3150FIGHT ボクシングニュース

重岡銀次朗世界戦を1Rから検証〜バッティングは多かったのか?

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。

こんにちはtorajiroです。

2023年の1発目のボクシング興行3150FIGHT vol.4で重岡銀次朗選手初の世界挑戦はバッティングによって無効試合になる残念な結果になりました。

問題のシーンが何度もリプレイされているのでバッティングを食らったのはむしろ銀次朗選手の方だという事は明らかですが、以下の疑問点があったので試合を初めから何度か見返して検証して見ました。

  • 1Rからのバッティングによるダメージの蓄積はあったのか?
    →問題のシーンはきっかけに過ぎず、それまでのバッティングによるダメージの蓄積があったのかもしれない。
  • 負傷引き分けではなく無効試合となったのは何故か?
    →4Rまでの続行不能はドローでは?
  • ダニエル・バラダレス選手の左耳が聞こえなくなったのはバッティングのせい?
    →頭が当たって左耳が聞こえなくなるか?パンチによるものでは?
  • ダニエル・バラダレス選手の心が折れたのは何故か?
    →そこまで極端に劣勢にも見えなかったが。。

先に一部結論を申し上げると、バッティングシーンは意外なほど少なく、銀次朗選手の有効打によってバラダレス選手の心が折れた可能性が非常に高いです。

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前提として、ダニエル・バラダレス選手は元々バッティング多めの選手

試合の映像を振り返る前に前提として、そもそもダニエル・バラダレス選手は前傾姿勢で頭から入っていくスタイルのため元々バッティングが多い選手です。

過去の試合でも頭が突っ込む場面が多く、バッティングで負傷する事も度々。

出典:🇵🇭Cuarto vs 🇲🇽Valladares | Full Fight | Highlights

バラダレス選手の初世界挑戦は4R負傷判定でしたし、タイトルを獲った試合もバッティングで負傷。

加えて世界タイトルを獲った試合はバラダレス選手が右から返しの左をもらってダウンした場面がスリップと裁定される、という典型的なホームタウンデシジョンと思われるタイトル奪取でした。

元々ガツガツと頭をぶつけながらファイトするのがバラダレス選手のスタイルで、タイトル奪取した試合も疑惑の判定気味だったという点を前提とした上で以後の話を進めます。

1Rからのバッティングシーンを振り返る

初めに重岡銀次朗選手とダニエル・バラダレス選手の試合映像を見返して、バッティングシーンが何度あったか調べて見ました。

すると思った以上に頭の当たる場面が少なかった事が分かりました。

浅めに当たっただろう場面はあるも、直撃は殆どなかっただろうと思われます。

もっと銀次朗選手が左ボディを打ちに行くところで頭が当たっていたのかと思いましたが、映像を見返すと、銀次朗選手は打ちに行く時に頭が当たらないように左右に頭を外していました。

逆にバラダレス選手の方は前傾姿勢で右ストレートと一緒に頭が突っ込んで行くので、過去の試合で負傷していたのも頷けるファイトスタイル。

勿論故意のバッティングではないですが、バラダレス選手はある程度頭が当たることも織り込み済みでダメージを最小限に抑える頭の位置取りをしており、映像を見返してもバッティングによるダメージの蓄積があるようには見えませんでした。

おまけでバラダレス選手はサウスポースタイルにスイッチして左ストレートと同時に左足を一歩前に出して銀次朗選手の右足に絡めて右を打ったりと、老獪さを随所に発揮。

サウスポースタイルにスイッチ
左ストレートと同時に左足を絡め
足を絡めた状態で右ストレート

この辺りはさすが世界チャンピオン。

これは上手いと思いましたが、銀次朗選手もスッと足を外してバランスは崩していませんでした。

負傷引き分けではなく無効試合なのは何故?

バラダレス選手が3Rで試合を棄権した際、初めは負傷引き分けと発表され、その後に無効試合に訂正された経緯がありました。

何故負傷引き分けではないのか、IBFのルールを調べたら以下の記述がありました。

If the referee determines that a boxer has been accidentally injured and the bout cannot continue, the referee shall immediately call a Technical Decision to be awarded to the contestant who is ahead on the scorecards. If the fight can continue, the referee will notify the Commissioner and the representative of the IBF of the accidental foul and if the fight has to be terminated because of the injury in a later round as a result of the injury, the fight will be awarded in accordance with the majority vote of the judges as disclosed on the scorecards. No Decision will be awarded to any of the contestants if the situation occurs before four rounds have been completed.

IBF公式サイトRULESより

もしレフェリーが偶然の怪我により試合続行不可能と判断した場合、それが4ラウンド終了以前であれば「No Decision」。

なので無効試合となった点についてはIBFのルール通りのようです。おそらくは。

ダニエル・バラダレス選手の左耳が聞こえなくなった原因

次にバラダレス選手が棄権した際に左耳が聞こえないと訴えていた点ですが、バラダレス選手のバッティングは頭の硬いところでしっかり当たっていたのでバッティングによるものとは考えにくい。

映像を見返すと3Rに銀次朗選手の左ボディからの返しの右フックが顔面をとらえていたので、これで鼓膜が破れたのかもしれません。

レバーへの左ボディからの返しの右フックは銀次朗選手の得意パンチ。

このパンチは相手のカウンターも怖いし、強靭な下半身がなければ打てない銀次朗選手の必殺ブローです。

更にこの後、バラダレス選手は問題のバッティングシーン直前にも銀次朗選手の強烈な右フックをもらっていたのでこのラウンドの右フックで左耳がイカれたのでしょう。

バッティングを訴える以前にこのパンチによるダメージが相当あったものと推察されます。

ダニエル・バラダレス選手の心が折れたのは何故か?

1,2Rは銀次朗選手がやや優勢ながらバラダレス選手も右を当てて反撃しており、そこまでの劣勢ではありませんでした。

まだまだ試合の序盤、圧倒的な差が出ている訳でもない中で何故バラダレス選手の心は折れてしまったのか?

その疑問を持ちつつ3Rの映像を見返すと中盤から銀次朗選手の左ボディが再三入っており、このボディでバラダレス選手は失速してクリンチで逃げる状態に。

特に問題のバッティングシーンの一つ前、バラダレス選手が右を打ちに行こうとした瞬間に銀次朗選手がカウンターの左ボディをレバーに打ち込んでおり、この後バラダレス選手はクリンチに。

パンチを打ちに行ったところへのレバーブローはもらった人なら分かる地獄の苦しみ。

更にボディ食らって悶絶しているところに上述の右フックを叩きつけられ、そこからの問題のバッティングシーンへと発展。

左ボディと右フックのダメージが限界に来ていたところに頭が当たり、咄嗟にこのバッティングにすがってしまったのでしょう。

そうとしか思えない展開でした。

まとめ

試合内容とルールを見返した結果をまとめます。

  1. 前提として、バラダレス選手は前傾姿勢で頭を下げながらパンチを打つので元々バッティングの多い選手。
  2. 試合全体を通してバッティングは殆ど発生していない。
  3. 引き分けではなく無効試合となったのはIBFのルール通り。
  4. バラダレス選手の左耳が聞こえなくなっていたのは強烈な右フックを叩きつけられたから。
  5. バッティングの前に左ボディで悶絶しており、ボディと右フックのダメージで心が折れかかっていたところに頭が当たり、完全に心が折れた。

といった経緯でバラダレス選手は無効試合に逃げてしまったというのがtorajiro的な検証結果です。

そもそも世界を獲った試合もダウンをなしにしてもらった上に不可解な減点もあってのスプリットディシジョンでした。

この時のホームタウンディシジョンがあったが故にどこかに心の弱さが出てしまったのかもしれません。

一度折れてしまった人間の心はそう簡単には戻りません。

再戦すれば銀次朗選手が問題なく勝つでしょう。そもそもの自力の差もありましたし。

今回の無効試合という裁定は非常に残念ですが、村田諒太選手もアッサン・エンダム選手との初戦でダウンを奪いながら不可解な判定で敗れ、その1戦目があったからこそタイトルを奪取した時には大きな感動がありました。

まだまだ世間一般的な認知度が高いとは言えない重岡銀次朗選手。

今回の一件で重岡銀次朗選手に注目が集まり、4月16日の3150FIGHT東京デビュー興行でタイトルを奪取すれば、すんなりタイトルを獲っていた以上の盛り上がりとなる事は間違いないでしょう。

  • アマチュアの1敗は兄弟対決を回避した結果の1敗。
  • プロでの1無効試合はチャンピオンの心が折れた結果の1無効試合。

きっとこの試合はプロでの重岡銀次朗伝説を象徴する1戦として後世に語り継がれる事になるでしょう。

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