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石脇麻生@韓国の試合を採点。アウェイ判定の実態を検証。

torajiro

ボクシングファン歴27年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。Xも投稿していますのでフォローいただけると嬉しいです。

こんにちはtorajiroです。

2022年10月30日(日)石脇麻生選手が韓国でリ・ポムキュ選手とWBAアジア・サウス・ウェルター級王座決定10回戦を戦い、2対1の判定で敗れました。

この試合は判定がおかしいと韓国国内でも声が上がる疑惑の判定だったようですが、YouTubeに試合動画がアップされていたので実際に問題ある採点だったのか映像を見て採点をしてみました。

2R目と3R目は残念ながら映像がなかったので採点できていません。

1R目 序盤リも中盤以降は石脇

リ選手は気合いの入った表情。

1R開始後、石脇選手がジャブを突いてサークリングし、リ選手がジリジリと距離を詰め、ジャブに合わせて右クロスをヒット。

ジャブの差し合いでも石脇選手の顔面を弾いて後退させ、更に右クロスを合わせるがこれはやや浅い。リ選手はここから細かいパンチをまとめるが、石脇選手はガードとスウェーで回避。

開始から40秒はリ選手のペースでしたが、ここから石脇選手が反撃。

左ボディ左フックのダブルにジャブから右ストレートボディを浅くヒット。続けてジャブから右ストレートボディにジャブから右フックを顔面に。

リ選手は石脇選手のパンチに右を合わせようとするが当たらない。

石脇選手がジャブを当ててワンツースリーの三つ目もヒット。

リも右クロスから左フックの得意パターンで反撃するがやや浅い。

終盤にも石脇選手が右フックを叩きつけてコンビネーションを決めて1R目は終了。

開始から40秒まではリ選手のラウンドでしたが、その後は手数でも有効打でも石脇選手がリ選手を大きく上回る。

自分だったら石脇選手にポイントをつけますが、アウェイという事も考慮するとリ選手のポイントになるかもしれません。

採点は割れてもおかしくないラウンド。

4R目 石脇リズムを変えてペースを掌握

石脇選手はジャブ連打で入る。両手を下げてリズムを変えてきている。

ジャブから右ボディストレート。ワンツー左ボディと先手を取る。

リ選手の攻撃も両手を下げてスウェーで避ける。

リ選手は手を出そうとする一歩手前で石脇選手に先に打たれて手数が出ない。石脇選手のワンツー左ボディの打ち終わりに合わせる程度。左フックも浅くヒットはするがラウンド全体を通して手数が少ない。

ラスト1分でリ選手はワンツー左ボディでコーナーに詰めて連打を打とうとするが石脇が被弾を回避。

石脇選手がリズムに乗って自分のボクシングをして、リ選手は後手に回る展開。

5R目 中盤までは互角も終盤で石脇がリード

1分経過までは互角の展開。リ選手の右が石脇選手にヒットする場面もみられた。

ハーフタイム辺りから石脇選手が手数を増やして攻めるが、リ選手もガードが固く、ブロックして左フックをヒットさせる場面も。しかしラスト46秒で石脇選手の左ボディがクリーンヒット。

これは効いたか、リ選手の動きが落ちる。ここから石脇選手連打をまとめ、特に左右フックがリ選手の顔面をとらえる。

互角の展開からの終盤攻勢で石脇選手が明確にポイントを取ったか。

6R目 やや石脇選手の一方的な展開に

石脇選手が序盤から接近戦で仕掛けると、リ選手は打ち終わりにフックを返すが、パンチに序盤のようなキレがなく石脇選手にブロックされる。

手数も落ちて打ち終わりにフックを返すのが精一杯だが、フックを返した後にも石脇選手にフックを返され苦しい展開。

石脇選手は終始ロープに詰めてワンツーから左フックを好打し、リ選手の返しはバックステップで回避。

左のダブルを顔面からボディに、更に顔面への左フックがクリーンヒット。ダメ押しで右フックも。やや一方的な展開になってきた。

リ選手はバランスも良く、そこまでダメージを負っているようには見えないし時折見せる右の見栄えは良いが、ポイントを取れる内容ではない。

7R目 石脇終盤に左フックでリの腰を落とす

石脇選手がワンツーで飛び込み左。これはやや浅い。

ここから接近戦は互角。石脇選手も6R程の手数は出ていない。と思ったが徐々にエンジンが入り手数が増え、左フックがリ選手の顔面にクリーンヒット。

石脇選手が連打をまとめるが、打ち終わりにリ選手の右クロスもクリーンヒット。しかし石脇選手はここで下がらず前に出て打ち勝つ。

リ選手は疲れて右狙いも、ラスト35秒辺りにこの右が当たり一気に攻めるが、ここで石脇選手の左カウンターが綺麗に入り腰を落とす。そこからラウンド終了までガードを固め防戦一方のリ選手。

五分の展開から石脇選手がペースを引き寄せ、終盤に被弾するも逆に左フックでリ選手の腰を落とした石脇選手のラウンド。

8R目 石脇選手が全体を通して攻勢も

リ選手が右を浅くヒット。見栄えは良いが、この一発以降は石脇選手が前進して手数を出し、リ選手は下がりながらの一発狙いもガード、スウェーで外される。

石脇選手の顔面にパンチを集めてからの左ボディがかなり効いている様子。

下がるリ選手にジャブジャブジャブで追いかける石脇選手。このパンチが顔面を捕らえる。

ラスト1分。リ選手のアッパーが石脇選手にヒット。この後アッパーが更に当たり、リ選手がパンチをまとめるが、ここから石脇選手が打ち返し最後は左フックをクリーンヒット。リ選手が後退してラウンド終了。

リ選手は3分の中で有効打を当てて見せ場を作る場面はあるが、いかんせんその時間帯が短く、石脇選手の腰を落とす程の有効打にはなっていない。そもそも石脇選手は頭をズラしてクリーンヒットを回避しているが、見栄えとしてはリ選手の攻撃は悪くない。

とは言えこれでリ選手のポイントになるようだと石脇選手にとってはかなり辛いところ。

9R目 リ選手の左フックが綺麗に入る

リ選手の飛び込む左が石脇選手にクリーンヒット。

この試合を通してのリ選手のベストショット。このラウンドはリ選手が元気。ガードの上ではあるが積極的に手数を出す。しかしハーフタイム過ぎると石脇選手のペースに。ジャブが再三当たり、リ選手の顔面を跳ね上げ、右アッパーを好打。リ選手は露骨に嫌がり後退しながら右を狙うのみ。

このラウンドは後半の一方的な展開を見れば石脇選手だが、アウェイなので序盤に当てた左でリ選手のラウンドか。クリーンヒットはこの一発のみではあったが。

普通に採点すれば石脇選手。

10R目 リ選手最後は元気

両者中間距離で激しいパンチの応酬。ハーフタイム付近でリ選手の体重の乗った左右フックが石脇選手を捕らえる。最後の力を振り絞って打つリ選手のパンチには序盤のようなキレがある。

手数とヒット数では石脇選手が勝るものの、回転力でパンチをまとめた時の見栄えはリ選手。

最終ラウンドは明確にリ選手がポイントを取ったと言って良いラウンド。

ただこれも日本国内だったら日本人同士であっても、手数を取って石脇選手にポイントを付けるジャッジがいてもおかしくないラウンドではありました。

採点結果と照合

以上、映像を確認出来なかった2,3Rを除いた自分の採点だと、4〜8Rははっきりと石脇選手がポイントを取り、1,9Rはアウェイという点も考慮するとリ選手にポイントが流れる可能性もあり、10Rもリ選手のラウンドかなという採点でした。

ジャッジペーパーによると2Rは五分の展開で、3Rは石脇選手のラウンドだったようなので、最低でも6R分は石脇選手がポイントを取っただろうというのが自分の採点。

アウェイとか関係なく採点すれば最終ラウンド以外は石脇選手にポイントつけますが。

これを公式のジャッジペーパーと比較してみると、第4Rと第7Rは2者がリ選手にポイントを与えており、第8Rに至っては3者共にリ選手を支持しておりました。

出典:ボクシングモバイルより

8Rのリ選手は終盤にアッパーからの連打で見せ場を作るも最後は左フックを食らっており、ラウンドを通してジャブとボディで石脇選手ペースでした。

これだけ優勢でも石脇選手にポイントがつかないのは何故だろうと思いましたが、採点の傾向を見ているとジャブとボディを殆ど評価しておらず、クリーンヒットになっていなくても右で相手のバランスを崩せばそれがポイントに繋がっているように感じました。

石脇選手はこの試合を通じてジャブとボディでかなり優勢に試合を進めており、これがダメージングブローになってリ選手が後退する場面もありましたが、ポイントにはなりませんでした。

この試合をどちらがより多く右で相手のバランスを崩したかで採点してみると、

1Rは石脇選手のジャブに右を合わせたリ選手のラウンド。

4Rは石脇選手がジャブからワンツー左ボディで優勢でしたが、打ち終わりに右を合わせたリ選手のラウンド。

5Rには左ボディでリ選手の動きを止めて連打をまとめましたが、このボディはポイントにならないので1者はリ選手のラウンドと評価。

6Rは一方的だったので文句なしで石脇選手のラウンド。

7Rは石脇選手の打ち終わりに右クロスを合わせたリ選手のラウンド。

9Rは逆に序盤にリ選手が左フックを石脇選手にクリーンヒットさせましたが、映像を見返してみるとこのラウンドは石脇選手の右が良く当たっていたので2者が石脇選手のラウンドと評価。

10Rは回転に乗った左右フックで右を当てたリ選手のラウンド。

こうしてどちらがより多く右で相手のバランスを崩したかで採点するとリ選手の勝利となります。

この通りアウェイというだけでなく、根本的な採点基準がスタンダードからは大分外れてしまっていると感じました。

日本人ジャッジも世界基準から比べるとジャブを評価しない傾向にあると言われますが、この試合の採点に関してはその比ではないレベルでジャブもそしてボディも評価されていませんでした。

まとめ

国内の選手が減り、円安に賃金低下。国内だけで上を目指せる可能性は一昔前よりもかなり低くなりました。

特に国内の選手層が薄い中重量級の選手は海外に活路を見出す必要がある一方、今回の石脇選手のような形で判定負けしまうとランキングも上がらないし、これまで築き上げてきたボクシングにも狂いが生じてしまいます。

海外での経験は積みたいけれど、変な採点で負けるのも困るというジレンマ。

海外のリングでもフェアでスタンダードな採点基準で評価してもらえるなら、日本人ボクサーももっと安心して海外に出ていけるはずです。

TBプロモーション、PXB、3150FIGHTらそれぞれの方法で海外展開を志向しているプロモーションが今後海外で力をつけていけば、日本人ボクサーが国内と同等の採点基準で安心してリングに上がれるようになる時が来るのではないでしょうか。

そう遠くない未来の話だと期待しています。

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