那須川天心

那須川天心ボクシング転向後の進化まとめ|デビュー戦から次戦まで

torajiro

ボクシングファン歴28年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴3年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。Xも投稿していますのでフォローいただけると嬉しいです。

キック界の神童那須川天心選手が2023年にプロボクサーとしてデビュー。

素晴らしいパフォーマンスを見せながらあっという間に世界への扉を開こうとしています。

しかしキック時代の実績が凄過ぎ、キック時代からのファンの期待も大きく、

KOできないことに対する様々な声も聞こえてきます。

天心選手へのネガティブな声

  • キック時代の輝きがない
  • 華がなくなった
  • ボクシングを覚えて倒せなくなった
  • パンチが軽い
  • 総合行った方が良かった

キック時代と比較して倒せない原因を解説するような動画も多数出ています。

様々な声が聞こえてきますが、那須川天心選手はボクサーとして着実に進化を続けていることは間違いありません。

多くのファンが注目する天心選手のボクサー人生。

その進化の過程を紹介していきます。

0戦目:フロイド・メイウェザーとのエキシビジョン

那須川天心選手がフロイド・メイウェザー氏とエキシビジョンを行ったのは2018年12月31日(月)。

プロボクサーになる4年以上も前の話です。

メイウェザー氏が大金を稼いだことで賛否を読んだエキシビジョンでしたね。

この頃から那須川天心選手はパンチのスキルも非常に高く、スピードも抜群でした。

ただ、足も蹴られるキックの世界で戦っていた時期なので、フットワークは跳ねるタイプで速いけど浮いた感じはありました。

キックの場合、重心低くしっかり踏み込んだところにローを合わされたらダメージが甚大。

自分も一時期キックを習っていたことがありましたが、ジャブで踏み込んだところにローを1発合わされただけで立てなくなりました。

足の使い方がボクサーとキックボクサーだと大きく違います。

この頃の天心選手はまだボクシング仕様にはなっていない印象を持ちました。

1戦目:日本ランカー与那覇勇気相手にデビュー戦

2023年4月8日(土)デビュー戦にしていきなり日本ランカーが相手

という驚きのマッチメイクで那須川天心選手はプロボクサーとしてデビュー。

相手は1階級下のバンタム級とは言え、挑戦者決定戦まで出場したことのある与那覇勇気選手でした。

デビュー戦にして危険な相手を迎えた那須川天心選手。

しかし蓋を開けてみたらスピードとカウンターで圧倒しての完勝。

サウスポースタイルの那須川天心選手は、対オーソドックスのセオリーである右回りを徹底。

距離を詰める与那覇選手にカウンターを合わせて翻弄。

ダウンも奪い、判定もほぼフルマークの文句なしの完勝。

しかし派手なKOを期待していたファンはやや物足りなさも感じたデビュー戦でした。

私的にはこの試合、特に以下の点でキック時代からの進化を感じました。

デビュー戦での天心選手の進化

  • 右回りの徹底
  • メイウェザー戦での跳ねるフットワークから地に足付けたフットワークへ

全てを見せたのではなく、まずは基本通り。

次戦での更なる進化を予感させるデビュー戦でした。

>>2023 スーパーバンタム級6回戦 那須川天心 vs. 与那覇勇気

2戦目:メキシコ・バンタム級王者ルイス・グスマンと対戦

2戦目は2023年9月18日(月)。

対戦相手の変更もありましたがメキシコ・バンタム級王者ルイス・グスマン選手と対戦。

試合前の公開練習では両サイドへの素早いフットワークを見せて視聴者を驚かせました。

下がりながらの右回りとカウンター主体だったデビュー戦と違い、

2戦目は両サイドへの動きを見せ、

自分から攻めて見せ場も多く作りました。

更にパンチのモーションも少なくなったように感じました。

構えている位置から予備動作なく真っ直ぐ飛んでくるので対戦相手は反応出来ない。

フェイントの重要性は良く聞きますが、同様にモーションがないこともとっても重要です。

2戦目での天心選手の進化

  • 両サイドへの動き
  • 自分から攻めて崩す場面を作る
  • 腰が更に落ちてパンチに体重が乗ってきた
  • 手の動きが減り、モーションのないパンチに

デビュー2戦目も2度のダウンを奪いフルマークの完勝。

KOは逃しましたが一歩ずつ着実に成長していることが分かる試合でした。

>>2023 スーパーバンタム級8回戦 那須川天心 vs. ルイス・グスマン

3戦目:世界ランカーのルイス ロブレス パチェコと対戦

天心選手のプロ3戦目は2024年1月23日(火)。

対戦相手はバンタム級の世界ランカールイス ロブレス パチェコ選手。

  • 世界ランカーではあるが1階級下のバンタム級
  • ランカーとはいえ14位と下位

まだまだ本当の世界のトップクラスとの対戦ではありません。

しかし3戦目で世界ランカーは異例。

戦前はルイス ロブレス パチェコ選手はスピードもあって2戦目の相手以上に倒すのは難しいと予想していました。

結果的にはロブレス選手が足を痛める形でのTKO勝利。

結果的にはTKO。

内容もスピードで圧倒。

世界ランカーにほぼ何もさせずに試合を終えました。

天心選手は3戦目の内容が評価されてか、WBAの世界ランキング7位にランクされました。

焦る必要は決して無いですが、世界上位ランカーと試合しても普通に勝てそうなレベルまで来ています。

2戦目以上にパンチに予備動作がなくなり、それに加えて圧倒的なスピード。

近い将来手のつけられないボクサーになると感じる試合内容でした。

>>2024 那須川天心 vs. ルイス・ロブレス

3戦目での天心選手の進化

  • 出てくる相手に合わせるスタイルから常に自分から仕掛けるスタイルへ
  • 自分から前に出て素早いスピードからの左ストレートボディ
  • 予備動作が更になくなる

4戦目:世界上位ランカーのジョナサン ロドリゲスと対戦

那須川天心選手プロ4戦目は2024年7月20日(土)。

WBAバンタム級4位のジョナサン ロドリゲス選手と対戦。

ジョナサン ロドリゲス選手は元世界王者のカリド ヤファイ選手をKOし、後の世界ランク1位の選手とも敗れはしたもののダウン応酬の好勝負を演じた本物の世界ランカー。

この危険な相手を那須川天心選手はほぼ何もさせずスピードで圧倒して3RTKOにて勝利。

3戦目同様に自分から前に出るスタイルで序盤から鋭く踏み込みワンツー、ワンツーボディストレートを突き刺す。

ロドリゲス選手は天心選手が打ってきたところに合わせる作戦もあまりにも速い天心選手のスピードに反応がワンテンポ遅れる。

最後は外を取って踏み込むか、インサイドから飛び込むか、左右に揺さぶりをかけながらインサイドに踏み込んで放ったワンツーにロドリゲス選手が反応出来ず、左ボディ、左アッパー、右フック、左ストレートと畳み掛けて倒し切りました。

公開練習の時点から全くパンチをもらっていなかったが、本番の試合でも全くパンチをもらわず圧倒してしまいました。

試合後には「相手が弱かった」という声も聞こえて来ましたが、今後天心選手と戦う選手は皆同じことを言われてしまうのでしょう。

相手のスピードが対応可能な範囲を超えてしまうと何も出来なくなるもの。

相手が弱いように思えるほどに天心選手のスピードと踏み込みの速さが一級品だということです。

4戦目での天心選手の進化

  • 3戦目同様に自分から仕掛けるスタイルが出来上がる
  • 圧倒的スピードに更に磨きがかかる
  • 外から、中からと相手が反応出来ない素早く深い踏み込み

>>ジョナサン・ロドリゲス vs. 那須川天心

5戦目:超難敵ジェルウィン アシロに辛くも勝利

那須川天心選手プロ5戦目は2024年10月14日(月)。

アマチュア200戦のキャリアを持つ無敗のフィリピーノ ジェルウィン アシロ選手と対戦。

判定は3対0で97-92,98-91,98-91とポイント差もありましたが、お互いクリーンヒットは少ない五分五分の展開で各ラウンド僅かに天心選手がリードしての勝利でした。

この判定に対してはもっと僅差に見えた、中には天心が負けていたといった意見もありました。

が、改めて判定し直してもアシロ選手が取ったラウンドは2,3Rなので判定は妥当なものと思います。

ただ、どのラウンドも微妙だったのも事実。

公開スパーではWBOバンタム級世界ランキング2位のヒメネス選手相手に打ち終わりもしっかり動く素晴らしいパフォーマンスを見せていた分、試合内容自体はやや物足りないものでした。

しかしこの試合は対戦相手のアシロ選手がとにかく強かった。

次戦ではもう一度世界上位ランカークラスの選手と試合をした上で、世界挑戦の舞台に進んでも良い時期が来ていると感じました。

帝拳の路線は焦らず確実にではありますが、今の実力なら世界チャンピオンにも十分なれるところまで来ている。

2025年はボクサー那須川天心にとって勝負の年になると予感させる1戦でした。

>>那須川天心 vs. ジェルウィン・アシロ

6戦目:元王者ジェイソン・モロニーにダウン寸前のピンチも

那須川天心勝負の1戦。

2025年2月24日(月)に元世界王者ジェイソン・モロニー選手との対戦。

この試合は現地で観戦してきました。

公開スパーでは前戦で気になった右の被弾は少なかったものの、左ガードは低く、ここでもらったら危ないかもという懸念はありました。

試合本番では心配された右の被弾でピンチに陥り会場は絶叫でした。

会場で観戦していると1発の重さ、見栄えでモロニー選手が優勢に見える場面も多かったが、改めて映像で見るとそこまでのポイント差はないが勝ったのは天心という試合でした。

会場観戦していた時はドローもあるかもと思いましたが、改めて映像で見返すと悪くても96-94で天心選手の勝利に見えた試合でした。

はっきりとポイントを取られたラウンドがあった一方で、誰が見ても明らかなダメージを与えてポイントを取るラウンドが少ない天心選手。

今のままでも世界のベルトを手にする実力は十分ありますが、まだまだ成長過程なのでもっと圧倒的な力を身につけた上でベルトを巻いて欲しい気持ちも残りました。

7戦目:ビクトル・サンティリャンとの世界前哨戦

2025年6月8日(日)に世界上位ランカーのビクトル・サンティリャン選手と対戦。

世界前哨戦と銘打たれた1戦。

ビクトル・サンティリャン選手は2年前に石田匠選手と挑戦者決定戦で対戦し、1対2のスプリットディシジョンまで持ち込んだ強敵。

公開スパーを見て、この試合は圧倒すると予想しましたが、結果もフルマークに近い完勝。

詳しくは以下の記事もご覧ください↓

この試合は一抹の不安はあれど公開スパーの映像を見てサウスポー同士はむしろ天心得意なのかなと感じた。

サイズが大きくパワーのあるパートナー相手に自分から前に出て主導権を握っていたので好戦的なボクシングから最後はKOもあると期待していました。

終盤一方的に左ストレートを決め続けても倒し切れなかったことで「パンチが軽い」という批判も出ましたが、ボクシングは倒すことが全てではないので気にする必要はないでしょう。

世界の上位相手にワンサイドで戦えることを証明したので、次は世界戦が確実か。

>>バンタム級10回戦 那須川天心 vs. ビクトル・サンティリャン

まとめ:世界初挑戦まであと一歩

以上、那須川天心選手のメイウェザー戦から最新の試合までの進化の過程を紹介しました。

プロボクサー転向後、一歩一歩着実に成長しております。

  • プロボクサーになって重心が落ち
  • 当初待ちのカウンタースタイルから自分から攻めて崩すスタイルへ
  • ピンチも経験し、打ち合い気持ちの強さも見せた
  • 攻撃の幅も広がっている

世界初挑戦は中谷潤人選手が階級アップのため返上が予定されるWBCの王者決定戦になるのでしょうか。

現在天心選手がランキング1位ですが、2位はエストラーダ選手で、3位はアンドリュー カイン選手。

エストラーダ選手も35歳でピークも過ぎており、元はLフライ級から上げてきた選手。

歴戦のキャリアは脅威ですが、エストラーダ戦が実現すれば勝つ確率は高いと予想します。

那須川天心がいよいよプライムボクシングで正真正銘のメインイベンターとして登場する時がやってきます。

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