観戦記

ホープフルファイトvol.40観戦記〜川崎新田ジム西岡伶英のジャブに衝撃

torajiro

ボクシングファン歴25年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。

こんにちはボクシングブロガーのtorajiroです。

2023年8月22日(火)に開催されたホープフルファイトvol.40の観戦記です。

目当ての試合は河村慎司VS中林稜太郎の激アツファイター同士の一戦でしたが、川崎新田ジムの新人ボクサー達のパフォーマンスにも衝撃が走った興行となりました。

女子ミニマム級4回戦 アダムス ハナコ(ハッピーBOX) VS 渡邉恵(TEAM10COUNT)

2022年に定年延長を懸けたガチコ萩生田選手との2連戦で生き残ったアダムスハナコ選手。

対するはここのところ引き分けが続いているファイターの渡邉恵選手。

1R目、ハナコ選手はジャブで距離を取ろうとするが渡邉選手が頭をずらしてのジャブをヒットさせ、飛び込んでの右ストレート、有効打、手数共に渡邉選手。

2R目も中盤まで渡邉選手の前進が目立つ。ハナコ選手は足を使ってジャブを突いて距離を取ろうとするが、渡邉選手の前進を止めるには至らない。ただ、終盤辺りからハナコ選手の右ストレートからの左フックが良い感じになってきた。

3R目、渡邉選手の前進力が落ちてきたのか、ハナコ選手の右が冴えてくる。

ジャブとフットワークでハナコ選手が自分の距離を保ち、ワンツー、右ストレート、左フックと有効打を当てていく。

4R目、渡邉選手も前に出るがこのラウンドもハナコ選手の打ち終わりの左フックや右からの左が良い。

有効打的にはハナコ選手かな。

僕の採点はドロー。

ジャッジは37-39,38-38,38-38で1者は渡邉選手を支持しましたが2者はドロー。

ハナコ選手は3R以降のボクシングが最初から出来ていれば。

エンジンかかるのが少し遅かったか。

渡邉選手は勝ちきれない状態が続いてこれで4戦連続の引き分け。

4連続ドローは中々珍しい!!

連続ドローの最長記録ってどれくらいなんだろう。

65.0kg契約4回戦 福田哲史(L玉熊) VS 小曽根響太(ワタナベ)

36歳の福田哲史選手は定年撤廃がなければこの日がラストファイトになっていたかもしれない一戦。

対する20歳の小曽根響太選手は2戦目での初勝利を目指す。

1R目、小曽根選手はピョンピョンと跳ねてから基本に忠実なジャブ・ワンツー。

パンチの威力はあるし、基本もしっかりしているが、忠実すぎてタイミングが読みやすい。

と思ったところに福田選手が右を合わせてダウンを先取。

2R目、互角の展開でパンチのパワーは小曽根選手。ただ要所要所で顔を跳ね上げるのは福田選手のパンチにも見える。

3R目は小曽根選手が終盤にまとめて意地を見せる。

4R目も小曽根選手が前に出ていたが、自分から距離を取ってワンツーを打ちに行ったところにカウンターの右をもらう。勿体無い。。

僕の採点は39-36で福田選手の勝利。

ジャッジは38-37,38-37,39-36の3対0の判定で福田選手の勝利。

小曽根選手はあの分かりやすい動きは本当に勿体無い。

身体能力は高いし、もうちょっとフェイントを入れながら攻めたら良い選手になりそう。

あとちょっと右ストレートが横に流れているような気がしました。

福田選手は逆にパンチの出どころが分かりづらくてやりづらい選手に見えました。

56.5kg契約4回戦 上村峻亮(川崎新田) VS 矢野円来(花形)

デビューから4戦して2敗2分で勝ち星がない上村峻亮選手。

矢野円来選手は円来と書いてマルクと読む。

同じ花形ジムに所属する矢野乃莉守選手の弟さん??

1R目、矢野選手はフットワークが非常に良い。上村選手は遠い間合いから左を浅くヒットさせるが、矢野選手が中に入って右フックをヒット。

両者有効打は少なく、やや噛み合っていない感じはあるがポイントは矢野選手。

2R目、上村選手が矢野選手の入り際に単発の左ストレートを何発か当てる。

矢野選手は終盤にワンツーボディ。能力的に明らかに矢野選手が勝っているのだけど噛み合わない。

3R目、矢野選手が距離を掴んできた。軽やかなフットワークからワンツーを上下に。終盤上村選手もコーナー付近で左をヒットさせる。

4R目、最終ラウンドは矢野選手が踏み込んで右をヒットさせてポイントを取る。

僕の採点は2Rは上村選手かな?として37-39で矢野選手の勝利。

ジャッジは36-40,36-40,36-40のフルマークで矢野選手を支持。

上村選手は左を当てても単発になってしまっていたので、左当てたところから右ジャブ左ボディ等と繋げていけたらポイント取れたと思います。

花形ジム木村トレーナーの矢野選手に対する「もう少しスピード落として!」という指示が印象的でした。

矢野選手はスピードを落とすことで重心が下に行き、空回りが改善されているように見えました。

「重心落として!」ではなくスピードを落とさせる事で結果的に重心が下がる。

プロのトレーナーってすげ〜なと感心した的確な指示でした。

バンタム級4回戦 河村慎司(FLARE山上) VS 中林稜太郎(ワタナベ)

ボクオタからプロボクサーとなった個性豊かな河村慎司選手とアマキャリアがあり接近戦に定評のある中林稜太郎選手の一戦。

1R目、河村選手が自分から仕掛けに行くが、前足絡まった感じのところに中林選手が右フックをヒットさせてダウンを奪う。ダメージはないが技ありの一発。

2R目、ポイントを挽回しに河村選手が手数で上回るが、中林選手の右フックがヒット。

3R目は河村選手怒涛の手数で接近戦の上手い中林選手を下がらせる。

4R目も河村選手が猛ラッシュするが、中林選手が押し返す場面も。

僕の採点は3,4Rは河村選手ながらダウンもあったので37-38で中林選手の勝利。

ジャッジは37-38,36-39,35-40で中林選手を支持。

河村選手はデビュー戦の時の胸が熱くなる試合を思い出させる激闘を見せてくれました。

>>ボクオタからプロへ〜河村慎司選手のデビュー戦は4回戦ボクサーの魅力が満載

中林選手は前回後楽園ホールで試合観戦した際に、持ち味を出す前に右をもらいTKO負けしていました。

足の痙攣が激しくしばらくコーナーから立ち上がれないショッキングな負け方だったので、今回持ち味を出した勝ち方が出来て良かった。

Sバンタム級4回戦 内藤大起(川崎新田) VS 林勇汰(花形)

1戦1敗の内藤大起選手と4戦2敗2分の林勇汰選手による初勝利を賭けた一戦。

1R目、林選手はガードをしっかり上げて重心を落として相手のパンチの打ち終わりを狙う。

4戦して勝ち星がないとは思えない良いボクシングで、内藤選手のガードが空いたところに右フックを打ち抜いてダウンをゲット。

再開後も再び右で倒し、再開後に連打をまとめる。

このままレフェリーが試合を止めるかと思った展開でしたが、クリンチ状態から倒れたところ、林選手が苦悶の表情。

足を痛めたらしい。

TKO勝利目前から林選手は一気に大ピンチに。

ラウンド終了後に足を引き摺りながらコーナーに戻る林選手。

2R目、足を痛めた林選手に大逆転を狙う内藤選手が攻める。林選手はやや押される展開ながら、しっかりガードして打ち終わりが甘い内藤選手に左フックをヒットさせて有効打では負けていない。

3,4Rは内藤選手が下から上にパンチをまとめてポイントを挽回しにかかった。

最終ラウンドは林選手も最後の力を振り絞って打ち合ったが、ポイント的には内藤選手に流れたかな?

僕の採点は36-38で林選手の勝利。

ジャッジは36-38,36-38,37-37の2対0で林選手を支持。

ドローもあり得た試合展開でした。

敗れた内藤選手ですが応援団がとにかく凄かった。

4回戦ボクサーでここまでの大声援は滅多にない。

チケット頑張って売りまくったのだろうか。

そうだとしたら今後のボクサー人生も引退してからも安泰。

チケット売れる能力のある方でしたらこの先どんな道に進んでも逞しい行動力で生き抜いていけるはず。

フェザー級6回戦 平野和憲(KG大和) VS 濱田力(角海老宝石)

新人王トーナメント以降勝ち星から遠ざかっている平野選手。

戦う相手のレベルが上がっているから仕方ない面もあるが、そろそろ勝利が欲しい。

対する濱田力選手は角海老宝石ジムに移籍して5年振りの試合。

1R目、濱田選手の左フックで踏み込んでの右がクリーンヒット。続けて追加の右もヒット。

(このボディへの攻撃が有効で右フックもよく当たった)

一発で倒れてもおかしくないような一撃ながら平然とした様子の平野選手。

ケロッとした様子の平野選手は右ストレートを返して反撃。

2R目、お互い慎重な展開ながら序盤の有効打でやや濱田選手か?

3R目、このラウンドは濱田選手が狙いすました右をクリーンヒット。更に右を追撃し、終盤左右フックをまとめる。

4R目、このラウンドも濱田選手のフックが冴える。

5R目も同じような展開だが、平野選手もジリジリ前に出ながら手数を出していたのでポイントは微妙。

6R目は平野選手がアッパーをヒットさせ、手数も出してポイントを取ったか。

僕の採点は55-59か56-58で濱田選手の勝利。

ジャッジは57-57,56-58,56-58の2対0の判定で濱田選手を支持。

ドローがあったのは意外でしたが、濱田選手の強打も単発だったので、微妙なラウンドはそれより平野選手が前に出て手数を出す方にポイントを付ける視点で採点したのかなと思います。

平野選手は打たれ弱そうに見えて非常に頑丈な選手でした。

濱田選手は今日単発で終わってしまった強打に後続打があればKOを量産する選手になりそう。

1Rエキシビジョンスパー 伊佐春輔 VS 遠藤龍匠

僅か1Rのエキシビジョンで、しかもヘッドギアをしていたので伊佐選手と遠藤選手を間違えて観戦しておりました。

遠藤選手が手数を出し、伊佐選手が横綱ボクシングでパワーパンチを時折当てている。

torajiro

やはりプロと高校アマから上がってきたばかりの選手ではパワーの差はあるか

と思ったらパワーがあったのは遠藤選手の方でした。

遠藤選手はもの凄い体幹の太さ。

ジャブもガードの隙間を突いて上手かったし。

まだプロのリングではやや自分のボクシングが出来ていないように見える遠藤選手ですが、2戦目の途中から良くなってきていました。

北野選手との新人王ミニマム級の試合が楽しみで仕方ない。

バンタム級6回戦 西岡伶英(川崎新田) VS 裵聖和(ペ ソンファ)(三迫)

川崎新田ジムの秘密兵器、元日大ボクシング部主将西岡伶英選手のデビュー戦。

三追ジムのぺソンファ選手はデビューはフィリピン、2戦目は西岡選手とハードなマッチメイク。

1R目、西岡選手が放つジャブに鳥肌が。

(ジャブは速すぎて写真撮れず。パンチを予見出来ない男です。。)

モーションが全然ない、そして速くて威力もある。

torajiro

なんて綺麗なジャブなんだ!?

このジャブを上下に打ち分け、右ストレートでペ選手の顔面を跳ね上げる上々の立ち上がり。

2R目はぺ選手も反撃に出るが、右ストレート、左右ボディからのアッパーと有効打でポイントを取ったのは西岡選手。

3R目、ペ選手が右からの左フックをヒット。このラウンドはぺ選手の左フックが良く当たり、このままペースがぺ選手に流れていくのではという予感を感じさせた。

しかし4R目以降は再び西岡選手がペースを握り、打ち合いの中でもパンチの威力が違うし、有効打も西岡選手の中で試合終了。

僕の採点は3R以外は全て西岡選手で59-55。

ジャッジは59-55,59-55,60-54で西岡選手を支持。

まとめ:川崎新田ジムは西岡伶英、遠藤龍匠らの原石を育て上げられるか!?

黒田雅之選手、古橋大輔選手と立て続けに看板ボクサーが引退した川崎新田ジム。

torajiro

川崎新田ジムもそろそろ落ち目が来るかな?

そんな風に見ていた川崎新田ジムから将来性抜群の選手が立て続けに出てきました。

遠藤選手はあの体幹の太さで今後もミニマム級まで落とせるのかは気がかりですが、Lフライ級でも将来世界を狙える程の選手になる可能性を秘めています。

西岡伶英選手のジャブは芸術的でスピード、威力も抜群でした。

パッと見の印象で「打たれ弱いのでは??」「後半失速するタイプでは??」

と思ったのですが6Rの中でパンチが効いている様子も失速する様子もありませんでした。

西岡伶英選手のジャブは一見の価値ありです。

果たして川崎新田ジムは彼ら将来性抜群のホープ達を育てていけるでしょうか!?

今後に注目していきましょう。

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