4月22日の谷口将隆選手と石澤開選手のWBO世界ミニマム級タイトルマッチ。
この試合を楽しみにしていたファンにとって残念なニュースが流れました。
石澤開選手が2.5キロも体重超過しての計量失敗。2時間後の再計量でも200グラムしか落とせず、2.3キロの体重超過。
チャンピオン、挑戦者、双方が心配な状況で開催された世界戦は谷口選手がこれでもかと言わんばかりに上手さを見せつけての完勝。
敗れた石澤選手の心身のダメージが気になりますが、過去の計量失敗ボクサーの事例を参考に石澤選手の今後を占ってみました。
もくじ
計量当日に現れなかったボクサー達のその後
最近は体重を落とせなかったボクサーがそのまま計量にも現れずに表舞台から消えていくケースが散見されております。そうしたボクサーがその後どうなったのか見ていきましょう。
日本バンタム級王座決定戦に出場予定だった定常育郎選手
2021年11月12日、日本バンタム級王座決定戦に出場予定だった定常育郎選手が減量失敗による体調不良を理由として計量の場にも姿を現しませんでした。
将来を嘱望される期待の選手でしたが、これを境に表舞台からは姿を消しています。
Instagramに謝罪の投稿があったことから、まだ完全にボクシングから距離を取ったわけではなさそうですが、謝罪投稿以降は全く音沙汰無しの状態です。
西日本新人王トーナメントに出場予定だった西村連選手
2021年9月19日の西日本新人王トーナメントに出場予定だったSUN-RIZEジムの西村連選手。
計量2日前にはスポンサーとなってくれる企業の広告が入ったトランクスをInstagramにアップしていましたが、減量失敗による体調不良を理由に計量の場に現れず。
その後Instagramの更新もなく、どこで何をしているのか分からない状況です。
二度のキャンセルから失踪した荒瀬あかり選手
2019年4月27日に試合予定だった女子アトム級ランカーの荒瀬あかり選手は体重が落ちない事を理由に計量の場に現れず、そのまま失踪。
荒瀬選手は2018年12月の試合も棄権しており、2度続けての失態を犯してしまいました。
荒瀬選手はこのまま試合をする事なく引退。
東日本新人王トーナメントを棄権した小嶋夏生選手
2019年7月29日、亀田京之介選手と対戦予定だった小嶋選手は減量失敗による体調不良で計量の場に現れず。
小嶋選手は対戦相手の棄権を挟んで2回続けての計量失敗となり、その後リングには戻ってきていません。
バンタム級王座決定戦の計量に現れなかった村中優選手
バンタム級王座決定戦では定常選手以前にも計量に失敗したボクサーがいました。
それが世界戦の経験もあった元日本フライ級チャンピオンの村中優選手。
2018年6月21日に予定されていた王座決定戦の前日計量において、減量失敗による体調不良を理由に計量の場にも現れず、そのままリングに戻ってくることはありませんでした。
チャンピオンにまでなった選手としてはなんとも寂しい末路でした。
ついでに村中選手と同じフラッシュ赤羽ジムの土屋浄司選手もこの翌月の試合の減量に失敗し、前日計量に現れないという失態を犯しましたが、土屋選手はその後も数戦こなしており、結果も出しています。
同じジムで減量失敗が立て続いた事で、フラッシュ赤羽ジムの川島オーナーはこの時に3ヶ月のライセンス停止処分を食いました。
ついでに川島オーナーはその2年後くらいにラウンドガールの酩酊騒動でも処分を食らっていましたっけ。
体重超過でも試合を決行したボクサーのその後
今回の石澤開選手もこの部類に入るでしょうが、計量失敗後に体重超過でも試合をした選手はその後の再起の割合も高くなっています。
平岡アンディ選手とのSライト級王座決定戦で計量失敗した佐々木尽選手
2021年10月19日に平岡アンディ選手とSライト級のタイトルを争う試合において、佐々木尽選手は1.8キロオーバーで計量に失敗。
この試合は当日にリミットから8%以内の増量に抑えてくる事と、平岡選手が勝った場合のみ新チャンピオンとなるという条件にて挙行されました。
試合も平岡選手が勝ちましたが、佐々木選手の場合は試合前に新型コロナウイルスに感染して重症化していたということもあり、同情の余地もある体重超過ではありました。
試合は結構盛り上がり、平岡選手側の応援で来ていた関根勤さんも佐々木選手のファイトスタイルとキャラを絶賛。
計量失敗した選手の中で一番元気なのはこの佐々木尽選手なのかもしれません。
佐々木選手は4月22日の世界戦のアンダーカードで再起に成功。

対戦相手のマーカス・スミス選手も過去に減量失敗で試合中止した過去があるという計量失敗ボクサー同士のサバイバルマッチを制した佐々木尽選手でありました。
減量失敗ボクサーの星として輝き続けて欲しい。
2度計量失敗しながら試合をした丸木和也選手
2015年8月2日の試合で2.8キロも体重超過しつつ試合をした丸木和也選手。
この時はまだJBCに体重超過に対する細かな規定は定められていなかったので試合は決行されました。
今の基準では中止となっていた試合。
丸木選手はこの2年後にも再度体重超過の失態を犯し、その試合で日本ランカーの今野裕介選手にKO負けして引退。
一度目の体重超過後に2連敗し、そこから一つ勝った次の試合での体重超過し、失った輝きを取り戻すことは出来ませんでした。
計量失敗は連鎖する
体重超過の前例を調べていく中である事に気付きました。
荒瀬選手、村中選手、小嶋選手、丸木選手のように体重超過を繰り返してしまう選手の存在と、体重超過ボクサーの周辺でも負の連鎖のように体重超過が起きてしまうという事象です。
上述の村中選手と同ジムに所属していた土屋選手の体重超過であったり、マーロン•タパレス選手、コーチ義人選手に立て続けに体重超過を食らった大森将平選手が、その後に自身も体重超過で試合キャンセルしてしまったり。
負の連鎖は確実にありそうです。
それを裏付ける根拠として、2018年に世界戦でも国内の試合でも体重超過が続出する問題が発生した事象を紹介します。
この年は3月に山中慎介選手の世界戦においてチャンピオンのルイス•ネリ選手が大幅な体重超過を犯し、9月には比嘉大吾選手が世界戦において日本人チャンピオン初の計量失敗を犯してしまいました。
この2つの体重超過が注目される中、2018年は比嘉選手も含め11名の日本人ボクサーが計量に失敗するという事態が発生していました。
処分されたボクサーだけで11名なので、処分されていないボクサーも含めると実数はもっと多かったかもしれません。
この数字はその前後の年を遡っての最多の数字です。
計量失敗がクローズアップされた年に体重超過ボクサー数も最多になるという何とも皮肉な年でした。
更に2018年は体重超過のあった世界タイトルマッチが8件もありました。
これもその他の年と比べると、とても多い件数となっております。
こうしてみると残念ながら2022年は今後も計量失敗が相次いでしまう可能性もあります。
石澤開選手の今後はどうなる??
石澤開選手は計量に失敗し、試合にも敗れたとは言え、11ラウンドまで粘り諦めない姿勢と根性を見せました。
最後まで目は死んでおらず、ボクシングに対する情熱を失ってはいないでしょう。
あのまま試合中止になっていたらどうなったか分かりませんが、リングに上がって戦う姿勢を見せたことでここから再起する可能性はグッと上がったと思います。
ただ、世界戦での計量失敗なので相当厳しい処分が課されるでしょう。
JBCが存続していればですが、少なくとも1年は試合出来ず、復帰の際には1階級以上階級を上げることが条件とされる可能性が高いです。
階級を上げることでミニマム級時代程の存在感は出せなくなり、タイトル戦線に再浮上してくるまでは少なくとも2年はかかると思われます。
厳しい道のりになりますが、石澤選手はまだ25歳と若いので時間がかかっても再び浮上して再度日本タイトルに絡むボクサーとはなるでしょう。
おまけ:計量で体重超過が最も多かった選手は??
前日計量では過去にとんでもない体重超過で試合を中止させたボクサーがいました。
2016年7月20日の井岡選手と和氣選手のダブル世界戦という華やかな舞台において、ダッシュ東保ジムの太田領選手がやらかした体重超過は実に6.9キロ!?
はなから減量する気なんてなかったのでしょう。計量の場でも終始悪態をつく酷い有様だったようです。
どんなボクサーだったのかSNSを調べましたが、かなり荒れた感じの選手でした。
知らない人の事を悪く言いたくないのでこれ以上深掘りはしませんが、反省して次のフィールドで活躍している事を願います。
まとめ
石澤開選手の減量失敗で直前の水抜きの是非がまた議論されています。
直前の一気落としはやはりリスクがとっても高いので用心に用心を重ね、減量は無理のない範囲に留めて欲しいです。
あまり楽しくない予想ですが、注目された試合での体重超過の余波は大きく、負の連鎖で他の試合でも体重超過や試合直前の体調不良によるキャンセルが相次いでしまうかもしれません。
少しでも計量失敗のリスクを減らすため、試合当日にリミットから増やして良い体重の上限を設けるといった措置は考えても良いと思います。
多少の抑止効果くらいにしかならないでしょうけど。。