雑記

ルカ・ドンチッチの緩急と脱力〜スピードは遅いけど止められないわけを調べてみた〜

こんにちはTorajiroです。

東京オリンピック盛り上がってますね。賛否ありつつ、厳しい環境の中で選手は素晴らしいパフォーマンスを見せてくれています。

バスケットボール男子日本代表は3戦3敗という結果に終わってしまいましたが、世界ランク2位のスペイン、4位のアルゼンチン、16位のスロベニアが相手ではしゃあないところです。

特に16位のスロベニア。世界ランキング上はスペインやアルゼンチンより下ですが、NBAの若手スーパースター、ルカ・ドンチッチが大暴れ。なんとアルゼンチン戦では一人で48得点も決めました。

このドンチッチ選手ですが、技術的には確かに素晴らしいですが、「なんかスピード遅くない?身長も普通だし、これなら止められないのかな?」と思った方も多いのではないでしょうか。

今回はスピード的にはむしろ遅いくらいのルカ・ドンチッチ選手がなぜこれほどまでの活躍を見せるのか、アメリカでどのように分析されているのかを調べてみました。

ルカ・ドンチッチ選手の来歴

初めにルカ・ドンチッチ選手がどれほど凄い選手なのか見ていきましょう。

  • 生年月日:1999年2月28日生まれの22歳
  • 身長、体重:201cm、104kg
  • ポジション:ポイントガード
  • 所属:ダラス・マーベリック(2018〜)
  • NBAでの受賞歴:新人王、2年連続オールスター選出、史上4番目の若さでの5,000得点到達

体格的にはポイントガードにしてはやや大きめ、若くしてNBAで圧倒的な実績誇っていることが分かるかと思います。NBAでの3年で、平均得点25.7は驚異的な数字です。ポジションも違うので一概に比較は出来ませんが、日本代表の八村塁選手のNBA2年間での平均得点が13.7ですので、この数字がいかに凄いものかお分かりいただけるかと思います。

自他共に認めるスピードの遅さ

ルカ・ドンチッチ選手を語る時に外せないのが、彼のスピードの遅さです。アメリカのあらゆるメディアで彼のスピードの遅さは注目されています。大体どの記事を見ても、ドンチッチ選手の特徴の一つとして、スピードの遅さが挙げられています。

ドンチッチ選手自身も、インタビューの際に、「もし自分が速く動ければそうしたいが、自分は遅いので〜」とコメントしています。

実際彼がNBAで活躍している事を知らずにプレーしている映像を見たら、多くの人が「確かにうまいけど、あのスピードじゃあ通用しないんじゃないか」と分析するでしょう。それくらいドンチッチ選手の「見た目上の」スピードは遅く感じます。

なぜ動きの遅いドンチッチ選手を止められないのか

ではなぜ、スピードの遅さは自他共に認めるところであるドンチッチ選手を止めることが出来ないのでしょうか。大前提として、ボールキープ力等、技術的なレベルが圧倒的に高いという事はありますが、身体的な側面で見ると2つの特徴が挙げられます。

ペースを変える能力が優れている

所謂緩急ですが、ドンチッチ選手はこの使い方が特に優れています。バスケ、サッカー、ラグビー等のスポーツであれば、一瞬ペースを落とし、相手を油断させたところで一気にペースアップして抜き去るという技は良く使われる方法です。格闘技でも、一瞬息をフッと吐いて力を抜くと、相手もそれにつられるので、その隙にパンチを当てたりタックルに持っていったりします。

緩急はあらゆるスポーツで使われるフェイントの一つですが、ドンチッチ選手の場合はトップスピードからゼロの状態まで、自由自在にスピードを変えることが出来ます。

状況に応じて、50%、60%、70%と、通常であれば一瞬遅くして相手をリラックスさせてから一気にトップギアの2パターンのところ、その中間のスピードも敵、味方の動きに合わせて自在にコントロールしています。

野球であれば、最速は140キロ台でも、様々な変化球を駆使した緩急を使ったピッチングで相手を翻弄するようなイメージでしょうか。

全身の脱力状態が生む予備動作のない動き

上述の緩急、ペースを自在に変えることを可能にしている秘訣はドンチッチ選手の脱力状態を保った体の使い方にあります。

ドンチッチ選手はどの場面においても常にリラックスしている様に見え、無駄な力が入っていません。それ故に、実際のスピード以上に動きが遅く見えているところはあると思います。人間は相手のペースに合わせて動いてしまうものなので、あの緩んだ状態は相手にとっては嫌でしょうね。

全身の筋肉が緩んでいると、体が連動し、予備動作なくフワッと流れる様に次のアクションに移れるので、相手はその切り返しについていくことが出来ません。

サッカーで言うと全盛期のジダン選手の様なイメージですかね。柔らかなボールタッチを生み出している秘訣は、ボールの勢いを殺すことが出来ているからなのですが、それを可能にしているのが、全身の脱力状態です。加えて、脱力した状態から、状況に応じた最適な力を出力しているので、フワッとしたパスが出せているのです。

以下はドンチッチ選手が飛んできたボールを足でキャッチする映像ですが、完全にボールの勢いを殺していて、体の使い方のうまさに驚かされます。

まとめ

ルカ・ドンチッチ選手の体の使い方は、フィジカル面での差がまだまだある日本人プレーヤーにとっても参考になるものではないでしょうか。

アメリカを代表する大柄な選手に対し、最大出力で対抗しても勝ち目はありません。勿論最大出力の強化も大事ですが、加えて脱力した状態からの予備動作のない動きや、中間の速度を上手く使うといった、中間の幅を活用する取り組みは、あらゆるスポーツにおいてもっと取り入れても良いトレーニングなのかなとドンチッチ選手のプレーを見て感じました。

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