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矢吹正道のカリスマが拳四朗を不人気不祥事ボクサーから復活させた

torajiro

ボクシングファン歴27年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。Xも投稿していますのでフォローいただけると嬉しいです。

こんにちはtorajiroです。

矢吹VS拳四朗の再戦は、拳四朗選手がパンチを出しながら前に出るスタイルで矢吹選手の距離を封じて攻略した素晴らしい1戦でした。

矢吹選手との2戦で拳四朗選手は確実に強くなりました。

そして、この2戦で実力相応の人気が得られてこなかった拳四朗選手の人気・知名度は一気に上がったように感じております。

矢吹選手のカリスマ性が、低迷するボクシング界に話題を与え、不祥事による人気低迷から復活出来ないでいた拳四朗選手を再びスター選手に引き戻してくれました。

実力と人気が比例しなかった拳四朗選手

ライトフライ級のタイトルを圧倒的な強さで8度も防衛し、具志堅氏の13度の記録も超える勢いだった拳四朗選手。

そんな拳四朗選手には一つの悩みがありました。

それは実力相応の人気が出ない事。

ライバル王者の京口選手と比較しても知名度・人気共に京口選手に大きく水を開けられて、コアなファンの中で評価されるような存在でした。

私、torajiro的には拳四朗選手のジャブで空間を支配するボクシングは好きでして、世界を取る前、というかデビュー初期の頃からずっと追いかけていた選手だったので、人気が出ないことにもどかしさを覚える日々でした。

防衛を重ねていけば徐々に注目されるかもしれない。

そう信じてブレイクする日を待ち侘びていました。

飲酒トラブルでネット上で大バッシングだった拳四朗

そんな中、人気を上げるどころか爆下げしてしまう事件が起こってしまいました。

拳四朗選手が飲酒して泥酔し、マンション敷地内に入り他人の車に傷をつけた事が週刊誌で報じられ大炎上。

  • ベルトを返上しろ。
  • 処分が軽すぎる。
  • ライセンス剥奪だ。

等の書き込みで大賑わい。

この方は確実にボクシングファンではないでしょうね。

ファンなら反省してリングに上がる拳四朗選手が見たいし、ライセンス剥奪しちゃったらもう日本ではボクシング出来ないんですよ。

絶滅危惧種の日本人プロボクサーを更に減らしてどうする気なんでしょうね。

ボクシングを滅ぼそうとする人間がボクシングファンな訳がない。

こういう声には耳を貸して欲しくないなと思っていた中、JBCが罰金300万を課した事は疑問でした。

ネット上の過剰な批判をJBCが容認したように感じ、JBCに対する不信感をこの時は勝手ながら抱いておりました。

もっと重たい罪で逮捕される選手もいる中、世界チャンピオンだから、社会的信用を損なったからと、稼げないボクサーから300万もの金をどういう理屈で奪うことが出来るのでしょう。

こんな高額の罰金課すならそれだけの仕事してボクシングを再興させて欲しい。

ボクサーが稼げる環境を作って欲しい。

JBCはネットの声に流されて亀田を排除した時から変わっていないじゃないかと、個人的には怒り心頭でしたが、ま、それは自分が拳四朗ファンだからというのもありますね。

さて、そんなこんなで人気を上げていくどころか地に落ちてしまった拳四朗選手でありました。

悲しい。

拳四朗選手に実力相応の人気がなかった原因

不祥事で地に落ちる前からイマイチ人気の出なかった拳四朗選手。

その原因は、

  1. 刺激のなさ
  2. ライバル不在
  3. 人間味の不足

この3点につきるのではないでしょうか。

これを恋愛に例えるなら、

何年も付き合っているマンネリカップル。

特に何かビッグイベントがある訳でもなく淡々と日々を過ごし、

恋のライバルが現れる訳でもなく、

挙句、「本番は作業、ゲーム感覚で淡々と」的な事を拳四朗君は言っちゃうものだから、付き合っている側としても本気度が伝わらない。

この展開で待っていました恋のライバル。

圧倒的な存在感を放つ昭和の匂いがプンプンする男が登場します。

それが矢吹正道選手でした。

矢吹選手との2戦で見せた拳四朗選手の人間味

矢吹選手との初戦は壮絶な試合でした。

何が何でもベルトを奪おうと前に出る矢吹。

自分の距離で戦っているつもりが評価されなかった拳四朗選手。

作業、ゲーム感覚なボクシングスタイルがファン獲得に繋がらなかったどころか、ついにボクシングの神様にも見放され、ポイントは矢吹選手に流れます。

ここから拳四朗選手が見せた必死なボクシング。

いつものボクシングではないけれど、必死でベルトを守ろうとする姿に胸を打たれ、忘れていたときめきを思い出しかけますが、それを恋敵矢吹正道が粉砕。

年間最高試合にも選ばれた激闘で拳四朗はベルトを失います。

必死で抗った拳四朗。敗れて長谷川穂積氏に慰められる拳四朗に心揺れつつも、この時ばかりは矢吹正道が放つ昭和なオーラに心を持って行かれました。

そしてバッティング騒動を経てのダイレクトリマッチ。

ドラマを盛り上げるためにも両者一戦ずつ挟んで欲しかったですが、このダイレクトリマッチで拳四朗選手はオープニングからグッと腰を落とし、インファイトをしかけます。

相手の出口をことごとく塞ぐ執拗なインファイトで矢吹選手の距離を完全に潰します。

淡々としていた男がストーカーのように相手を追い回す姿に驚くと同時にめちゃくちゃ感動しました。

漫画のような変貌ぶりで見事なKO

わずか3ラウンドでベルトを奪い返しました。

バッティングを悪質と訴えて場外戦を有利に進め、戦い方を変えるつもりはないと公言し続け、矢吹選手やファンを欺いた拳四朗選手は試合前から必死で勝ちに来ていました。

矢吹選手との2戦で、拳四朗選手はこれまで見せた事の無かった必死な姿を披露し、それがファンの心を打ちました。

矢吹選手の持つカリスマ性が拳四朗選手に光を与えた

拳四朗選手がここまで必死になり、一皮剥けたのは矢吹正道という存在があったからです。

警察の補導歴は50回を超えると言われ、17歳で父親になった矢吹正道。

今どき珍しいヤンキー上がりのボクサーはリング上でも独特のオーラを放ち、勝ち星の9割以上がKOというゾクゾクさせるボクサーです。

最近のトップ戦線のボクサーは大半が礼儀正しいアマチュアエリート。

それは決して悪いことではないですが、矢吹選手のようなゾクゾクさせる相手がいないと、そうしたエリートボクサーの魅力は引き立ちません。

拳四朗選手が矢吹選手と交わった事で一気に脚光を浴びる存在になったように、矢吹選手には交わった他の選手達をも輝かせるカリスマ性があります。

井上尚弥選手や村田諒太選手の存在で目立った話題にはなっていませんが、今、日本のボクシングは選手が激減して試合を組むのも難しい危機的な状況に陥っています。

この苦しい状況を乗り越えていくには、矢吹選手のように周囲の選手をも輝かせる圧倒的なカリスマを持ったボクサーが必要不可欠です。

勝ったのは拳四朗選手だが、主役は矢吹選手

拳四朗選手の王座奪還に終わったこの2戦の主役は最後に勝った拳四朗選手ではなく矢吹選手だったと思います。

仮に矢吹選手が戦った相手が京口選手だったとしても同じように盛り上がったでしょうが、拳四朗選手が戦って敗れた相手が矢吹選手じゃなければこの2戦はこんなにも盛り上がりは見せなかったでしょう。

矢吹選手がいるから物語は盛り上がるのです。

SNS上でも勝った拳四朗選手へのいいねを、負けた矢吹選手が上回っている事からも今回の主役が矢吹選手だった事が窺い知れるのではないでしょうか。

矢吹正道選手の今後

矢吹正道選手の今後について、今はまだゆっくり休んでくださいという段階ですが、再起するか否かは稼げる試合が組めるかどうかに関わってくるでしょう。

矢吹選手は世界を獲った時も、軽量級の安いファイトマネーでは命をかけられないと公言し、引退も示唆していましたが、家族を養っていかないといけない立場なので当然の発言でしょう。

夢だけで食ってはいけません。

矢吹選手がボクシングで食べていけるような試合を組めるか否か。

そこは矢吹選手が現役を続行するならマッチメイクに関わるであろう亀田興毅氏の手腕に託したいところです。

もし矢吹選手が再起するのであれば、矢吹選手と対戦する選手にも注目が集まり、興行も盛り上がりボクシングの再興に繋がるのではないでしょうか。

まとめ

矢吹VS拳四朗の一つの物語が終わってしまいました。

この2戦で元々はファンでありながら物足りなさ、もどかしさも感じながら見ていた拳四朗選手が大きな変貌を遂げました。

あのまま具志堅氏の13回の防衛記録を超えたところで不祥事ボクサーのレッテルは剥がせなかったでしょう。

矢吹選手と交わった事は拳四朗選手にとっては大きな財産になったはずです。

そして矢吹正道選手。

拳四朗ファンのはずだったのに、心のどこかで矢吹選手に勝って欲しいと思っている自分がいました。

対戦相手のファンの心も持っていく矢吹選手のカリスマ性は唯一無二だと思います。

もし次リングに上がる事があるのなら、正式に矢吹ファンとしてチケットを買って応援に行きたいです。

この2戦本当にお疲れ様でした!!

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