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チケットが高い!中止が多い!ボクシング興行の問題点を他の格闘技と比較

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。

こんにちはtorajiroです。

最近開催されたボクシング興行のいくつかに対して思うところがあったのでこの記事を書いています。

試合チケットが高い上に、元々設定されていた試合数も少なく、更に選手の怪我や体調不良(減量失敗含む)によるキャンセルが発生する事態となった試合が複数ありました。

具体的にどういった興行だったのかを紹介し、何故こうした事態が起きるのかを他の格闘技と比較しつつ原因を分析してみました。

オール4回戦+全4試合で1万円の「APOLLO KO LIVE」

この試合はオール4回戦で元々は全7試合が予定されていました。

チケット代は指定の10,000円のみ。

会場となった淀川区民センターが収容定員600名で、リングを設置したら400名程度までしか収容できないので、座席数の少なさを考慮して一律10,000円という金額設定にしたのでしょうが、高額な上に大雑把すぎる価格設定と感じました。

リングサイドで観戦している人も、少し離れた体育館のステージの上から観戦している人も同じ金額設定というのは気になりました。自分だったら納得が行きません。

出典:ボクシングモバイルより

以前100数十名程度しか収容出来ない会場でプロレス観戦しましたが、その際は1列目、2列目、3列目で金額を少しずつ変えていました。

400名も収容できる会場であれば3段階くらいの金額設定は必要だったのではないでしょうか。

加えて淀川区民センターの使用料は終日で52,400円。

後楽園ホールであればこの10倍以上の使用料がかかります。

休日料金であれば20倍以上かかります。

リングの設置費用等はかかるにせよ、場所代が安いのだからもっとチケット代も下げるべきだと思います。

更にこの興行は3試合が選手の怪我、交通事故、体調不良(おそらく減量失敗)によって中止され、4試合しか行われませんでした。

オール4回戦の興行で予定していた試合数が7試合というのもそもそも少ないですが、そのうち3試合も中止になってしまうのは運が悪かったでは済まされない問題ではないでしょうか。

ちなみにこの興行には3150ファイトの北田章太選手も出場して、初勝利を手にしておりました。

追いかけている選手の一人なので個人的にそこは良かったなと思っています。

2試合しか行われなかった「NAKAZATO BOXING GYM Vol.2」

仲里ジム主催のこの興行は日本Sフライ級のタイトルマッチと、日本Sフェザー級のタイトルマッチが行われる予定でしたが、Sフェザー級のタイトルマッチは挑戦者の怪我で中止。

元々4試合しか行われる予定のなかったこの興行は、タイトルマッチの中止に加え4回戦の試合も選手が棄権して1試合中止となり、わずか2試合の興行となりました。

チケット代はRS(リングサイド)席20,000円/指定A席15,000円/指定席B席10,000円でした。

リングサイドのチケットを買われた方はわずか2試合のために2万円払った事になります。

そもそも4試合しか予定していなかった点は興行主の落ち度だと思います。

Sフェザー級のタイトルマッチは代役を探したが見つからなかったようですし、A級、B級ボクサーの数がそもそも少ないので6回戦や8回戦の試合を用意出来なかったのかもしれませんが、せめて4回戦の試合は複数入れておくべきだったのではないでしょうか。

また、代役を探していた事で試合中止の発表が大幅に遅れましたが、これもチケット購入者側からしたら返金連絡する機会を逸してしまう事にもなるので、主催者側の身勝手な行為と感じてしまいます。

選手のタイトルマッチを優先させたかったといった事情はあるにせよ、チケットを購入して会場にくる人達の事を考えると雑すぎる興行でした。

他の格闘技のチケット代や試合中止リスクは?

ボクシングの興行におけるチケット代の高さや試合キャンセル率の高さを論じる上で、比較対象としてプロレスやキックボクシングといった他の格闘技のチケット代や試合中止のリスクをみていきたいと思います。

プロレスのチケット代と試合中止リスク

まずは上述の「APOLLO KO LIVE」と同じ淀川区民センターを利用したプロレスのチケット代を見てみます。

大日本プロレス スーパーシート 7,000円/特設リングサイド6,000円/指定席5,000円

大阪プロレス 特設リングサイド/6,000円リングサイド/5,000円/指定席4,000円

どちらもやはり金額設定を細かく分けています。

更にチケット代も大幅に安いです。

わずか4試合の4回戦のボクシング興行とプロレスだったら自分なら迷わずプロレスを選びます。

プロレスの生観戦は最高に面白いですよ。金額だって半額近いですから、両者を天秤にかけたら迷わずプロレスを選ぶでしょう。以前プロレスを初観戦した時の観戦記のリンクを載せますが、プロレスはテレビでは面白さが半分も伝わりません。生観戦が本当にお勧めです。更にリングサイドは最高です。

▶︎プロレス素人が初の生観戦で気づいた魅力【045 BAY ARENA vol.5】

後楽園ホールで開催される試合に関しても、大体の相場は決まっており、プロレスのチケットはボクシングと比べれば比較的安価に購入可能です。

メジャー団体の新日本プロレスでも指定席A8,500円/指定席B5,500円となっております。

勿論有名選手の試合になればまた金額も変わってきますが、新日の試合ですらこんなに安いのならプロレスを観に行った方が有益ではないかと思います。ボクシングファンですけど。

チケットが安価な上、プロレスの場合は減量がある訳でもないし、怪我等で選手が出られなくなっても団体所属の選手の中で代役が立てられるので、直前になって試合数が半分に減ってしまうなんて問題は生じません。

僕が観戦に行ったプロレス興行でも、当日になって出場選手の変更はありましたが、ちゃんと代役が出て、試合自体はめちゃくちゃ面白かったです。

キックボクシングのチケット代と試合中止リスク

キックボクシングについては様々な団体があり、RIZINやK-1といった大きな大会のチケットはそれはそれは高いです。

RIZINやK-1ワールドグランプリレベルになると10万超える席も出てくるし、一番安いスタンド席でも1万円はします。

こうした大きな試合は除いて見てみると、大体以下のような金額になっているようです。

Krush SRS20,000円/RS15,000円/S10,000円/A7,000円

RIZE SRS15,000円/RS10,000円/S7,000円/A5,000円

ニュージャパンキックボクシング(NJKF RS15,000円/S8,500円/A5,500円/B4,500円

新日本キック SRS20,000円/RS15,000円/S10,000円/A7,000円/B5,000円

大きな試合の金額がべらぼうに高くなるのはボクシングの世界戦も同じですし、それ以外の興行に関して見ると金額はどこも似たりよったりの様子です。

ただ、一方で試合の中止リスクに関してはボクシングと比べるとかなり低いように感じました。

かなり調べましたが、興行の中で1試合の試合中止があるケースはあるにせよ、2試合も3試合も中止になっているケースは見つけられませんでした。

また、中止の場合もキックの場合は1試合が3ラウンドなので、中止になる影響がそんなに大きくないなと感じました。

ボクシングのタイトルマッチだと10〜12ラウンドなので、そうした試合が中止になるのとキックの試合が中止になるのは興行全体に与える影響は全然違いますね。

なぜボクシングの試合のチケットは高いと思うのか??

こうして他の格闘技と比べてみると、プロレスよりはチケット代は高くなるけれど、キックボクシングと比べるとおおよそ同水準の金額設定となっているようです。

ただ、KrushやRIZE等が団体が興行主となっているのと違い、ボクシングの場合は興行主となるジムの裁量でチケット代が決められます。

故に4回戦の選手しかいないのにチケット代が1万円なんていう事も起こり得てしまいますし、わずか2試合の興行が開催されてしまうのでしょう。

更にこの高額のチケットを誰が売るのかと言うと、大半は出場する選手達です。

仮にファイトマネーがチケット制だった場合、上述の「APOLLO KO LIVE」であれば選手は1万円のチケットを10数枚渡され、それを自分で手売り。売れそうになかったら値段を下げて売ります。

更にファイトマネーからマネジメント料の3割を徴収されるので、チケットを値下げして販売した選手らは手元にお金が殆ど残らないなんて事も起こり得ます。

昔、A級ボクサーでチケットが全然売れなくて、マネジメント料の3割を払ったら赤字になったなんて話も聞いたことがありました。

あまり魅力のない興行でチケットが売れなくても、一番にダメージを被るのは興行主ではなく選手という事になります。

全くチケットが売れなかったら流石にボクシングの興行主も打撃を受けますが、一定水準まで売れない点については選手のファイトマネーがバッファーになることで興行主は損失を免れる事が出来ます。

興行主が責任持ってチケットを売らないといけないのであれば、オール4回戦で一律1万円なんて金額設定は絶対にしないはずですが、チケットを売る苦労は出場する選手達が負うので、こんなざっくりな高額設定が成り立ってしまうのではないでしょうか。

興行主に本気でチケットを売る気があれば、もっと価格差をつけたり魅力あるカードを用意する努力をするはずです。

キックボクシングの場合は、魅力ないカードを用意したらチケットが売れず、団体の存続にも関わるのでそこは真剣になります。

一方、ボクシングの場合は様々なジムが興行主となるので、中には微妙な興行もあります。

そしてチケットが売れなくても一番に損害を被るのは選手になるので、興行主もキックの興行のような本気度が薄くなり、割高に感じる質の低い興行が頻発される事になっているのではないでしょうか。

まとめ

プロレスやキックボクシングは団体が興行を管理しているものが中心で、極端に外れの興行というものがありません。

どの試合を見に行っても一定水準の満足度は得られると思います。

一番安い席のチケットでもリングは十分見えますので心配する必要はないです。

演出も派手で盛り上がります。

一方、ボクシングの場合は当たりの興行と外れの興行での落差が非常に大きいので、初めてボクシングを観戦したいと思った場合は要注意です。

不動産投資ばりに目利きが必要になります(笑)。

初めてのボクシング観戦だからと気合い入れてリングサイドの2万円のチケットを買ったけど、試合中止で結局2試合しかやらなかった。

なんてことになったらその方はもう二度とボクシングの試合を観戦しようとは思わないでしょう。

初めて観戦されるのでしたらフェニックスバトル、A-SIGN、3150FIGHT辺りをお勧めします。

ボクシングの興行はもっと観客目線で考え、興行主も選手に依存し過ぎず、どうすればチケットが売れるような興行になるか考えていかないと、ボクシングのブランド価値を下げてしまう事にもなりかねないと危惧しております。

最近の選手の棄権による試合中止増に関しても書きたかったのですが、長くなったので別記事にします。

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