こんにちはtorajiroです。
2022年11月2日、ボクシングオール4回戦興行の観戦記です。
引き分け続出の互角の試合が多かった興行で、それによってプロの厳しさを痛感する興行になりました。
女子アトム級4回戦 松岡瑞稀(ワタナベ) VS 福原佐和子 (UNITED)
5戦4敗1分の松岡選手と3戦3敗の福原選手による初勝利を目指した一戦。
お互い初勝利に賭ける思いは強かっただろうが松岡選手はリラックス、対する福原選手はかなり緊張した様子。
試合は松岡選手がいきなり右で先制し、そこから攻勢に。
そのまま右で福原選手の腰を落ちたところでレフェリーが試合をストップ。
松岡選手は嬉しい初勝利。今日のボクシングが出来ればこの先も勝っていけると思います。
福原選手はこれで4敗(3KO)。体の面が少し心配です。
女子フェザー級4回戦 ボーニ・フェデリカ(RK蒲田) VS 古川のどか(YuKO)
デビュー戦の古川選手はアマチュアキャリアのある選手。
ボーニ選手は前回の試合で初勝利後の涙が最高に可愛かった。
試合はアマキャリアのある古川選手がキレのある動きで先制し、ボーニ選手がやや後手に回る展開。
2Rにはボーニ選手が素晴らしい右カウンターで古川選手の腰を落とす見せ場も作ったが、ジャブにパンチを合わされてやや右の一発狙いになってしまった。
古川選手は途中から見せたボディから上への返しが有効でした。無駄な動きも少なく体も仕上がっていて強かったです。
判定は3対0で古川選手。
フルマークのジャッジもいましたが僕は2Rはボーニ選手の右ストレートにポイントを付けました。
強敵相手に敗れたボーニ選手ですが、試合後の表情がこの日も素敵でtorajiroおじさんはウルっときました。
48.5㎏契約4回戦 出戸柾光(ワタナベ) VS 山口和也(マナべ)
デビュー戦同士の1戦。
山口選手は35歳デビュー。出戸選手はまだ10代。
距離が遠くなり過ぎたり近くなり過ぎたり、デビュー戦同士ならではな距離感が合わない展開が続きました。
普段ヘッドギアありの大きいグローブで練習しているので初めての試合は距離をアジャストさせるのが難しい。
お互い手数は少なく遠い距離で探り合っていた中から先に前に出たのは山口選手。しかし2Rに出戸選手の右をもらいダウン。そこまで強いパンチではなかったので一瞬スリップかと思いました。
その後は山口選手が前に出て、出戸選手は狙い過ぎて後手に回る展開のまま終了。
判定は2対1で出戸選手の勝利でしたが。山口選手が気持ちで優った試合でした。
出戸選手は本来もっと良いボクシングが出来るはず。途中で見せた左ボディも良かったし。
デビュー戦で会場の空気とギアなし8オンスの恐怖に少し飲まれてしまっていたかも知れません。
山口選手は惜しかったですね。ダウンが悔やまれる一戦でした。
Sライト級4回戦 鳴海拓郎(RK蒲田) VS 並木翔冴(宮田)
並木選手は背中がとんでもなくデカい。歩きながらジワジワと距離を詰めて強打を振るう姿は迫力がありました。
鳴海選手は中間距離で足を使い、ジャブからインサイドにパンチを打っていくが、並木選手の迫力あるパンチにやや押され気味。そして2Rに並木選手の左右フックで鳴海選手ダウン。
3R序盤は鳴海選手が立て直して足を使ってジャブからワンツーを打っていましたが、並木選手の右ストレートボディからの左右フックで後退。
このラウンド終了後、鳴海選手陣営が棄権を申し出て並木選手のTKO勝利。
宮田ジムはちょいちょいこういうフィジカル系というか、野生的なボクサーが出てきますね。
RK蒲田の柳光会長の指示は毎回とても的確だなと思います。
ミニマム級4回戦 京屋勇気(ワタナベ) VS 吉川岳大(オークラ)
京屋選手はミニマム級ながら筋肉質でパワフルなボクシング。
ガードしてガードして体力温存し、攻める所は一気に攻める独特なスタイル。
吉川選手は丁寧にジャブからワンツー返しのフックとコツコツとポイントを稼ぐのだが、京屋選手が爆発するとそこで一気に逆転。
毎ラウンドそんな展開が続きました。
強引に来た京屋選手に吉川選手のカウンターが決まる場面もありましたが、ポイントつけるなら京屋選手。
吉川選手は負けはしたけどこの日のボクシングを続ければ良いと思います。体が出来て来たらハッキリポイント取れるようになるはず。
京屋選手は圧倒的な攻撃力は魅力的ですが、力の無駄遣いも多かった。
凄い逸材なので今後に注目です。
53.0kg契約4回戦 河村慎司(FLARE山上) VS 阪口輝(小熊)
デビュー戦のダウンからの猛攻に魅了されて応援している河村選手の試合。
この日は単発の左ストレートが上下に良く決まり当て感の良さを見せましたが、阪口選手がパンチをまとめた時のもらい方が悪く採点が難しい展開に。
阪口選手の右ストレートを外しての左カウンターを何度か決めていたのは見事でした。
河村選手の課題は膝が立ってしまい棒立ちでパンチをもらう点でしょうか。
特に右足が立ってしまう場面が度々あって気になりましたが、元々のフィジカルが強いので修正は難しくないと思います。
阪口選手はサウスポー相手にやや攻めあぐねている印象でした。
オーソドックスと戦う試合も見てみたい。センスを感じる選手でした。
判定はドロー。僕は有効打で河村選手かなと見ていました。
53.0kg契約4回戦 山本敬太(野口) VS 豊田純平(オークラ)
デビュー戦同士の一戦。
低いガードから分かりづらい軌道で飛んでくる豊田選手のパンチは早くて威力がある。
このパンチを開始早々にもらってしまい山本選手ダウン。そこまでダメージは無さそうで素早い攻撃で反撃するも豊田選手のやや荒いパンチをもらってしまい再び右でダウンしTKO。
豊田選手は勝っても負けてもKOな面白い選手になりそう。
山本選手は基本がしっかりしていて真面目に練習している選手に見えました。
スピードもあるし次に期待。
ウェルター級4回戦 外村武(ワタナベ) VS 熊澤公佑(T&T)
良く動いてジャブを突く外村選手とどっしり構えて腰の入ったパンチを打つ熊澤選手。
手数は外村選手だが有効打は奪えていない。
ジャブで先手を取り、相打ちの右も先に当てていた外村選手の勝ちで良いと思いましたが判定はドロー。
外村選手は最終ラウンド右をスイングして抱きつくを繰り返したのが印象悪かった。厳しいレフェリーなら減点もあり得たかも。3ラウンドまでの動きを続けられたら勝っていたと思います。
熊澤選手は手数が少なすぎたかな。
バンタム級4回戦 三浦成道(東拳) VS 花立修平 (オークラ)
体格の似た両者。
花立選手が先手を取るが三浦選手が右で花立選手の顔面を跳ね上げて連打で流れを引き寄せる。
2R目に再び三浦選手の右で花立選手は大きく腰を落とす。ここは踏ん張ったが右からの左フックももらいバランスを崩し、ロープ側でまとめられてレフェリーが救出。
三浦選手の的確なパンチが上回りました。
Sフライ級4回戦 和田大杜(FLARE山上) VS 菊田助(角海老宝石)
今回のオール4回戦で1番レベルの高かった試合。
1分けの和田選手と1敗の菊田選手ですが実力はB級以上。
特に菊田選手の技術レベルの高さが光りました。
序盤は和田選手が素早い動きからサウスポー菊田選手のインサイドにジャブを入れて浅く右を上下にヒット。
冷静に見ていた菊田選手は2R途中から距離、タイミングが合い初めて、和田選手の打ち終わりに右フックを合わせたり入り側に左を合わせ、3Rには和田選手の動きを見切り自分から出て左ボディストレートから上下に打ち分け。右アッパーも良かった。
しかし和田選手も積極的に攻める姿勢を見せて判定はドロー。
6Rなら菊田選手が危なげなく勝ったのでは。
おそらく菊田選手は練習ではB級、A級ボクサーと互角のボクシングをしているはずで、4Rの中で勝ち切る事の難しさを感じた試合でした。
和田選手はデビュー戦では動きが大き過ぎて後半失速していましたが、この日はその点を修正してきていて成長を感じました。
ライト級4回戦 中谷清彩人(EBISU) VS 伊藤祐太(マナベ)
1R目の伊藤選手のジャブはモーションが無くてどっしり力強くとても良かったです。そこからの左フックや右もクリーンヒットしていてこのままリードするかと思ったが、2R目からはこのボクシングが出来ず。
逆に中谷選手は接近戦からの離れぎわに右をを打ち下ろし、接近戦での左ボディも力強かった。
一進一退の攻防になり判定はドロー。
伊藤選手のジャブは凄く良いので、接近戦に持ち込む前のあのジャブをもっと使ったボクシングをした方が強いと感じました。
体がゴツいので接近戦主体の選手に見えますが、あのモーションのないジャブは凄い武器になるはず。
中谷選手は最後まで動きのキレが落ちず、接近戦でのボディも力強かった。
74.0kg契約4回戦 盛合竜也(ワタナベ) VS マッチョパパ一基(協栄)
マッチョパパの筋肉が美し過ぎた。
左右偏りのないバランスの良いはがねの筋肉。
肉体美は全試合でダントツ。体だけならフルマークで完勝でした。
あの筋肉は会場で見る価値ありです。
試合は盛合選手が内側から有効なパンチを当て、マッチョパパが外から左右フックを振る展開。
マッチョパパが突っ込んだところへの盛合選手の右アッパーも良かった。
マッチョパパのパンチの迫力は凄かったが、ジャッジは有効打を支持して盛合選手がほぼフルマークで勝利。
マッチョパパの筋肉に目がいってしまった一戦でした。
62.5kg契約4回戦 ジョーカーリョウ(KG大和) VS 大場 翔(ジャパンS)
大場選手の応援団がガラ悪すぎた一戦。
声援禁止の無視はある程度許容するとしても、「殺せ!」の野次は聞きたくなかった。
実際命を落とした選手達もいます。
盛り上がって羽目を外すことまで否定はしないのでこの言葉だけは冗談でも止めましょうね。
試合は大場選手が素早いジャブで先制し、徐々にリョウ選手が右ボディストレートから顔面に打ち分け盛り返した内容。
リョウ選手ののらりくらりしたボクシングはやりづらそうでした。中々味わい深いボクシング。
大場選手はブランクを感じない機敏な動きで対抗しました。
判定はまたまたドロー。
まとめ
オール4回戦でドロー判定も多く、ハタから見れば地味な興行だったでしょう。
最後まで会場観戦した自分もクタクタでした。
大きな舞台、派手なKOは当たり前ではなく、多くの試合がこうして実力が拮抗した者同士のギリギリのせめぎ合い。
毎日休まず練習を続けた者同士が戦うんだから当然ですよね。
プロ選手が減ったとはいえ競争が激しい事は変わらず、この世界の厳しさを痛感しました。
4回戦ボクサーのレベルも上がっています。
この舞台で上を目指して頑張れたのならその後の人生は楽勝です。
という事で選手の方々は自信を持って生きてください!