2024年9月3日(火)井上尚弥 VS TJドヘニー in 有明アリーナのアンダーカードも含めた現地観戦記です。
当日は雨の中多くの観客が集まりました(が、チケットは売り切れなかったので金額含め売り方は再考の必要あり)。
東京ドーム観戦同様に今回も最安値席(12,100円)から観戦しました。
東京ドームと違い肉眼でもギリギリ攻防が見える距離だったので、映像を見たりリアルを見たり行ったり来たりな観戦でした。
演出については東京ドームの方が凄かったかな。
津川龍也がダウンを奪うも下町俊貴緩急自在にポイントアウト
第一試合の日本Sバンタム級タイトルマッチはチャンピオンの下町俊貴選手に前評判の高かった津川龍也選手が挑戦。
下町選手はこれでタイトルを取った試合から4戦連続『NTTドコモPresentsフェニックスバトル』のリングに上がっています。
井上尚弥選手がSバンタムの王座を長く防衛する場合にはいずれ挑戦者としてリングに上がることもあるかもしれませんね。
KO率の高い津川選手の一発が当たれば分からないと予想していましたが、下町選手はしなやかで緩急自在。
ジャブを突いて自分から前に出て先手を取り、相手が出て来ればバックステップから左ボディアッパー。
下町選手ペースで進んだ8Rに津川選手の右ストレートが炸裂して下町ダウン!!
このピンチを凌いだ下町選手が4〜5ポイント差をつけて勝利。
序盤はもっと五分五分の展開になると予想したが想像以上に下町選手がしなやかで上手かった。
佐々木尽は終始フルスイングでカミル・バラの鋼のボディを破壊
佐々木尽の試合に期待するものは圧倒的破壊力!!
期待したとおり試合では豪快っぷりを存分に披露。
3Rには得意の左フックでダウンもゲット!!
ボディでカミル・バラ選手の体をくの字に曲げる場面も。
フィニッシュは7R。前のラウンドからのダメージが残るカミル・バラ選手を一方的に攻め立てて最後はレフェリーが止めると同時にバラ選手も倒れ込みました。
カミル・バラ選手はサウスポーにスイッチしながら軽いパンチをコツコツ当てていくボクシングで、ポイントを取ったラウンドもいくつかあったと思います。
世界ランカークラスと試合をした時に全弾フルスイングの佐々木尽スタイルが通用するかどうか!?
チャンピオンクラスが相手になると空転させられそうな気もしなくもないですが、勝ち続けている勢いで世界挑戦まで突き進んで欲しい。
マイク持ってもしっかり喋る、佐々木尽には大きな舞台が似合う。
「待ってろ世界!!」
平岡アンディがパーフェクトボクシングで世界へGO!
WBA世界Sライト級挑戦者決定戦で暫定王者のイスマエル・バロッソ選手に挑んだ平岡アンディ選手。
Sライトくらいの階級になると国内では無敵の強さを誇っても世界の舞台になると力の差が、、
という試合を何度も見てきたので平岡アンディ選手も簡単には行かないはず。
倒されるかも、、、
という予想もしていました。
しかし試合が始まるとアンディ選手のサークリングしながらの右ジャブにバロッソ選手は距離を詰められない。
ジャブを突いてサークリングし、バロッソ選手が強引に飛び込んで来れば下がりながら右フックを合わせてパンチを殆どもらわず。
危ない左をもらう場面もあったが順調にポイントを重ね、6Rにパンチを外しながら放った右フックでダウンを奪い、最後は9Rにもダウンを追加したところでバロッソ陣営が棄権の意思表示によりTKO勝利。
平岡アンディ選手は世界トップレベルのボクサーを完封したことで世界のベルトも現実味を帯びてきた。アンディ行けるでしょ!!
お父さんのジャスティスさんに小さい頃から教わってきたボクシングが世界の扉をこじ開けました。
さんまのカラクリテレビの泣き虫アンディ君がここまで来ましたよ。
お茶の間で笑っていた人達もビックリでしょうね。
日本人が踏み込めない領域に足を踏み入れているアンディ君でした。
武居由樹の華と比嘉大吾の課題修正・武居対策が光った一戦!
武居由樹選手は入場時に放つオーラが素晴らしかった。
自分をどう見せたら良いか分かっている入場シーン。
リングイン前に客席を向いてロープにもたれかかり、観客のボルテージを高めてからのリングイン。
キックの選手は良くこれをやりますが、ボクサーももっとやったら良いのでは。
一方の比嘉大吾選手はガウンも着ないで淡々とリングイン。
武居選手が魅せることで対局に位置する比嘉選手の無骨さにも光が当たる。
入場時から手汗が、、
WBO王者の武居選手は攻撃力はあるもパンチをモロにもらう場面もあり、穴のある王者という見方。
しかし比嘉大吾選手も決してサウスポーが得意には見えないボクシングスタイル。
どちらが倒す可能性も十分あるが、何だかんだでコツコツポイントを重ねて武居選手が中差の判定で勝利するような予感もした。
しかし試合が始まると想像以上に比嘉選手の良さが光った。
- 中に入る前に頭をグイと前に出す悪癖も修正されており、ただ前に出るのではなくジャブも効果的に使っていた。
- 中途半端な距離には立たない。
- 武居選手の得意の左アッパーに左フックを合わせてクリーンヒットを奪う。
- 比嘉大吾選手が課題を克服した上に武居対策もしっかりと遂行していた。
武居選手もハンマーを振り回すような遠心力のあるパンチを振り、右アッパーも決める。
11Rにはスリップ気味ながら比嘉選手の左が武居選手をとらえてダウンもゲット。
しかしこのダウン後から比嘉選手は下がり気味で最終回も武居選手の猛攻にダウン寸前。
判定はクリーンヒットでやや比嘉選手が上回ったように見えましたが、ジャッジは3者共に武居選手を支持。
誤審と言うような内容では無いですが、判定割れて勝者比嘉大吾に見えました。
かろうじでベルトを守った武居選手はディフェンス面での課題も残した試合でした。
比嘉選手はバンタム級で過去イチのパフォーマンスを見せた!!
引退を示唆しているようですが、時間が経てば気も変わるのではないかな。
お金を稼ぐのは大変です。引き続きボクシングで稼いでみませんか!?(ボクシングも大変か、、)
勝利した武居選手は「10月天心君頑張ってください。」といつか来るかもしれない天心戦をファンに期待させる一言を残す。
これぞプロ!!
井上尚弥は肉も切らせず骨を断つ
ルイス・ネリ戦でのダウンの反省からか、井上尚弥選手は静かな立ち上がり。
これではつけ入る隙がない!!
ドヘニー選手も試合の序盤に活路を見出そうと思っていたはずですが、隙がなく攻め込めない。
この試合は井上尚弥選手も慎重で、ドヘニー選手も攻め込むチャンスを見出せず手数が少ない展開に。
3R,4Rはドヘニー選手が左を多彩な角度で上下に打ち分け、浅くヒットはしていたのでジャッジによってはここでドヘニーにポイントを付けたのでは。
「見方によってはドヘニーにポイント振るのもありですよね。」
というやりとりをこの時していました。
一方の井上尚弥選手も右ボディストレートの強打を打ち抜いていたが、クリーンヒットというわけでもない。
4R終了時点でジャッジによってはイーブンもあり得る展開。
雑魚扱いされていたドヘニー大健闘では!?
が、5R辺りから井上尚弥選手が攻勢強め出すと、それまでは慎重に上手く戦っているようにも見えたドヘニー選手が慎重過ぎて弱気になっているように見え出す(タパレス状態)。
攻勢を強める井上尚弥選手は6Rにロープに詰めてコンビネーションを見せ始めた。
これは7Rに見せ場が来るか!!
そう期待した矢先、7R開始早々にドヘニー選手が腰を痛めてTKO。
6Rにもらったパンチでイカれてしまったのでしょう。
戦士ドヘニーは上手に戦うも戦士としての魂を見せる機会なく散ってしまいました。
井上尚弥選手が出てきたであろう7Rにドヘニーが一か八か勝負を仕掛けるか!?
そんな展開を期待しただけにあっけない幕切でした。
松本大洋氏の漫画「ZERO」に強過ぎるが故に孤独なボクサー五島雅というキャラがいましたが、五島雅が頭に浮かぶ、ゾッとするような強さをこの試合で感じました。
五島雅は「永遠に壊れないおもちゃ」を求めていました。
井上尚弥選手も自分がベストパフォーマンスを発揮できる階級で本気を出せる相手を求めているのではないか。
強過ぎるが故の孤独を満たす対戦相手が現れることに期待したいです。