大嶋選手は前回のタイトルマッチは負傷判定による悔しい敗北。
1〜3Rはリーチで勝る大嶋選手がジャブで自分の距離をキープしてリードしているように見えました。
ニヤリと不敵に笑う大嶋選手は何かをやってくれそうな予感を感じさせました。
角海老陣営は飯村選手のショッキングな敗戦もあり、悪い流れだなぁと思って見ていましたが、3R終了後に大嶋選手の顔を見たら左目付近が腫れ始めており、堤選手のパンチも結構当たっているという事に気づきました。
4R目に入るとここから一気に堤選手が反撃。
堤選手の攻撃は左ジャブ突きながら足が入れ替わって左ジャブ左ジャブ左ストレートと連続で打ったり、右ストレートも体ごと飛んできて軌道が読めなかったり、遅れてスイング気味に飛んできたり、見た事ないコンビネーションや軌道でパンチが飛んでくるので見ていて面白い。
対戦相手からしたら嫌で仕方ないでしょうが。
大嶋選手も右アッパーを効果的に決めて反撃していましたが、中盤以降は堤選手の波状攻撃に飲み込まれてしまいました。
敗れましたが大嶋選手は劣勢に立たされながらも踏ん張り、両手を広げて効いていないとアピールして根性を見せました。
最後は堤選手得意の右クロスに沈みましたが、大嶋選手はこの試合でファンを一気に増やしたのではなかろうか。
まとめ
DANGAN252はどの試合も見応えのある素晴らしい興行となりました。
試合の合間にチャンピオンカーニバルの表彰に渡部あきのりさんと細川バレンタインさんの引退式もあり、終了時間は大分遅くなりました。
表彰式と引退式は分けた方が良かったかも。
興行として見た時には終わり時間も意識して組み立てられると良いのですが、KO決着は予想出来ないし、怪我や減量失敗による中止もあるし、ボクシングの興行は時間の予測が難しくて興行主は大変。
引退式は感動したし、試合も好試合ばかりで個人的には大満足な興行でしたが、遠方の方は帰りが遅くなると翌日が辛いですね。
さて、これでバンタム級は堤選手と南出選手のタイトルマッチとなりました。
実力も人気もある両者の対戦は果たしてどんなドラマが待っているでしょうか。