こんにちは。ボクシングブロガーのtorajiroです。
亀田興毅氏がファウンダーとなって立ち上げた3150FIGHTが遂にボクシングの聖地後楽園ホールに上陸。
思い出のたくさん詰まったベテランボクサーから、未来のチャンピオン候補達に思い入れのある選手も登場する3150FIGHT SURVAIVAL vol.7の見どころをお届けし、会場観戦後の観戦記を後日追記します。
Sフェザー級4回戦 須賀達也(輪島S)VS谷口浩生(RK蒲田)
見どころ
アマチュア経験のない?デビュー戦同士の一戦。
デビュー戦同士の試合は初めての8オンスにヘッドギアもないので距離感が合わない。
その距離が合わないところから徐々にアジャストしていく過程がデビュー戦同士の試合の面白いところ。
ややマニアックな視点で恐縮ですが。
須賀選手は元警察官。
サッカー、バスケ、剣道、逮捕術!?とスポーツ経験豊富な選手。
逮捕術は良く分かりませんが剣道をやっていた選手はボクシングへの順応が物凄く早い。
自分だったらこれだけのスポーツ歴を持った選手と対戦するのは結構嫌かな。
対するRK蒲田ジムの谷口選手は2022年9月にプロテスト合格。
プロテスト合格から10ヶ月経って満を辞してのデビューとなります。
谷口選手は福岡県福岡市出身。
好きなボクサーにメキシコからの逆輸入ボクサー坂井祥紀選手を挙げているところは好感度が高い。
坂井選手同様にボクシングスタイルもファイターなのでしょうか。
観戦記
煽りVを見る限り須賀選手はリーチはあるが線が細く遅かれ早かれ谷口選手に捕まるだろうと予想した一戦。
試合序盤は須賀選手がジャブで距離をコントロール。
しかし徐々に谷口選手が須賀選手のジャブにワンツーを合わせてダメージを与えていく。
2R途中までは予想通りの展開で、ここから流れが谷口選手に傾いていくかと思いきや、ここから須賀選手が粘る。
3Rになると谷口選手の手数が減る一方で須賀選手は積極的に自分の距離で手数を出す。
谷口選手が右を合わせる場面があってもすぐに須賀選手はお返しで打ち返す。
判定は39対37で須賀選手。
線が細くて打たれ弱そうだと思った須賀選手でしたが、見た目と裏腹に気持ちはかなり強い男だと見ました。
Lフライ級6回戦 テンプル神原(DANGAN AOKI)VSアンディ アツシ(宮田)
見どころ
面白い選手同士の一戦が決まってくれました。
リングネームもテンプルなリアルお坊さんボクサーテンプル神原選手。
これまでにも色んなジャンルで活躍しているボクサーがいましたが、お坊さんはテンプル選手が初?
対するアンディ・アツシ選手はデビューから3連敗というプロの洗礼を浴びるも、そこから這い上がり2年連続で東日本新人王ミニマム級の準決勝まで進んだボクサー。
3連敗を乗り越えるも、2年連続東日本の準決勝で敗北。
特に2年目は大橋ジムの石井武志選手にほぼ何も出来ず1RTKO負け。
引退も示唆していましたが再びリングに上がり、同年の新人王西軍代表だった池田雅史選手相手に大激闘。
「勝ったかな?」という内容でしたが判定は惜しくもドロー。
アンディ選手の特徴は拳の硬そうなパンチを繰り出して積極的に攻めていくところ。
テンプル神原選手のボクシングスタイルは倒しに行くよりは距離感とテクニックで相手を捌いてポイントアウトしていくもの。
アンディ選手の攻撃力か?テンプル選手の空間支配能力か?
どちらが上回るかに注目!!
観戦記
前に出るアンディ選手をテンプル選手が捌き切った一戦。
1R目から前に出て打ち合いを挑もうとするアンディ選手に対し、テンプル選手はサイドに動き回りながらアンディ選手のガードの隙間にパンチを合わせる。
アンディ選手が打ち終わりにバランスを崩すとすかさずそこにパンチを打ち込むテンプル選手。
テンプル選手はパンチの角度も多彩で特に右アッパーが良かった。
アンディ選手の左フックがヒットする場面もあり、1者は前に出続けたアンディ選手を支持しましたが、2者はテンプル選手の的確なパンチを支持。
僕の採点も58対56でテンプル選手でした。
ちなみに戦前はアンディ選手がパワーで押し切ると予想していました。
初めて会場で観戦したテンプル選手は想像以上に上手かった。
Sフライ級6回戦 サンディープ・クマール(インド) VS花田颯(KWORLD3)
見どころ
プロデビュー前ですがポテンシャルの高さを感じるボクサーが3150FIGHTのリングに上がります。
花田颯選手は元々は4月の3150FIGHTでデビュー予定でしたが対戦相手が直前の体調不良で棄権。
当日会場で試合を楽しみにしていた自分はかなりショックでした。
勿論一番ショックだったのは選手本人でしょうが。
花田選手とこの試合に関しては別記事で紹介しております。
観戦記
戦前の期待通り花田選手のポテンシャルは高かった!!
試合が始まると両ガード「スチャっ!!」と上げてリズミカルに頭を振りながら前に出る花田選手。
この動きだけでモノが違うと感じさせるには十分。
クマール選手のジャブもダッキングで前に避ける。
左ボディからの左フック、右ボディからの左ボディ、いずれもキレもあって体重が乗った素晴らしいパンチ。
クマール選手が右肩の脱臼をアピールして1R途中で花田選手のTKO勝利。
次戦で早速ランカーとの対戦を希望した花田選手でした。
この選手は世界行きます!!
(と、期待しております)
53.0kg契約6回戦 ヤン・ヒョンモ(韓国) VS 野上翔(RK蒲田)
見どころ
佐賀県の杵島商業高校から拓殖大学に進み、拓大では主将も務めた野上翔選手がRK蒲田ジムでB級デビューします。
野上選手のスタイルは足を良く使う技巧派サウスポー。
アマチュア時代は足を使うためにガードはやや下げたスタイルでしたが、プロではどういうボクシングを見せてくれるのかに注目しております。
観戦記
試合はサウスポーの野上選手が右を上手く使ってコントロール。
ジャブ打って頭を前に倒して右を下から突き上げるパンチが良かった。
1R目はこのまま右だけ使って終わるのかと思ったところで左を一発ヒット。
その後少し下がって相手を前に出させたところで再度左をズドン!!
この一発で試合終了。
デビュー戦ながらクレバーなボクシングでした。
さすが元拓大主将!!
66.0kg契約6回戦 イ・ヒョンジュン(韓国) VS 野上昂生(ワタナベ)
見どころ
長崎の鹿町工業高校から東京農業大学に進学し、主将を務めた野上昂生選手はワタナベジムからB級デビュー。
高校時代はミドル級で1位に、大学時代はライトミドル級で2位の実績を持つ日本では選手の少ない中重量級注目のボクサーです。
順調に試合が決まっていけば1年後には日本ウェルター級のランキングに入ってタイトルも狙っていけるような位置にいるでしょう。
サウスポーの骨太な強打者なので試合では派手なKOに期待!!
観戦記
野上昂生選手は鋼のような筋肉。
クールでルックスも良く、優等生なオーラ。
クレヨンしんちゃんに出てくるオネエ系のおじさんキャラに好かれそうなイメージ(あくまでイメージです)。
野上選手は相手の右ストレートを外しての左を序盤から何発も当てていた。
最後はロープ際で左をオーバーハンド2発でダメージを与え、追撃の左ストレートで仕留める。
この選手はもっと先の将来ボクシングを引退しても真っ当に生きて活躍するでしょう。
Sライト級8回戦 イ・ジョンヘ(韓国) VS 関根幸太朗(ワタナベ)
見どころ
関根選手の戦績は6戦5勝(5KO)1分。
この1分は2022年7月に佐々木尽選手とダウン応酬の末に引き分けたもの。
あれから1年で佐々木選手は豊嶋選手、小原選手と国内トップの選手を次々に撃破。
関根選手も「次は自分が!」という思いも自信もある事でしょう。
この試合は派手なKO勝利に期待。
現在国内のSライト級はハードパンチャーが多くて面白い階級になっています。
キャリア的にまだ早いかも知れませんが、藤田炎村選手と大野俊人選手の超ハードパンチャー対決の勝者に関根選手が挑んだら盛り上がるでしょうね。
観戦記
関根選手に対する僕のイメージはちょっとワルでヤンチャだけど憎めない感じ。
自慢のハードパンチに加えてこの試合でディフェンスの巧みさも存分に披露しました。
ストレートのようなジャブに左ボディもエグい。
序盤から圧倒し、3Rにパンチをまとめたところでレフェリーが試合を止めましたが、イ選手は打たれ強く、もの凄い根性を見せました。
関根選手は攻撃力に目が行きがちですがディフェンスがとても良いですね。
相手のジャブを右手を前に出しながら塞いだり、肘も使ったブロックを見せたり、バックステップも早いし。
これだけディフェンス良くて打たれ強く、更に自身はハードパンチャー。
無敵じゃないですか??
Sライト級のタイトルに絡んできたらとんでもない試合になりますね。
フェザー級8回戦 和氣慎吾(FLARE山上) VS キティサック・タウィーサップ(タイ)
見どころ
レジェンドボクサー和氣選手が遂に3150FIGHTに参戦。
元々3150FIGHTへの出場には前向きな姿勢を示していましたが、中川麦茶選手との試合に敗れ、その際に肩の脱臼もあったので出場時期が遅れてしまいました。
和氣選手は年齢的にもここ最近の試合内容的にもピークが過ぎた感はありますが、スピードはまだまだ健在。
そして和氣選手の試合は応援団が多く、チケットが良く売れるので興行主に取っては非常に有難い選手。
一つ問題があるとすればコロナ禍で声援禁止の中でも大声を出したり、禁止されている動画撮影を堂々と行っていたり、ややマナーの悪いファンも中にはいるという点でしょうか。
人気があってファンも多いので色んな方がいるのは当然と言えば当然でしょうか。
試合自体は対戦相手が8戦6勝というキャリアの浅い選手なので問題なく勝利するでしょう。
この試合でインパクトのある勝ち方をして、次はサバイバルではなく3150FIGHTのリングで和氣選手が戦う姿をみたいですね。
観戦記
和氣選手この試合は難なく再起に成功。
スピードある動きで終始試合をコントロールして2Rに右ボディで10カウント。
前回脱臼した肩の具合も問題なし。
若い時の和氣選手を観てきた自分のような人からするとあの頃の躍動感とか爆発力がないようにも見えますが、その分キャリアの中で培ってきた技術はあるはず。
スピードもまだまだ健在。
試合会場も和氣選手の応援団がこの日もたくさん詰めかけていました。
チケットを売れるボクサーも少ないですから、和氣選手のようなボクサーは本当に貴重。
まだまだボクシングを続けて欲しいし、きっと新たな歴史を刻んでくれるでしょう。
世界ランカーとの試合も見てみたいですが、それよりも中川麦茶選手との再戦が見たいかな??
64.0kg契約8回戦 ホセ マヌエル ガルシア バスケス(メキシコ) VS 近藤明広(一力)
見どころ
3150FIGHTが初の海外専属契約を結んだメキシカンの世界ランカーホセ・ガルシア選手がメインに登場。
18戦16勝(15KO)1敗1分の戦績が示す通り、メキシカンらしい一発一発しっかり打ち込む強打が持ち味です。
この選手を迎え撃つのは長きに渡り数々の激闘を演じてきた近藤明広選手。
10年以上前に荒川仁人選手や加藤義孝選手らとライバル対決を繰り広げていた近藤選手が今もリングに上がっている事が信じられないですが、まだまだ実力は健在。
ベテランボクサーですが試合を観ていても落ちたなぁと感じるところがありません。
世界ランカーとも渡り合える実力は十分ありますし、ガルシア選手もすば抜けたものがある選手ではないので勝機は十分あるでしょう。
観戦記
近藤選手が戦前予想を覆して3者共に77対75の判定で勝利!!
ガルシア選手に関して試合動画を見てパンチはあるけれどずば抜けたものはないと見ていたので、近藤選手にも勝機はあると予想はしていましたが、それにしても素晴らしい試合をしました。
序盤はガルシア選手のパワーショットに会場もどよめきましたが、近藤選手はその中でも右クロスを効果的に当てて譲らず。
近藤選手のボディショットでガルシア選手もパワーも落ち、終盤はバランスを崩す場面が増えて近藤選手が若干上回ったように見えた試合展開でした。
僕が近藤選手の試合を最後に会場で観戦したのは角海老宝石ジムの加藤義孝選手との日本タイトルマッチでした。
あれから11年、今だに現役で更に注目される世界ランカーを撃破!!
世界レベルの選手相手にパワーで負けなかったのは凄いの一言。
会場は盛り上がって3150でした。
ガルシア選手の応援団も「スーパーマン!!」コールで試合のテンションを上げ上げにしてくれました。
また日本に来てください!!
まとめ
関西中心に始まった3150FIGHTもどんどん参戦ジムが増え、3150FIGHT vol.5で東京初上陸。
そして今回は聖地後楽園ホールに降臨と、あっという間に活動の幅を広げてきました。
関東でもワタナベジム、一力ジム、RK蒲田ジムといった3150FIGHT常連のジムも増えてきましたね。
SURVAIVAL vol.7の翌日には一力ジムの興行”あしたのジョーメモリアル”で3150FIGHTがコラボ。
帝拳から一力に移籍した大嶋剣心選手の移籍初戦は怪我で延期になってしまいましたが、移籍問題等で時の人となった斉藤司選手、竹原テレビで人気のしゅん君、メインには但馬ミツロ選手も参戦する話題性のある興行です。
2023年も3150FIGHTの勢いは止まりそうにありません。