2024年10月12日、13日の2日間に過去にちょっとした因縁もある矢吹正道選手と岩田翔吉選手がそれぞれLフライ級の世界王座に挑戦。
この階級で国内トップの実力を持つ両選手ですが、世界再挑戦までの道のりと用意された世界戦の舞台を比較すると、帝拳パワーと言いたくなるような待遇面で大きな差がありました。
この記事では両者の過去のちょっとした因縁を振り返りつつ、世界戦での敗戦から再度の世界挑戦に至るまでの道のりを比較したいと思います。
矢吹から逃げた??矢吹正道のオファーを岩田翔吉が断った??
矢吹正道選手が日本王者だった時代、岩田陣営が矢吹陣営からの対戦オファーを断ったという話が。
矢吹選手がSNSでやや怒りの投稿をして、岩田選手が逃げたという風潮になりました。
この手の話題に関して私torajiroは毎度毎度繰り返し主張しておりますが、
試合を決めるのは選手ではないので岩田選手が逃げたとは一切思っていません。
ただ、帝拳のマッチメイクは慎重路線。
勝てる試合を組んでいき、勝ち癖をつけて満を持して挑戦させるという路線。
この路線に乗せた時、「岩田選手の挑戦のタイミングはここではない」と帝拳サイドが判断したとすると、岩田選手にとっては悔しい決定だったはずです。
当時の心境は岩田翔吉選手も以下の動画で語っているのでご確認ください。
矢吹正道・岩田翔吉それぞれの世界挑戦までの道のり
次に矢吹選手と岩田選手それぞれが敗戦から再び世界のリングに上がるまでの対戦相手を比較します。
まずは矢吹選手から。
矢吹正道の対戦相手
- 2022年9月10日(土) タノンサック シムシー 当時WBOライトフライ級4位
- 2023年1月28日(土) ロナルド チャコン 当時IBFライトフライ級7位
- 2024年3月16日(土) ケビン ビバス 2023年にWBO Lフライ級暫定王座決定戦に出場
寺地拳四朗選手に敗れてからの矢吹選手は対戦相手の全てが世界ランカークラスの実力者。
この実力者達をいずれもKOで下してIBF王者のシビ ノンシンガ選手への挑戦権を手にしました。
続いて岩田翔吉選手です。
岩田翔吉の対戦相手
- 2023年4月1日(土) ジェローム バローロ 当時WBO Asia Pacific Lフライ級15位
- 2023年8月5日(土) ジェイソン ブリーリョ 当時フィリピン・ミニマム級13位
- 2024年1月20日(土) レネ マーク クアルト 当時IBFミニマム級7位
- 2024年7月6日(土) ジャジール トリニダート 当時OPBF Lフライ級6位
いずれもKOで下している点は矢吹選手と同じですが、世界ランカークラスとの対戦は1階級下のレネ マーク クアルト選手のみ。
矢吹選手と比べると安全なマッチメイクで世界戦までたどり着くこととなりました。

この差がいわゆる帝拳パワーというものなのでしょう。
危険な試合を乗り越えて世界戦の舞台にたどり着いた矢吹選手が手放しで応援される一方で、岩田選手の挑戦には思うところがある人もいるでしょう。
チャンピオンに挑戦する矢吹正道と王座決定戦でベルトを争う岩田翔吉
タイトルに挑戦するまでの過程にも大きな差のある両者ですが、訪れたチャンスにも差が。
矢吹正道選手がベルトを争う相手はIBF王者のシビ ノンシンガ選手。
戦績は14戦13勝(10KO)1敗(1KO)の25歳。
敗れた1戦も世界戦で、その相手にもダイレクトリマッチで勝利しています。
一方の岩田翔吉選手にはWBOの王座決定戦のチャンスが舞い込んできました。
対戦相手のハイロ ノリエガ選手の戦績は14戦14勝(3KO)の31歳。
無敗ではありますが、BOXRECで過去の対戦相手の戦績を見ると勝ち星の半数以上は負け越している選手が相手。
大事に育てられてきた選手です。
ノンシンガ選手とノリエガ選手両者の試合映像を見比べればノンシンガ選手の方が明らかにヤバい相手だということが分かるでしょう。
挑戦に至るまでの道も、ベルトを賭けて争う相手も矢吹正道選手の方がハードルが高いのが現実。
これが地方ジムと超大手ジムの差とも言えます。
勝てば官軍、最後に結果を出した選手が強い
こうして両者を比較すれば矢吹正道選手に肩入れしたくなるのは当然。
しかし岩田翔吉選手も別に自ら好んでこの状況を選んでいるわけではありません。
強くなっていく過程において色々言われるであろうことも当然覚悟しているでしょう。
批判的な声もあるだろうことを受け入れて、与えられたマッチメイクをこなしていく岩田選手のメンタルも鍛えられていることでしょう。
絶対に負けられない試合を乗り越えていく中で岩田選手は実力もメンタルも確実に強くなっているはず。
特に世界戦前に戦ったジャジール トリニダート選手は世界ランクには名を連ねていませんが相当良い選手でした。
日本のファンが好む育成ロードではないかもしれませんが、最終目的を考えた時に帝拳ジムの育成ロードは決して悪いものではありません。

というかむしろ結果だけを見れば合理的。
勿論「TEIKEN」という世界的な名前があるからこのマッチメイクでも上に上がっていけるという面はあるのでしょうが、利用できるものは最大限利用して最終的に強くなれば良いのです。
両者が勝てば統一戦の可能性も
10/12の矢吹選手、10/13の岩田選手、勝てばそれぞれが世界のベルトを手にします。
そうすれば日本タイトル戦の時に実現しなかった対戦の可能性も統一戦という形で生まれてきます。
亀田と帝拳というプロモーターのデカい壁はありますが、ここで帝拳側が亀田を拒むような動きを見せたらファンは遠ざかっていくでしょう。
もしも二人とも世界のベルトを手にした時にはプロモーターの動向も含めた興味深い未来が広がっていきます。
矢吹選手側はかなり高いハードルになっては来ますが、両選手が世界の壁を乗り越えてベルトを手にし、その先のストーリーが生まれることを祈ります。

矢吹正道・岩田翔吉二人とも世界王者に!そして岩田選手が挑戦状を!!
10月12日(土)に矢吹正道選手がシビ ノンシンガ選手に完勝。
そしてその翌日13日(日)に岩田翔吉選手も王座決定戦に勝利してWBOのベルトを獲得しました!!
勝利者インタビューで岩田選手はちょっと因縁があると矢吹選手との統一戦を希望。

熱い男です!!
帝拳ジムの方針はあるでしょうが、リング上で自分のゴールはここじゃないと対戦を熱望した岩田翔吉。
両者まずはゆっくり休んでいただきたいですが、ファンに夢を与えるこの流れ。
ありがとうございます。
世界ライトフライ級がものすごい熱を帯びてきました。