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フェニックスバトル.90[日本]試合速報•観戦記

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。

こんにちはtorajiroです。

7月12日(火)開催のフェニックスバトル.90日本Sウェルター級タイトルマッチをFODで観戦。

試合速報形式で書いた観戦記に改めて各試合の感想やまとめを追記しました。

フェザー級4回戦 山川健太(大橋)VSザップ森本(博多協栄)

アマチュアチャンピオンの山川選手のデビュー戦。

対するザップ森本選手はコスプレが面白い。

1R目、山川選手がジャブで距離をとり、ザップ選手がガードを固めて中に入ろうとする展開。

山川選手は下がらずしっかり迎え撃ち力強い。

高卒プロにしては既に体がしっかり出来ている。

2R目になるとザップ選手がガードを固めて接近戦を仕掛けるが、山川選手は接近戦でも左ボディが強烈。ザップ選手も右フックや右アッパーを当てる場面はあったが、手数有効打共に山川選手が大きくリード。

3R目はザップ選手が右フックを当てる場面もあって途中までは良かったが、そのザップ選手の右フックに山川選手が左ボディをカウンターで痛打。これが効いてザップ選手は防戦一方。

4R目もザップ選手はこのボディのダメージが残っており動きが悪く、山川選手にパンチをまとめられて試合終了。

僕の採点もジャッジもフルマークの40対36で山川選手の勝利。

しかしザップ選手良く頑張った。

福岡のコスプレボクサーと言えばベジータ石川選手でしたが、これからはザップ森本選手が引っ張っていってください。ナイスファイトでした。

山川選手は既に大卒のアマチュアエリートのような風格。あっという間に上位戦線に食い込んでくる選手になりそうです。

バンタム級6回戦 田中湧也(大橋)VS冨田風弥(TRIBE)

長身サウスポーの両者。

1R目、田中選手は非常に冷静。動きも最小限で緊張もなさそう。

田中選手がジリジリと距離を詰めてジャブから組み立てて優勢も長身の冨田選手相手にやややりづらそうでもある。

やや田中選手リードかと思われたところ、冨田選手の右フックでバランスを崩すように田中選手ダウン。

2R目、ダウンを取られた田中選手は慌てる事なく冷静。変則的な冨田選手の飛び込むフックもしっかりガードし、冨田選手が飛び込んできた打ち終わりにしっかり合わせる。クリーンヒットは少ないがやや田中選手がポイント取ったか。

3R目も田中選手はジャブで組み立て冨田選手の打ち終わりに合わせる。

冨田選手は飛び込んだところにあわされて徐々に失速してきている印象。ラウンド終盤には田中選手がワンツーを痛打。ポイントは田中選手か。

4R目になると完全に田中選手ペース。冨田選手のパンチが当たらなくなってきた。冨田選手は動きのキレも無くなってきている。田中選手が的確にパンチを当てていった。

5R目は落ち着いた展開ながら田中選手がコツコツと入り際、打ち終わりにパンチを合わせる。両者やや疲れたか。

6R目は冨田選手が積極的に手を出す。田中選手はやや手数が減って疲れている印象。冨田選手のパンチは空を切る場面も多いが積極性で冨田選手がリードしたか。

僕の採点は1ポイント差で田中選手。

ジャッジは3者とも58対55で田中選手。最終ラウンドも田中選手だったか。

田中選手はハードなマッチメイクで良く勝ったと思います。1ラウンド目のダウンで取り乱す事なく冷静に戦えたのは収穫だったのではないでしょうか。

Sフライ級8回戦 中垣龍汰朗(大橋)VS近藤冬真(蟹江)

1R目、中垣選手は距離感よくサウスポースタイルから近藤選手が入って来る所に左を合わせる。近藤選手もガードが良くフィジカルも強く有効打は貰わず接近戦に持っていく。ポイントは中垣選手か。

2R目、近藤選手が積極的に出てくる。積極的に攻めた近藤選手の右が当たり中垣選手はロープに詰められる。このラウンドは近藤選手が積極的に距離を詰めて優勢。

3R目、中垣選手がジャブから距離を取って組み立てようとするが近藤選手は距離の詰め方が上手い。中垣選手は距離が出来たところで思うように手が出ない。見過ぎてしまって距離を詰められている印象。このラウンドも近藤選手の接近戦が光った。

4R目も近藤選手が押し込む。中垣選手は思うように手が出ない。接近戦に持っていかれ中垣選手は劣勢。

5R目、中垣選手は中間距離で戦いたいがやはり近藤選手に入られてしまう。時折中垣選手も中間距離でパンチを合わせるが、どうしても近藤選手に入られてしまう。フィジカルで完全に押し負けている。お互い有効打は少ないがロープ側に詰められて連打を打たれる中垣選手の見栄えが悪い。このラウンドも近藤選手かな。割れたかもしれないが。

6R目、このラウンドは中垣選手も接近戦で打ち負けず、中間距離でも先手を取って左をポンポンと当てた。微妙だがポイントは中垣選手かな。

7R目、中垣選手が先手を取って仕掛ける。中間距離で先に手を出す。近藤選手も連打で細かいパンチを打つが、一発一発しっかり当てているのは中垣選手。近藤選手は手数を出す画面はあるがやや軽いか。ポイントは中垣選手だと思う。

近藤選手はサウスポーに対する外取りも上手かった

8R目も中垣選手が先手を取って左を当てる。このラウンド絶対取るという気迫を感じる。しかし中盤になると近藤選手が細かいパンチでペースを持っていく。序盤の攻勢と終盤の気迫でポイントは中垣選手につけました。

僕の判定はドロー。

ジャッジは三者三様のドロー。妥当な判定だと思います。

近藤選手フィジカル強かった!

中垣選手も最後気迫で良く盛り返しました。

この試合に関してはジャッジに対する不満も大きいようですが、ジャッジ三者はそれぞれ三つの立場に分かれて採点をする事が何となくの前提になっています。

  • 一者は有効打重視。
  • 一者は手数、積極性重視。
  • 一者はその中間。

なのでこの試合、有効打重視の役割で見るジャッジは近藤選手の細かいパンチよりも中垣選手の要所要所の一発にポイントをつけます。手数のジャッジは勿論近藤選手。そして中間のジャッジが今回はやや有効打重視で見た結果、判定はドロー。といったところかなと。

なので三者三様のドローが妥当だと思いました。

結果はドローですが、この試合の勝者は近藤選手。素晴らしいファイトでした。

と書きましたが、試合を再度見返したら中垣選手の有効打もそんなになく、近藤選手のパンチは軽いながらもガードの隙間をぬっていたので近藤選手には厳しい判定だったかな、、

ライト級8回戦 保田克也(大橋)VSクライ セッタポン(タイ)

1R目は両者距離の探り合いで落ち着いた立ち上がり。セッタポン選手反応が良いなと思っていたら、保田選手の入り際に右をヒットさせてダウンを奪取。保田選手ダメージはなさそう。

2R目、セッタポン選手は待ちの姿勢でカウンター狙い。これはやりづらい。セッタポン選手が消極的過ぎたのでこのラウンドは保田選手か。しかしパンチ当たらない。

3R目もセッタポン選手は待ちの姿勢。保田選手の踏み込んでの左が浅くヒット。終盤にも保田選手の左が浅めながらヒット。このラウンドも保田選手でポイントはイーブンに戻ったか。

4R目、徐々に距離が合ってきてはいるが、両者手数は少ない。ポイントは前に出ている保田選手か。

5R目、ついに保田選手の左が爆発!ジャブで踏み込んだところからの左でダウンをゲット。ラスト30秒付近でも連打でダウンを追加。

6R目開始早々に保田選手の左でセッタポン選手が再度ダウンし試合終了。

セッタポン選手本気出したら相当強そうな選手でした。

フライ級8回戦 桑原拓(大橋)VSパリニャ カイカンハ(タイ)

1R目、体格差が明らか。すぐに試合が終わりそうな予感。桑原選手はジャブから素早いコンビネーションで攻める。カイカンハ選手もガードが固く意外としぶとい。ポイントは文句なしで桑原選手。

2R目、カイカンハ選手はガードを固めて前に出るが桑原選手は足を使って上下に打ち分けパンチは一発も貰わず。最後は相手が入ってきた所に右アッパーをカウンターで合わせ一発KO。

桑原選手の良いところだけが光った試合でした。

スピード重視でややガードが低い印象のあった桑原選手ですが、今日はガードもしっかりしていて崩すのが難しそうなボクサーに見えました。

Sバンタム級8回戦 中嶋 一輝(大橋)VSカルーン ジャルピアンラード(タイ)

1R目、1分の様子見から中嶋選手は強打を積極的に打ち込んでいく。左ボディアッパー、左ストレートがカルーンをとらえる。ポイントは中嶋選手。

2R目、中嶋選手の右アッパーからの左がヒット。その後も物凄い音の強打が何発も当たるがカルーン選手もガードしてダウンは免れる。

3R目、中嶋選手ジャブからの組み立てが良い。強引じゃない戦い方もしっかり披露。左ボディアッパーからサイドに回る動きも良かった。強引に行き過ぎずバランスよく戦う中嶋選手に成長を感じます。

4R目も中嶋選手ジャブからの組み立てが良い。大人のボクシングと強打でつけ入る隙を与えない。4R終盤ロープ際で連打をまとめてカルーンを棒立ちにさせる。左ストレートからの右フックが惜しかった。

5R目、中嶋選手は相手の動きをよく見、細かいパンチから強打を打ったり、誘い込んだり、その中で右アッパーがクリーンヒット。カルーン選手はこのパンチのダメージが甚大。相手のダメージを良く見た上でまとめたところでレフェリーが試合とストップ。

中嶋選手序盤から右アッパーが冴えていた。

中嶋選手はパワーを過信して強引に行きすぎる事もなく、ムキになって打ち合う場面もなく、強打を持ちながら冷静に戦っていたのが印象的でした。

今日の冷静さがあれば強引に行って倒されるリスクも減りそうだなと感じました。

日本Sウェルター級タイトルマッチ10回戦 川崎真琴(RK蒲田)VS丸木凌介(天熊丸木)

1R目はジャブの差し合いからスタート。やや丸木選手の方が積極的か。体格差で勝る丸木選手相手に川崎選手は自分の距離に入れていない。

2R目になると川崎選手がリズムを掴んでくる。右ストレート、右のクロス、左フックが丸木選手にヒット。丸木選手も強烈なボディを返す。終盤丸木選手も強烈な左フックを叩き込むがこのラウンドは川崎選手。

3R目、キレのある川崎選手のパンチと重たい丸木選手のパンチが交互に。川崎選手が右フックや左ボデイ、左フックと見栄えの良いパンチを当てる。川崎選手のコンパクトな左フックが良い。

4R目、徐々に有効打の数で川崎選手が上回るようになってきた。丸木選手も重たいパンチを打つがガードの上が多い。

5R目、丸木選手は左ボディが良い。打たれてもすぐ打ち返し見栄えが良い。やや川崎選手のタイミングが読めてきているように見える。

6R目、途中採点を聞いて更に積極的に積極的に丸木選手が出て強烈なボディを叩き込む。川崎選手の打ち終わりにもパンチを返す。一方の川崎選手も左フックをクリーンヒットさせ、右ストレートもヒットさせる。はっきりした有効打を当てたのは川崎選手。

7R目、更に圧力を強める丸木選手。このラウンドは丸木選手が積極的に出てワンツーから左フックに繋げるが、川崎選手ここでも左フックが良い。難しいラウンドだがやはり川崎選手の左フックの見栄えが良い。

8R目も丸木選手の左ボディに対して川崎選手が左フックをヒット。中間距離でも隙をついて川崎選手が左フックをヒット。ラスト1分で丸木選手の右で川崎選手が少しバランスを崩す。このラウンドは積極的に出て右を当てた丸木選手かな。

9R目、後のない丸木選手が左右のボディで攻める。川崎選手の動きが止まる。ボディが少し効いたか。丸木選手のラウンド。

最終ラウンドは両者くっついてのボディ打ち。接近戦。丸木選手がボディを打てば川崎選手が左フックを叩き込む。気持ちで左右フックを叩き込んだ丸木選手かな。微妙なラウンドだが。最後は両者気力を振り絞って見せ場を作った。

僕の採点は96対94で川崎選手。

ジャッジは3者ともにドロー。丸木選手は最終ラウンドにあれだけ動けたのならもう1ラウンド早く仕掛けられたら、とも思うけど結果論ですね。最後良く頑張ったと思います。

川崎選手は独特な角度の左フックが良かったです。

まとめ

今回のフェニックスバトルは大橋ジムの期待のホープ達が苦戦を強いられた興行となりました。

それでも勝てた山川選手、田中選手は一安心ですが、中垣選手は大きな壁にぶち当たってしまいました。

今回の苦戦で対戦相手が見つからない心配はいらなくなったかも知れませんが、フィジカルの弱さを露呈してしまったので今後はそこから攻める戦法でゴリゴリやられそうですね。

アマチュアでは活躍していた選手でも、プロではフィジカルで負けて期待していた程の結果は残せない選手もたくさんいます。

中垣選手にはこの壁を何とか乗り越えて上位戦線に食い込んで行ける選手になってもらいたいです。


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