こんにちはボクシングブロガーのtorajiroです。
10数年前の話にはなりますが、僕は一時期プロボクサーをしていたことがありました。
大学卒業後にサラリーマンをしながらプロボクサーをしていましたが、周囲のボクサーは中卒・高卒が大半で大卒の選手は殆どいませんでした。
が、ここ最近は大学までアマチュアでやってプロになる選手が増えておりプロボクサーも案外と高学歴化しています。
その中でも今、早稲田卒のプロボクサー3名がそれぞれのステージでプロとして活躍しており、今回この3名をもっと知ってもらいたいと思いこの記事を書きました。
(※ご本人達はもしかしたら高学歴みたいな表現で注目される事は嫌かもしれませんがご容赦ください。)
ライトフライ級チャンピオン岩田翔吉が世界への扉を開くか!?
初めに紹介する選手は帝拳ジム所属の日本ライトフライ級チャンピオン岩田翔吉選手。
岩田選手は高校時代にインターハイを制しており、高校時代には井上拓真選手や田中恒成選手に勝利した実績もあります。
早稲田大学時代は高校時代程のインパクトは残せずアマチュアランキングも最高で7位でしたが、ポテンシャルはすば抜けており、早くからプロでの活躍が期待されておりました。
そして帝拳ジムでプロデビューしてからは破竹の勢いで勝ち上がり、プロ7戦目で無敗のまま日本ライトフライ級のベルトを手に。
この時タイトルを争った芝力人選手は2014年度のアマチュアライトフライ級で岩田選手より一つ上の6位にランクされていましたが、プロでは岩田選手が一歩先を行く存在となりました。

日本タイトル防衛戦では、対戦相手八巻裕一選手のリング禍を乗り越えて戦い続けるベテランボクサー大内淳雅選手を1Rわずか1分12秒でKO。
日本・東洋タイトルの統一戦ではレジェンドボクサーの堀川謙一選手を相手に戦い中差の判定勝ち。
この試合に勝利した事で国内のライトフライ級に敵はいなくなり、いよいよ世界へ。
堀川選手に勝利した岩田選手は2022年11月1日にジョナサン・ゴンザレス選手の持つWBO世界ライトフライ級のベルトに挑戦しました。
贔屓目に見てドローと僕は採点しましたが、世界戦のジャッジは単発の強打狙いになってしまった岩田選手よりも細かくパンチを当てていくゴンザレス選手のボクシングを支持しました。
>>岩田翔吉世界挑戦、寺地拳四朗vs京口紘人日本人王者統一戦観戦記
決して力の差があった訳ではなく、引き出しの差が出た一戦でした。
世界のベルトはあと一歩、目の前まで来ています。
残念ながら世界初挑戦は実りませんでしたが、その後は強豪フィリピン人ボクサーを相手に2連勝。
岩田翔吉選手の直近の試合はU-NEXTで視聴可能です。

岩田選手はボクシングの実力だけでなく、ルックスが良くてとにかくお洒落。

バッチリ決めてますがInstagram見るとこんな感じのイケてる写真がじゃんじゃん出てきます。
実際ルックスもファッションセンスも良くて華があります。
これぐらいやってくれると、キャラも際立って、

何格好つけてんだ畜生!!俺だって、、俺だって!!
とアンチサイドのファンの炎も燃え上がります。
デビュー当初は右ストレート一発狙いで頭が突っ込むところが気になっていましたが、今は全くそんな様子は見られません。
リクルート勤務の藤田炎村がマジで強い!独特の距離の詰め方から1発で終わらせる強打
そして次に紹介するのがスーパーライト級日本チャンピオン!
この選手の試合に外れなし、三迫ジム所属の藤田炎村選手。

早稲田大学卒業後、リクルートに勤務しながらプロボクサーをしている異色のボクサーです。
>>サラリーマンボクサー情報まとめ。正社員でも仕事と両立でプロボクサーになれる!
10年ちょっと前には慶應大学卒の電通マンボクサー中村幸裕選手がいましたが、中村選手は全日本新人王を取ったのは大学在学中で、就職してからはそこまでは試合は出来ず、ランキングを奪われて引退しました。
藤田選手の場合はプロ活動は就職してから。
サラリーマンボクサーとなってから全日本新人王の決勝まで進んだり、ランカーの富岡樹選手を撃破したりと、就職してからプロでバリバリ活躍しています。
サラリーマンとの両立で新人王トーナメントを勝ち上がるなんて凄すぎる。。
残業あったり有休が思うように取れなかったり、繁忙期があったり、サラリーマンならではの苦労もあると思いますけど(自分はそれで新人王トーナメントのエントリーは断念しました)。
出世試合となった富岡樹選手との試合を観ましたが、ベースはオーソドックスながら歩きながら距離を詰めて、オーソドックススタイルもサウスポースタイルも関係なくスイッチしながらバランス良く強打を打ち込む。対戦相手からしたら非常にやりづらい選手です。
サークリングしていたらいきなり右足をスッと出してサウスポースタイルになって正面から殴ってきます。
対戦相手からしたらどのタイミングでどこからパンチが飛んでくるかわからないので困ったものです。
藤田選手は2022年8月9日に若手の注目株、湯場海樹選手と対戦。
1Rにいきなり2度倒されて勝負アリかと思われたところからのまさかの大逆転勝利に後楽園ホールは大揺れ。
>>ダイヤモンドグローブ日本Sフライ級タイトル観戦記〜藤田炎村は年間最高試合!
戦前は湯場選手の勝利を推す声の方がやや大きかった試合ですが、皆が思う以上に藤田選手はやりづらくて強い。
そして湯場選手との試合後に日本Sライト級王座決定戦に出場するチャンスを得ます。
対戦相手は歴戦の猛者青木クリスチャーノ選手。
戦前の僕の予想やキャリアの差でややクリス選手でしたが、試合は2Rに藤田選手がスイッチしてからのワンパンチで衝撃のKO勝利。
この試合が行われた興行は2023年度を象徴するような神興行となりました。
藤田炎村選手はこの後2023年8月8日の初防衛戦でハードパンチャーの大野俊人選手を圧倒。
ワタナベジムのKOアーティスト関根幸太朗選手が名乗り出たらまたトンデモない神興行が生まれそうな予感。
2023年12月12日にはワタナベジムの関根違いで37歳のベテランボクサー関根翔馬選手を相手に防衛戦を行います。
早慶対決を制し新人王トーナメントも勝ち上がった井上稜介
最後に紹介する選手はワンツースポーツ所属の井上稜介選手。
井上選手は岩田選手、藤田選手と早稲田大学ボクシング部同期。そしてこの代の主将を務めておりました。
早稲田大学からプロボクサーになる事自体が稀なのに、同じ代で3人がプロ。
彼ら3人の繋がりにも興味が湧いてきます。
同じ釜の飯を食って育った仲間同士、影響し合った結果なのか、はたまた全然仲良くなかったのか、そこは分かりませんけど。
早稲田大学ボクシング部で主将を務めた井上選手がプロデビューしたのは2021年。
大学卒業からは3年経ってのプロデビューで岩田選手や藤田選手と違いブランクを作ってのプロ挑戦。
この間、井上選手がサラリーマンとして働きながらどんな気持ちを抱えて日々を過ごしていたのか気になります。

最初から仕事が落ち着いたらプロボクサーになりたいと思っていたのか、はたまたプロになるつもりはなかったのにどうしてもまたボクシングがやりたくなってしまったのか、どんなストーリーがあって今こうしてリングに上がっているのでしょうね。
ブランクを作ってからのデビュー戦は角海老宝石ジムの鳥井志恩選手に敗北。
そして迎えた2戦目は慶應大学ボクシング部出身のトト江嵜選手。
この両者のプロボクシングでは珍しい(初?)の早慶戦は井上選手が勝利。
そして2022年度Sフライ級の新人王トーナメントにエントリーし、初戦でKO勝利。
2022年8月4日の試合はデビュー戦で敗れた鳥井選手と同じ角海老宝石ジムの高橋秀太選手に3RTKO負けでした。
ハードパンチャーの高橋相手に井上選手がどういった戦いを見せるのか注目していましたが、足を使って序盤は下がりながらも的確にパンチを当ててポイントは若干リードしていると思いました。
ダウンを取られた3R目も見栄えの良い右アッパーを当てていたので惜しい敗戦でした。
その後しばらく試合はなかったのですが、2023年6月11日に大阪のリングで再起し、RSTボクシングジムの前田凪貴選手と対戦し、序盤リードされてから後半追い上げてのドロー。
続く2023年10月10日にはガチャピン似ボクサー協栄ジムのガチャピン政道選手と対戦して3勝目を上げました。
これで戦績は6戦3勝2敗1分。
6回戦が目の前に。
次戦は6回戦昇格を賭け、2023年12月12日に藤田炎村選手のタイトルマッチの前座で試合を行います。
6回戦に上がった方が井上選手は結果を残せるのかもしれません。
まとめ
今回は早稲田大学ボクシング部同期でそれぞれがそれぞれのフィールドで飛躍しそうな3名の選手をピックアップしました。
- 岩田翔吉選手は世界の扉をこじ開け、ベルトまであと一歩というところまで。
- 藤田炎村選手はSライト級の日本タイトルを獲得。
- 井上稜介選手は新人王トーナメントで敗れるもその後に再起。
岩田選手は世界の壁、井上選手は新人王トーナメントの壁と、それぞれの高みで壁にぶつかり、藤田炎村選手は日本のベルトを獲得して防衛にも成功。
岩田選手は再起後に良い勝ち方で勝利しているので遅かれ早かれまた世界のチャンスは来るでしょう。
井上選手はトーナメント後の再起戦での引き分けは痛かったですが、その後に勝利。
ボクシングをこうして続けている事が何より嬉しい。
1,2年後にこの3名の選手が果たしてどの位置まで上り詰めているか楽しみにしています。
以上、ドラマの主人公のような御三方でした。