こんにちはtorajiroです。
先日、所属するプロボクサーの多いジムを調べてランキング化した記事を作成しました(→記事はこちら)。
調べている過程で各ジムの選手情報やA〜C級ボクサーの内訳を見ていて、移籍する選手が随分増えていることを改めて実感しました。
2019年10月にボクサーの移籍に移籍金や所属ジムの承諾が廃止され、選手が移籍し易い環境が整備されたことが大きく影響していると考えられますが、移籍の活発化によって移籍してくる選手が多いジムはどこなのかを今回は調べてみました。
移籍金は本当に不要になったのか?
まず大前提として、選手の移籍金は本当に不要になったのでしょうか?
将来有望な選手に対し、先行投資として海外遠征や合宿費をジムが負担していた場合、出て行かれるジムとしては投資したお金も返ってこないし、ジムの評判も落ちるかもしれないし、踏んだり蹴ったりですよね。
新ルールが適用される際もこの点が危惧されておりましたが、実態としてはそうした先行投資でかかった費用に関しては移籍の際に選手が元いたジムに支払っているという話を聞きます。
チャンピオンクラスの選手の移籍になると、多い時は数百万のお金を元いたジムに支払ったという話も聞きましたが、そうしたケースはレアで、大半は費用は発生せず、発生する場合も遠征費等のジムが負担してくれていた分の実費相当額を払っているようです。
金額に関してはどこまでジムが費用を肩代わりしてたかによってケースバイケースという事ですね。
移籍金という名目でジムがお金を徴収する事は出来なくなりましたが、先行投資した分も回収出来なくなっているというわけでもなさそうです。
これがかつての制度だと、移籍するというだけでC級やB級レベルの選手ですら、時には数十万の移籍金を払ってきたという話も聞いていたので、そうした悪習がボクシング界から廃止されたことは喜ばしい事です。
もっとも多くの選手が移籍先として選ぶジムはどこ?
では本題に入りまして、移籍先として選ばれる事がもっとも多いジムをJBCの現在公開されている所属ジム変更情報を集計した結果、一番は角海老宝石ボクシングジムでした。
所属変更情報を集計したところ、2021年11月から2022年4月までの約半年の間で5名もの選手が角海老宝石ボクシングジムに移籍していました。
ボクシングモバイルに掲載されている所属選手でみても、46名中の実に21名もの選手が移籍組であることが分かりました。
昔の角海老ファイターは、アマチュア経験のない相打ち上等の叩き上げボクサーというイメージでしたが、今は移籍してくる選手とアマチュアエリートが中心で、ゼロから角海老でボクシングを始めたましたという選手は少ないようです。
なぜ角海老宝石ボクシングジムが選ばれるのか?
ではなぜこれ程まで多くの選手が角海老を選ぶのでしょうか?
選手層が厚い、トレーナーが充実している、試合数が多い、寮があって仕事も紹介。
どれも正解ですが、加えて重要なのがファイトマネーからマネジメント料の3割が徴収されないという点でしょう。
プロボクサーは一般的に試合報酬の33.3%を超えない範囲の金額をマネジメント料としてジムに徴収されます。
第133条(マネージメント料等)
1 マネージャーは、ボクサーとの契約により、試合報酬の一部をマネージメント料として取得することができる。ただし、マネージャーの取得するマネージメント料は、試合報酬の33.3パーセントを超えてはならない。
JBCルールブック第7章 契約 第2節 マネージメント契約より引用
C級ボクサーでしたらそもそもファイトマネーが少ないので3割徴収されても影響は少ないですが、ランカークラスになってファイトマネーが数十万円とかになると3割徴収は痛いですよね。
仮にファイトマネーが100万円だったら33万円徴収されることになります。痛すぎます。
角海老宝石ボクシングジムは古くからこのマネジメント料が徴収されないジムと言われていたので、移籍が自由になった今、多くのボクサーが角海老宝石ボクシングジムに移籍してくるのは納得です。
叩き上げボクサーが減ってしまった点は昔を懐かしむ身としては寂しい気持ちもありますが、色んなジムを経験した選手達が移籍してきて混ざり合う空間というのも悪くないかも知れません。
ジムを学校に例えると、田舎の学校は排他的だけど、都会の転出入の多い学校は多様性があって転入生にもウエルカムだったりします。
角海老宝石ボクシングジムは移籍が活発なので、新しく入ってくる選手に対してもウエルカムな空気が醸成されていることでしょう。
移籍を検討している選手にとってはベストなジムだと思います。
まとめ
選手の移籍情報もこうして調べてみると中々面白いものですね。
制度が変わった事で業界構造にも変化があり、角海老宝石ボクシングジムは随分と移籍が多い多様なジムとなっていました。
宮田ジムから角海老に移籍する流れが多いのは何でだろう(結構昔から)?とか、角海老に移籍したけどまた他に移籍する選手もいたり、移籍の活発化で選手の流れやジムの変化を追ってみるというのも面白くなってきました。
調べてみて気づきましたが、元々角海老は移籍が活発化する以前から移籍してくる選手が比較的多いジムだったようです。
小國選手も角海老に移籍して世界チャンピオンになりましたし、古くは移籍騒動で苦労された本望選手も角海老でした。
角海老は入ってくる人も多ければ出ていく選手もそこそこいて、来るもの拒まず去るもの追わずの自由な雰囲気なのでしょう。
地方から東京に出てくる選手は、取っ掛かりとしてまずは角海老宝石ボクシングジムを選んでみる事をお勧めします。