おぎぬまX

おぎぬまXは漫画家?小説家?お笑い芸人?面白いの?

おぎぬまXというギャグ漫画家をご存知でしょうか。テレビ朝日放送の「激レアさんを連れてきた。」で以前、「山籠り、断食などハチャメチャな修行をした結果、ギャグ漫画家の登竜門・赤塚賞で29年ぶりの入選者になっちゃった人」として紹介されたのがこのおぎぬまXさんです。

彼が賞を取った「だるまさんがころんだ時空伝」という作品は、ギャグ漫画でありながらその範疇を遥かに超えた、表現の仕方によっては短編映画にも小説にもなるんじゃないかと思わせるような作品でした。

6月21日放送予定の「激レアさんを連れてきた。」ではこのおぎぬまXさんが再び登場し、赤塚賞受賞後も更にハチャメチャな事をし続けている変人or天才としてその後の活動が紹介されます。

このおぎぬまXという変人or天才を既存の職業のカテゴリーに当てはめて語るのは非常に難しいのですが、間違いなく今後の日本を代表する存在になると私は断言します。多くの方に彼の魅力を知ってもらいたいので、以下でおぎぬまXさんの魅力を簡単に紹介します。

おぎぬまXはギャグ漫画家なのか?

おぎぬまXは何者かと言われれば、一番に出てくるのはギャグ漫画家でしょう。何しろギャグ漫画家の登竜門である赤塚賞を受賞している訳ですから。

ですが上述の「だるまさんがころんだ時空伝」をギャグ漫画と思って読むと、もしかしたら「全然笑えなくない?」「どこが面白いの?」という感想になるかもしれません。

是非実際に読んでいただきたいのでストーリーを詳しくは書けませんが、出だしを簡単に紹介します。

主人公の田中君と友人の森田君が二人でだるまさんがころんだをしているのですが、「だるまさんがころんだ」と振り向く度に森田君の風貌が変わっていきます。
「なぜ?」「はや着替え?」疑問に思いながらだるまさんがころんだを続ける田中君は、だるまさんが転んだをしている間に森田君の時間だけが猛スピードで経過している事に気づきます。
どんどんと風貌が変わる森田君は最後どうなるのか!?
最後の最後に大どんでん返しが待っているというストーリーです。

読み終わった後の率直な感想は「これ少年漫画で面白さが子供に伝わるのかな?」でした。

今まで読んだことないストーリーで、めちゃくちゃ面白かったけど、ギャグ漫画かと言われるとどうなのかな?しかも少年漫画か。子供達に「面白ポイントはどこ?」って質問されてしまいそう。すごいんだけどなんかジャンルが違うようなと感じさせる漫画でした。

現在ジャンプスクエアで「謎尾解美の爆裂推理!!」というおぎぬまXさんの漫画が連載されているのですが、この漫画も一風変わっていて、推理もののギャグ漫画です。それだけだったら少年漫画でたまに見かける設定ですが、そこに格闘漫画の設定がふんだんに使われていたり、現代性を如実に反映させた場面が出てきたり、発売された単行本の巻末QRコードを読み込むとオマケの小説が読めたり。かといってごちゃ混ぜの混沌とした漫画という訳ではなく、そうした要素が有機的に絡み合って違和感なく読める作品に仕上がっています。

ギャグ漫画という括りでは語り尽くせないのがおぎぬまXさんの漫画の特徴と言えます。

おぎぬまXは小説家なのか?

おぎぬまXさんは初の単行本である「謎尾解美の爆裂推理!!」が刊行されるより先に、「地下芸人」という小説を出版しています。

小説の方が先に出版されているので、人によっては小説からおぎぬまXさんを知ったという方もいるかもしれません。

この小説も漫画家が描いた小説と侮ってはならず、売れないお笑い芸人が、どうしてお笑い芸人を目指したのか、その根本に問いかけていくことで本当に叶えたかった事は何か気づいていく様は、全ての人の夢や職業との向き合い方に通じる本質的な命題であると感じました。

テレビに出るお笑い芸人やアイドル、アナウンサーに憧れてとか、多くの人が憧れから職業を目指すところがありますが、「自分は本当は何をしている時が一番楽しいのか」「どんな時の自分が一番好きか」「誰といる時の自分が好きか」そうした問いかけから本当の道に辿り着けるのかなと深く考えさせられる小説でした。

ギャグ漫画家の描いた小説という先入観からは大きくかけ離れた小説になっております。特に若い人は、今後生きていく上で大切にすべきことは何かを気付かされる作品になっていると思います。

おぎぬまXは芸人なのか?

おぎぬまXさんは元お笑い芸人です。前述の「地下芸人」もその時の経験があったからこそ書けた小説であると言えます。

元お笑い芸人だからか、普通の漫画家と違い本人の露出も多いです。Twitter等のSNSでもじゃんじゃん顔出していますし、YouTubeチャンネルも持っていて、そこで自身のお笑い4コマ漫画を紹介しています。

漫画家としてある程度の知名度が手に入ったら、4コマ漫画ネタを駆使したピン芸人にもなれるんじゃないかと思ってしまいます。

もっとも本人はお笑い芸人になった動機も芸人として有名になったのちに漫画家の道も拓けるのではと考えていたそうで、上記とは逆の発想ではありますが。

でも、結果として漫画家で成功しましたが、この成功によって芸人としての道が拓けたような気がしてなりません。

おぎぬまXはYouTuberなのか?

おぎぬまXさんはYouTubeチャンネルを持っています。チャンネル登録者も再生回数も少なく、ここ数ヶ月は漫画執筆で忙しいのか更新が止まっていますが、中身はかなり面白いです。

主に自身が描いた4コマ漫画ネタを紹介しているチャンネルなのですが、この自分で描いた4コマの解説がなかなか面白いです。

個人的にめちゃくちゃ笑ったのは「【十八番4コマ】カンチョー」です。この動画は面白かったです。現時点で視聴回数500回とかですが、100万回以上再生されている動画よりこっちの方が断然面白いです。自身の傑作カンチョー4コマベスト5を紹介、という内容でとにかく馬鹿馬鹿しいのですが、「カンチョーをここまで掘り下げるの??」「こんなカンチョーの世界があったのか!?」と視聴後の掘られちゃった感が半端なかったです。ちなみに私は第3位のカンチョーネタが好きです。

「だるまさんがころんだ時空伝」の原点はこのカンチョー4コマだったんじゃないか、そう感じずにはいられませんでした。

残念ながらYouTubeチャンネルは登録者も全然おらず、視聴回数も数百程度なので、YouTuberとして成功しているとは言えませんが、有名になった後でこのチャンネルもブレイクしてくれないかなぁと期待しています。

「激レアさんを連れてきた。」でも是非このチャンネル、特にカンチョーの動画を紹介してもらいたいです。

結局おぎぬまXとは何者なのか?

これまで紹介した通り、おぎぬまXさんは多方面で活躍しており、一つのカテゴリーで表現するのが難しい存在です。マルチに活躍していますが、かと言ってその作品、表現の一つ一つはバラバラではなく、全ての活動に共通する一つのコアがあり、そのコアを表現するツールを変えているだけのように感じます。

赤塚賞を受賞した「だるまさんがころんだ時空伝」は漫画ですが、小説として読ませる事も、短編映画として観せる事も出来るような作品でした。最近刊行された「謎尾解美の爆裂推理!!」も、オマケで小説編が入っていましたし、そう遠くないうちにドラマ化もされるだろうと思います。

おぎぬまXさんには自分が表現したい確固としたものがあり、それらを既存の枠に囚われず、最適なツールを選択して表現する、現代が産んだ変態的な天才であり、天才的な変態であると私は結論づけました。

既に十分成功していますが、この才能がもっともっと日の目を見る時が来ることを願っています。

-おぎぬまX