こんにちはtorajiroです。
2022年4月26日のPRIZE RING Professional BOXINGの観戦記です。
1戦目から白熱した試合が繰り広げられ、会場は大拍手の神興行となりました。
特に第5試合目の女子アトム級の1戦は多くの観客に衝撃を与えたことでしょう。
それでは1試合目から記していきたいと思います。
バンタム級4回戦 河村慎司(FLARE山上)VS柳原祐弥(横浜光)
興行一発目。
会場を温める素晴らしい役目を果たしたサウスポー同士のこの1戦。
両者は4回戦ながらSNSでファンも多く、試合前からよく盛り上がっていました。
時代の変化を感じますね。
こうして積極的に発信する4回戦ボクサー。頼もしいです。
試合は1ラウンド目から河村選手が積極的に前に出てそれを柳原選手が迎え撃つ展開。
積極性は河村選手ですが、パンチはやや上ずっており、柳原選手の綺麗な右が当たっていたので1ラウンド目は柳原選手につけました。
ただ、ペースとしては河村選手で、2ラウンド目からは差が開いてきそうな展開でした。
2ラウンド目に入ると河村選手が更に攻勢を強め、柳原選手は防戦一方に。
ストップも時間の問題かと思われたラウンド終盤に柳原選手がダウン。そのままテンカウントが数え上げられました。
河村選手は前戦に引き続きノンストップの手数が魅力的でした。加えて強弱や上下の打ち分けも出来るようになり成長を感じました。
柳原選手は右フックは良かったですが相変わらず線の細さが気になりました。
バンタム級4回戦 水島楓翔(ワタナベ)VS鳥井士恩(角海老宝石)
2試合目も開始早々から激しい打ち合いに。
1ラウンド目は鳥井選手が両手をダランと下げたところからのワンツーで先制し、両者激しい撃ち合いの中でも鳥井選手の力強いボディが光りました。
ただ、水島選手はガードが良く、相手の打ち終わりに右を合わせる技術も高く、後半になればなるほど水島選手有利になりそうな展開。
1ラウンド目は鳥井選手のラウンドと見ました。
2ラウンド目も両者激しい打ち合いながら後半になるにつれて水島選手のクリーンヒットが目立ち始めます。
序盤は鳥井選手、後半は水島選手でしたが見栄えの良さで水島選手のラウンド。
3ラウンド目序盤は鳥井選手が良いパンチをヒットさせるが後半失速。明らかに疲れた様子で水島選手に攻勢を許します。水島選手のラウンド。
4ラウンド目も疲れの見える鳥井選手に対しまだまだ元気な様子の水島選手。
判定は2対0で水島選手の勝利。
新人王の決勝でもおかしくないレベルの高い試合。水島選手は普段の練習量もきっと凄いのでしょうね。
ラウンド終了の度に会場から大きな拍手が起きていたのも納得の好勝負でした。
フェザー級4回戦 宮本しょうぐん(セレス)VS井上泰輔(RK蒲田)
1ラウンド目に先制攻撃を仕掛けたのはデビュー戦の井上選手。
スタートダッシュは良かったですが徐々に遠い間合いからの宮本選手のパンチが当たるようになり、終盤にワンツーをヒット。宮本選手のラウンド。
2、3ラウンドも宮本選手が遠い間合いからフック気味のパンチを当てていてポイントを奪取。
4ラウンド目は両者かなり疲れていましたが、井上選手が意地を見せ、宮本選手はやや弱気に。
判定は2対0で宮本選手の勝利。
僕の採点は39対37で宮本選手でした。
宮本選手は左足が内側を向いていて腰が引けたフック気味のパンチになっており、そこは改善が必要と感じました。
井上選手は体は強そうですが接近戦でもっとボディが打てると良さが出ると思います(デビュー戦ってボディ打てないんですよね)。次戦は試合にも慣れてもっと良さが出てくるでしょう。
フェザー級4回戦 橋場大樹(宮田)VS阿部樹(シュウ)
1ラウンド目は橋場選手がサウスポー独特のやりづらいボクシングを展開。
やりづらそうな選手だなぁと思って見ていましたが、終盤になると阿部選手の右も当たり始めます。
ラウンドとしては橋場選手かな。
2ラウンド目に入ると長身の阿部選手は右ストレートから入ってやりづらいサウスポーを攻略にかかります。
サウスポーからしたら前の手の探り合いで有利に立ちたいところ、長身の阿部選手が右ストレートから入ってくるので橋場選手はペースを崩し始めます。
3ラウンド目も阿部選手の右は良く当たりました。橋場選手は距離で避けるタイプでガードが低く、打ち終わりを狙われました。一方の阿部選手はガードが良いので大崩れせず。
4ラウンド目は橋場選手も盛り返しましたが、個人的には阿部選手にポイントをつけました。
判定はドロー。優勢点を橋場選手が取って新人王の次戦に進みました。
僕の判定は39対37で阿部選手でした。
やりづらそうなサウスポーを攻略した点を高く評価しすぎてしまったかな。。
優勢点は阿部選手で良かったように見えました。
アトム級4回戦 鵜川菜央(FLARE山上)VS中野真由美(中野サイトウ)
女子のデビュー戦同士の1戦。
鵜川選手は入場時から姿勢が良く、強い選手のオーラを感じました。
1ラウンド目が始まると、中野選手が積極的に前に出て仕掛けますが、鵜川選手は冷静にジャブで迎え撃ち自分の距離をキープ。
2ラウンド目に入ると鵜川選手はモーションのないジャブで距離をキープしつつ、中野選手が強引に入ってきたところにバックステップからの右を好打。
3ラウンド目も積極的に前に出る中野選手を鵜川選手が綺麗なボクシングで迎え打つ展開。
鵜川選手のまるでワタナベジムの三代選手のようなボクシングに鳥肌が立ちました。
ただ、中野選手もボディ打ちが上手く、とてもデビュー戦のボクサーには見えませんでした。
4ラウンド目になると鵜川選手はやや弱気な表情に。
最終ラウンドは気持ちで中野選手がもぎ取ったかな。
判定は2対0で鵜川選手の勝利でしたが、ジャッジ1者はフルマークで鵜川選手にポイントを付けていました。
僕の採点は39対37で鵜川選手。
1ラウンド目は鵜川選手もやや固かったので、このラウンドを中野選手に付けていればドローもあり得たし、最終ラウンドも鵜川選手の方が有効打では勝っていたのでフルマークもあり得た試合でした。
この試合に会場はこの日1番の大拍手。
僕は女子ボクサーのあまりのレベルの高さに鳥肌立ちまくりでした。
失礼ながら一昔前の女子の試合は頭から入ってどつき合いなイメージでしたが価値観変わりました。
敗れた中野選手もバランス良くてスピードもあって回転力もあって良い選手でした。
これでもっとパワフルになったら花形冴美選手みたいなボクサーになりそうだと思って見ていました。
Sウェルター級4回戦 竹内秀吾(八王子中屋)VS吉岡光輝(DANGAN越谷)
この試合もデビュー戦同士でしたがお互いパワフルでレベルの高い試合でした。
実力は互角ながら竹内選手の左ガードが脇が開いていてやや気になりました。
被せる右が当たりそうだなと思った矢先、吉岡選手の右フックがヒット。
2ラウンド目に入っても吉岡選手の右フックが良く当たりダウンを先取。
3ラウンド目は竹内選手が反撃を見せるも吉岡選手のフックも当たる。
4ラウンド目も竹内選手が積極的に攻め、吉岡選手は3ラウンドの終盤辺りから疲れが見えて失速も、最後は吉岡選手の力の抜けた右が綺麗にヒットし竹内選手が再びダウンし試合終了。
竹内選手は左ガードさえ改善すればもっともっと良くなると思います。
吉岡選手は身体能力が高いですね。もしかしてボクシング経験はまだかなり浅いのではないでしょうか。
62.4kg契約4回戦 木内凌祐(セレス)VS鈴木龍(元気)
この試合は1〜4ラウンド全て鈴木選手の積極的な手数が上回った試合でした。
木内選手は足でも怪我しているのかな?と思うくらいに前のめりで体を預ける場面が多く、手数も出ませんでした。
鈴木選手が元気良すぎた面もありますが、木内選手は体を預けたボクシングではなく、ジャブやワンツーといった中間距離の戦いも出来たら良いのかなと思いました。
判定はフルマークで鈴木選手。
僕の判定もフルマークで鈴木選手でした。
Sウェルター級6回戦 永田勝大(新日本木村)VS横田知之(中野サイトウ)
1〜3ラウンド目までは横田選手が中間距離を支配してポイントを奪取。
永田選手は中間距離で右フックを狙うが全て横田選手がブロック。
終盤になるにつれて接近戦の時間が増えてきて永田選手の良さも出てきましたが、横田選手も下から上と打ち返し反撃。
それでもラスト5、6ラウンドは永田選手が頑張ってポイントを取りにいった印象。
判定は3対0で横田選手の勝利。1者はフルマークでした。
僕の採点は最後の2ラウンドは永田選手につけて58対56で横田選手の勝利。
永田選手は大振りのフックだけでなく真っ直ぐのストレートも打てばいいのにと思いました。
60kg契約8回戦 一道宏(T&T)VS荒谷龍人(KG大和)
ハードパンチャーの一道選手とリーチがあって荒々しいボクシングをする荒谷選手の一戦。
荒谷選手が勝つには遠い距離でリーチを活かした試合をするしかないと思ってましたが、始まってみたら荒谷選手がいきなりの先制攻撃でダウンをゲット。
一道選手は先制攻撃に戸惑った印象でしたが、ラウンド後半には立て直して優勢に試合を運び始めていました。
2ラウンド目に入っても荒谷選手は積極的に攻めますが、いつものガードの低いボクシングのため一道選手の有効打でグラついてしまいます。
最後はニュートラルコーナー付近でワンツーの直後に一道選手に右を合わされノックアウト。
顎にもらったのかなと思いましたが、ゆっくりとした倒れ方で右足が痙攣していたので左のテンプルにもらったのかもしれません。
ダメージが心配になる倒れ方でした。
フェザー級6回戦 渡邉海(ライオンズ)VS石田凌太(角海老宝石)
自信満々で華のあるボクサー渡邉選手に対し、飄々とした石田選手が不気味で何かやってくれそうな予感がしていましたが、試合は電光石火の33秒で渡邉選手のTKO勝利。
結果だけ見れば渡邉選手の秒殺でしたが石田選手もそんなにダメージはなさそうでしたし、あのまま続いていたらどうなっていたか、続きが見たかったなぁという残念な気持ちになりました。
1度グラつき、立て直そうとしてる最中に再度良いパンチを貰い連打をまとめられてしまったのでストップは仕方なかったと思います。
試合時間は短かったですが石田選手は全身バネがあってパンチがありそうでした。
宮田ジム時代は荒削りなまま長所を徹底的に伸ばしてきたでしょうが、伸ばしてきた長所に角海老で石原トレーナーの元、技術を磨き上げれば良い選手になると思います。
ポテンシャルだけなら渡邉選手より石田選手の方が楽しみな存在です。
逆に渡邉選手は突き抜けたものがないのでここから伸び悩むかもしれませんが、まだ19歳と若いので良い意味で予想を裏切って欲しいです。
興行全体の振り返り
全体的に白熱した試合が多く、会場は盛り上がりましたが判定決着が多くセミまでの時間は大分押しました。
そこからセミとメインがあっという間に終わって帳尻合った感じでしたがとても良い興行でした。
タイトルマッチも上位ランカーもいない試合でこれだけ盛り上がるのは稀なのではないでしょうか。
渡邉海選手がチケットをめちゃくちゃ売るとは聞きますが、メインの前に帰った観客もかなりいて、4回戦に出場した選手達もかなりの枚数チケットを売ったのだろうと思います。
SNSを使ってファンを増やしてチケットを売れるボクサーが増えたのは良い事ですね。
昔は日本チャンピオンでも試合前に地元に帰ってチケット売り歩いたりしていましたので、時代は変わったなぁと感じました。