ボクシングデータ ボクシングニュース

データで見る井上尚弥が挑む世界Sバンタム級の厚い壁

こんにちはtorajiroです。

井上尚弥選手が遂に前人未到のボクシング世界4団体統一王者となりました。

井上尚弥選手が次に挑むのはSバンタム級。

バンタム級とSバンタム級の体重差は1.8kgで、井上選手ならSバンタム級でも問題なくチャンピオンになるだろうというのが大方の見方。

torajiroも同様の見方ではありますが、わずか1.8kgの差ながらSバンタム級では多くの日本人ボクサーがその高い壁にぶつかり、この階級での活躍を阻まれてきました。

そこで今回はバンタム級と比較しつつ、Sバンタム級がいかに日本人ボクサーにとってハードルの高い階級であるかを紹介していきたいと思います。

バンタム級と比べ世界挑戦が難しいSバンタム級

以前torajiroブログで各階級の平均防衛回数、チャンピオンが王座を返上した数、王座の平均在位期間を算出して順位付けしたことがありました。

>>ボクシング日本王座階級別の平均防衛回数と王座返上数、平均在位期間との相関関係

その時に最も驚いたのがバンタムとSバンタムで1階級しか変わらないのに順位が全く異なった点でした。

ボクシング日本王座階級別の平均防衛回数と王座返上数、平均在位期間との相関関係

この表の通り、バンタム級はチャンピオンが防衛する回数が少なく、王座を返上する数が多く、王座の在位期間も短かったです。

王座を返上するという事は次のステップがあるという事、つまりバンタム級は世界を目指すチャンスが比較的多い階級とも考えられます。

一方のSバンタム級は王座を返上せず防衛を続けるチャンピオンが多い傾向にありました。

バンタム級とは異なり、防衛を重ねながらチャンスを待つケースが多いという事は、それだけSバンタム級は世界ランクを上げてチャンスを掴む事が難しい階級と考えられます。

バンタム級とSバンタム級の歴代日本人世界王者数比較

続いてバンタム級とSバンタム級とで、歴代の日本人世界王者の数を比較してみました。

暫定王者は除いて正規王者の数だけで比較してみると、意外な事にバンタム級もSバンタム級もどちらも歴代の王者の数は10名でした。

ここだけみると一見差はないようにも見えますね。

バンタム級とSバンタム級の歴代日本人世界王者防衛回数比較

では更に掘り下げて歴代日本人世界王者の防衛回数を比較してみると、以下の結果となりました。

バンタム級Sバンタム級
ファイティング原田(4)
新垣諭(1)
六車卓也(0)
辰吉丈一郎(2)
薬師寺保栄(4)
長谷川穂積(10)
亀田興毅(8)
山中慎介(12)
亀田和毅(3)
井上尚弥(6)
ロイヤル小林(0)
畑中清詞(0)
佐藤修(0)
西岡利晃(7)
李冽理(0)
下田昭文(0)
長谷川穂積(0)
小國以載(0)
久保隼(0)
岩佐亮佑(1)
暫定王者は除き、複数回チャンピオンになった選手は一番防衛回数が多かった時でカウント

この通り防衛回数で比較すると、

  • バンタム級は計50回の防衛
  • Sバンタム級は計8回の防衛

という圧倒的な差がつきました。

バンタム級では長谷川穂積選手、亀田興毅選手、山中慎介選手、井上尚弥選手ら長期政権で防衛を続けた選手が複数いる一方、Sバンタム級で防衛に成功した西岡利晃選手と岩佐亮佑選手のわずか2名。

更に複数回防衛を重ねた選手は西岡利晃選手のみという結果になりました。

わずか1.8kgの体重差ながら、バンタム級とSバンタム級とではこれほどまでに大きな差があります。

井上尚弥選手ならやってくれるとは思いますが、歴代の日本人世界Sバンタム級の選手達は初防衛の大きな壁に阻まれ続けてきました。

世界ランカーは誰と戦っても強敵なSバンタム級。

おそらく井上選手は階級を上げたら即世界戦になると思われますが、Sバンタム級でベルトを獲ってから防衛を重ねる事はこの通りとても難しい階級と言えます。

チャンピオンやランカーの顔ぶれもSバンタム級になると米国やメキシコ、旧ソ連圏等のボクシング大国の選手が増えてくる印象が強いです。

まとめ

今回の記事のまとめです。

井上尚弥選手がこれから挑戦するSバンタム級は、1階級の違いとは言え、日本人ボクサーがチャンスを掴むのが難しい階級で、チャンスを手にし、世界を獲ったとしても初防衛に失敗するケースが大半という厳しい階級です。

この階級で井上選手がこれまでのような圧倒的なパフォーマンスを見せたとしたらそれはめちゃくちゃ凄いことだと今回のデータを見て感じ取っていただけたら嬉しいです。

バンタム級の4団体統一戦はdTVで配信され、色々と物議を醸す結果を招いてしまいました(dTVだけが原因ではない要素も多々ありつつ)。

>>dTVは解約必至!?井上尚弥4団体統一戦配信で見えたAmazonとの差

ただ、人は失敗から学ぶもの。

仮に次の井上尚弥選手の試合もまたdTVで配信となった場合はきっと前回の反省点を改善してくるでしょう。最悪無料に切り替えれば落ちる心配はないという事も証明しましたので、配信媒体が再びdTVとなった場合には、torajiroも一時中断中のdTVに再び加入したいと思います。

  • この記事を書いた人

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。ボクシングニュース、3150FIGHTネタ、各種ボクシングデータ、新人王トーナメント、選手紹介等のボクシングブログを書いています。

-ボクシングデータ, ボクシングニュース