観戦記

調整試合をいかに魅力あるコンテンツにするか?タイ人ボクサー最速KO賞の意義と限界

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。

こんにちはtorajiroです。

LifeTime Boxing 11 KO祭をABEMAで追っかけ再生しながら視聴。

1試合目の日本ランカーの平安山太樹選手に星大翔選手が挑んだ試合以外は全て対戦相手がタイ人ボクサーという所謂調整試合中心の興行でしたが、個人的にはとても意味ある興行だったと思いました。

それと同時に調整試合をどう魅せるかという点の難しさも感じた興行でした。

調整試合の必要性

調整試合とは、楽に勝てる相手を主に海外(特にタイ)から呼んできて行われる試合の事を言います。

「結果の見えた試合をやって何の意味が?」

と感じるかもしれませんが、実戦経験を積むため、試合間隔を空けないため、ファイトマネーを得るため、調整試合は非常に重要な役割を担います。

普段の練習ではヘッドギアを装着し、試合よりも大きいグローブを着けてスパーリングを行いますが、試合本番のギアなし8 or 10オンスとは距離感が全然違います。

相手がヘッドギアを着けていないと一気に的が小さくなります。更にそれを普段より小さなグローブで捕らえないといけないので、試合本番ではその難しさを痛感します。

出来る事なら少ないダメージで本番を多くこなして試合の距離感に慣れておきたいものです。

試合の距離感に慣れればそれを普段の練習に落とし込む事も出来ますし、ブランク明けで試合をする際には、いきなり危険な相手と戦うのではなく、感覚を取り戻せるような調整試合を挟んで実戦感覚を取り戻してから大きな試合に挑む方が勝率は上がります。

LifeTime Boxing 11 に出場した選手の顔ぶれを見ると、調整試合が必要な選手ばかりだった事に気付かされます。

  • 鈴木稔弘選手(志成)→アマチュアエリートだがプロはまだ2戦目、アマからプロになるまでにブランクあり
  • 李鎮宇選手(角海老宝石)→全日本新人王を獲ってからの初戦
  • 白石聖選手(志成)→移籍して約3年ぶりの試合
  • 高橋拓磨選手(志成)→移籍して約2年ぶりの試合
  • 佐々木尽選手(八王子中屋)→前戦で課題の残るドロー
  • 比嘉大吾選手(志成)→前戦でダウンを奪われ大苦戦

鈴木選手と李選手はそれぞれの土俵で経験値を積む必要があり、白石選手と高橋選手はブランクがあるので調整試合を挟む必要があり、佐々木選手と比嘉選手は前戦での課題をクリアする上で練習の成果を試すような試合が必要でした。

こうしたそれぞれに目的のある調整試合だったので、各選手今回の調整試合をこなす事はとても意味のあるものだとジムサイド、選手サイドからは感じました(自分はただのボクシングファンですが)。

最速KO賞の意義

調整試合を行うことは選手にとっては重要な一方で観客、視聴者からすると「結果の見えた試合を見ていても面白くない」と感じてしまう側面はあります。

そこで今回の興行で採用された案が最速KO賞。

一番速くにKOした選手に賞金50万円が払われるという制度を採用したことで、どの選手が一番速くに倒すのかという点に毎試合注目が集まり、結果が分かっている面での関心の薄れを多少はカバー出来ていたように感じました。

ただ、2試合目で鈴木稔弘選手がKOした1Rの1分43秒を過ぎると集中力が切れてしまう面はありました。

結果の見える試合でいかに魅せるか

元世界チャンピオンの比嘉選手をはじめとした有名選手が多数出場した興行でありながら、一番面白く、ハラハラした試合は第1試合目の平安山太樹選手と星大翔選手の一戦でした。

星選手の成長を感じた素晴らしい試合でした。

いくらKOで興味を惹いても、やはりどっちが勝つのだろうというドキドキには勝てません。

調整試合は必要ですが、対戦カードを見た時点で結果が見えてしまう興行でKO以外の要素でどう惹きつけるのか。

これはとても難しい問題ですね。

「調整試合と思ったら意外と対戦相手が奮闘した。」

「調整試合の中で応援している選手のレベルアップを感じた。」

「この調整試合の先に大きな試合が待っている。」

等々、試合の中に意外性があったり、先の展開があったりすれば少しは違うのかもしれません。

また、会場観戦している場合であれば、KOでテンポ良く試合が進めば試合が終わってから選手を応援する仲間と飲みに行けるなんてメリットもあると思います。

ABEMAの中継があった関係で今回は折角KOがあっても待ち時間があり、最終試合が終わったのは9:30頃でした。

これでは試合が終わってから仲間と飲みに行くには遅すぎる。

一案ですが、調整試合が中心の興行にするのであれば、思い切って試合会場は選手を応援する者同士の待ち合わせ場所と考えてみてはどうでしょうか。

KO決着で試合が早い時間に終われば仲間と一緒に飲みに行けます。

調整試合であればある程度安心して見ていられるので、試合中も仲間と語らいながら落ち着いて観戦する事も出来ます。

そういう待ち合わせの場所という視点で試合をプロデュースする事も今後意識してみてはどうでしょうか。

まとめ

ボクシングの試合はプロレスのように終了時間を予め予測する事が困難なため、終了時間が遅くなってしまう傾向にあります。

試合の場で久々にボクシング仲間と集まっても、メインまで見ていたら一緒に飲む時間がなくなってしまうので、泣く泣くメインの前に会場を後にするなんて事も何度となくありました。

タイトルマッチがある興行は試合を見ることがメインでそこに全集中させ、調整試合中心の興行はKOでテンポ良く進め、早い時間に試合が終わる事を意識し、ファン同士のアフターの時間を確保する。

そんな形で興行の系統に合わせた工夫があっても良いのかなと勝手ながら感じた次第です。

ですがまぁ、最近はチケット価格も高騰し、一緒に観戦していた仲間も1人また1人と脱落し、会場では1人観戦が中心となっているのが自分自身の現状ではありますが。。

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