こんにちはtorajiroです。
2023年4月23日(水)に開催されたボクシング興行「フェニックスバトル99」はKO連続、メインも絶対王者が敗れるという大アップセットで稀に見る神興行となりました。
この神興行が生まれたのは偶然だったのか必然だったのか!?
今回僕は会場で観戦していましたが、会場は早い段階から熱気に包まれており、何かが起きそうな期待感が醸成されていました。
神興行が生まれるには偶発的な要素も必要ではありますが、神興行が生まれる要因がこの興行には複数存在しました。
今回は会場観戦で感じた神興行を生み出した要因を考察します。
開始から観客の入りが良かった
フェニックスバトル99は17:45開始で2試合目からタイトルマッチという超ハイピッチなスケジュールになっていました。
開始時間が早いと仕事帰りの人が間に合わなくないかい??
という懸念もありましたが、早い段階から客の入りはとても良かったです。
前座の1試合目から客の入りが良い中で期待の新人北野武郎選手が高いセンスを感じさせるボクシングを披露して会場を盛り上げました。
>>東日本新人王ミニマム級はアマエリート・サラブレッド・叩き上げの争い
北野武郎選手のお父さんは僕がボクシングファンになりたての頃に活躍していた双子ボクサー北野良さん。
この北野良さんがセコンドに付いており、ボクシングファンとしては懐かしさも込み上げてくるオープニングファイトでした。
対戦相手の澤田翔瑠選手の根性も見ていて気持ちが良かった。
この選手もこの先絶対に強くなると思います。
2試合目でタイトルマッチ!ハイテンポで観戦疲れ無し
通常の興行ではタイトルマッチにたどり着くまでの時間が長い。
1試合目から観戦しているとタイトルマッチが始まる頃には観戦疲れでテンションが下がっている、、
なんて事も。
お客さんも最初から観ていたら疲れるのでタイトルマッチを照準に遅れてバラバラと会場に集まってきます。
- 遅い時間に開催されるメインが照準になる
- 客入りが遅くなり
- メインに向けての会場の盛り上がりもイマイチに
18:00から観戦初めてメインが21:00過ぎ開始とかだと疲れちゃいますよね。
メインのタイトルマッチが始まる頃には腰も痛いしお腹も空いて、頭がぼーっとしてきちゃって、、
しかし「フェニックスバトル99」は2試合目から日本ミニマム級王座決定戦!!
全く疲れていないテンションマックスの状態でいきなりタイトルマッチが楽しめました。
試合内容も1Rラスト1分くらいの早い段階からテンポが上がり、ライオンズジムの高田勇仁選手がスピード感溢れるボクシングでカウンターを合わせていく。
対する三迫ジムの長谷部守里選手も表情変えず淡々と自分から前に出てコンビネーションを振っていき、後半の追い上げに期待を感じさせるボクシング。
5R終了後の途中採点を聞いてポイントで負けている事が分かった長谷部選手が攻めに出た6R目。
際どいタイミングの相打ちの中、高田選手が左フックをヒットさせてコーナーで一気にまとめてTKO。
判定決着の多いミニマム級ですが、しっかり仕留めた事で会場はヒートアップ!!
ライオンズジム創設38年目で初めてのチャンピオン誕生に会場は沸きました。
"ライオンの遺伝子"高田勇仁選手は世界行くでしょう。
重岡兄弟に噛み付くか!?
今後も要チェックの選手です。
3試合目のウェルター級王座決定戦も早期決着!!
高田選手のTKO勝利で盛り上がる会場。
ここでさっきまでのミニマム級からウェルター級のタイトルマッチへ。
観戦する側にとってもこの階級差が良いスパイスになりました。
1試合目、2試合目とスピードで魅せていた展開から迫力で魅せる形に。
そしてこの試合が3度目の手合わせとなるワタナベジムの重田裕紀選手と横浜光ジムの坂井祥紀選手。
両者はお互い手を知り尽くした相手故に様子見に時間をかけず1R目から動きの多い展開に。
両者が初めて対戦した2020年8月と比べると重田選手は無駄な動きが少なくしっかりと腰を落とし、成長の跡を感じました。
試合はまず重田選手が多彩な左でペースを掌握。
しかしラウンド終盤に坂井選手の体を左に傾けてから放つノーモーションの右が当たり、完全にペースを渡さず。
この右は初めて対戦した時から重田選手に有効だった坂井選手の攻めパターン。
2R目に坂井選手は再びこの右で重田選手を後退させ、そこから一気に畳みかけてTKO。
坂井選手の青コーナーサイドは大盛り上がり。
メキシコからの逆輸入ボクサー坂井祥紀選手が3度目の挑戦で念願のベルトダッシュに成功。
坂井選手と言えばネットフリックスの「格闘技の世界」というドキュメンタリーでメキシコのロマンサジムが紹介されていた時にチラッと映っていたのをよく覚えています。
ネットフリックス加入されている方は是非ご視聴ください!!
青コーナーが盛り上がる中で炎村のワンパンチ
僕はこの興行を青コーナーサイドで観戦していたのですが、坂井選手のTKOで盛り上がっている中、まだ選手も退場していない状態で煽りVが開始。
切り替え早く会場の熱を冷まさなかったのは今回とても良かったと思います。
そして簡潔な煽りVの後に両選手が入場。
KOでの早期決着の場合、次の試合に移るまでの間が長くなる事も多いですが、今回は次戦に移るテンポが非常に早かった。
試合は角海老宝石ジムの青木クリスチャーノ選手が素早い上下の打ち分けで三迫ジムの藤田炎村選手にガードを固めさせ、単発の藤田選手の強打は空を切る立ち上がり。
そして2R目も青木選手が藤田選手にダメージを与えてロープに詰めてパンチをまとめる。
が、青木選手優勢かと思ったところで藤田選手が下がりながらスイッチし、いつの間にかサウスポースタイルになったところから青木選手を右フックのカウンター一発で沈めてしまいました。
>>サラリーマンボクサー情報まとめ。正社員でも仕事と両立でプロボクサーになれる!
これにはサラリーマンボクサー藤田選手の応援団(リクルートの方々?)も思わず席を立ちあがって大盛り上がり。
普段淡々と自分を抑制しながら働くサラリーマンのおっちゃん達(自分もです)がこんな風に感情を爆発させて弾けるなんて最高じゃないですか。
こうして青コーナー側のボルテージは更に上がって行きました。
あまりのハイペースに休みたくなったところで米倉会長の10カウント
メインイベントの前に、先日ご逝去された米倉会長に10カウントを贈る儀式がありました。
試合展開が長引いていたらこの間に帰宅する人も多かったでしょうが、多くの観客が会場に残っていました。
プロレスのように団体のファンというよりは個人のファンが多いボクシングにおいては、目当ての選手の試合を見終えた応援団が帰っていく事が一般的です。
後の予定も色々あるでしょうし若干帰る人はいましたが、複数のタイトルマッチが行われる興行で最終試合にこれだけ観客が残っているのも珍しい。
米倉会長の魂がこの神興行を生み出したのかもしれません。
メインには仲里VSラリオスから20年というサブストーリーが
メインとなった日本ライト級タイトルマッチはワタナベジムの絶対王者、無敗の宇津木秀選手に2世ボクサー、ボクシングクラブオキナワの仲里周磨選手が挑戦。
2戦連続で衝撃的なKOが続いている青コーナーサイドは仲里選手もまた何か起こしてくれるのではという空気が醸成されていました。
- チャンピオン優位ではあるが、宇津木選手も決して打たれ強くはない。
- 仲里選手は強打を持っておりアマチュアからのキャリアもある。
- 更にはお父さんの仲里繁会長が20年前に世界タイトルマッチでラリオスの顎を叩き割ったのは同じ4月26日。
- 沖縄で最後にチャンピオンになったのも仲里繁会長。
- ここで仲里選手が勝利したら大きな話題になる!!
そんな期待感も相まってか、仲里選手行けるんじゃないの?という空気が漂う。
そして始まった試合で1R目に仲里選手が宇津木選手の腰を落とす!!
宇津木選手も徐々に立て直していくが仲里選手のタイミングは合っている。
そして迎えた3R目に仲里選手の接近戦での右カウンターで宇津木選手がダウン。
この一発で10カウント以内に宇津木選手が立ち上がれず新チャンピオン誕生。
藤田選手が勝った時も凄かったけれど、これまた青コーナーサイドは凄い盛り上がりでした。
あの盛り上がりは動画に残しておきたかったですが、録画は禁止なのでそこは我慢。
神興行を生み出した要因まとめ
以上が神興行を生み出した「フェニックスバトル99」の流れでした。
神興行誕生に繋がったと考えられる要因をまとめます。
- 開始から客入りが良かった
- 客入りが良い中での好試合に会場内に熱狂が生まれる
- 試合と試合の間も短く、すぐ次の試合に移って行ったので熱狂が冷めぬまま
- 試合のテンポが早かったので途中で帰るお客さんが少なかった
- 青コーナーサイドからKO連発で異様な熱が
- 仲里VSラリオスから20年というサブストーリー
最後の仲里選手のKOは実力、相性に加え、会場の雰囲気も味方して生まれた王座戴冠劇だと感じました。
会場の空気が冷めていたり、赤コーナーサイドと青コーナーサイドのそれまでの盛り上がりが逆だったりした場合、仲里選手は3Rの出血でペースを宇津木選手に持って行かれていた可能性もありました。
会場のボルテージも味方した本当に紙一重の一戦でした。
どうすれば再び神興行を生み出せるか!?
果たしてこうした神興行を再び作り上げるにはどうしたら良いでしょうか?
マッチメイクと運次第!?
なのかもしれませんが、構造部分でそれをアシストする事は出来ると思います。
個人的には神興行を生み出すアシスト要因として以下の点に注目しました。
- 客入りの早さ
- 階級差を付けた試合順
- 試合のテンポ
- メインまでにお客さんが疲れない工夫
数年前から音楽も「サビまで待てない倍速消費!!ヒット曲はサビを早くに持ってくる。」といった工夫が講じられています。
あらゆるジャンルで時短がキーになってきています。
ボクシング興行も18:00から始まってメインが21:00ではなく、もっと早くにクライマックスを持ってきてはどうだろうか。
観客が飽きないように階級差の変化を加えながら観戦疲れが出てくる前にメインを持ってくる。
メインの試合が19:30〜20:00開始であれば試合後に集まった仲間と飲みに行くこともできます。
メイン目当ての人達はそのまま飲みに流れていき、引き続き観戦したい人達はメイン終了後の座席を自由席にして前の方の席で観戦!!
試合が終わった後で応援団で飲みに行ければそれが良い思い出となってまた次の観戦にも繋がると思います。
ついでに進撃のボクヲタのお店レポートのような元ボクサーが商うお店を紹介したサイトへのQRコードなんかをパンフレットに載せておきたいですね。
理想のマッチメイクや試合順を考えてみるのも面白そう。
今度はファン目線での理想の興行を考えてみようかと思います。