こんにちはボクシングブロガーのtorajiroです。
プロボクサーと言えば一昔前はアルバイトで食い繋ぎながら試合をするイメージが強かったですが、特に最近色んな分野でバリバリ働いている二足の草鞋ボクサーが増えました。
就職したら夢は諦めないと(涙)
という世の中の風潮が変わって来ているように感じています。
プロボクサーは若年人口の減少も相まって選手数も減り、絶滅危惧種となりつつありますが、その生息地は昔と比べても実に多様。
一部引退した選手も取り上げつつ、色んな職種で働きながらプロボクサーをしている選手情報を紹介していきます。
この記事を読めばきっとこれから先の人生の可能性が広がるでしょう!!
警察官ボクサー
まずはボクシングとは体育会系繋がり?の警察官。
公務員だから無給のはず。
それでも警察官をしながらプロボクサーをしている選手がいます。
アマ110勝の杉田ダイスケ選手
ポリスボクサーとして一番に浮かぶのは杉田ダイスケ選手。
敬礼の角度が流石。
杉田選手はアマチュアで140戦以上の戦績を誇るアマチュアエリートです。
- 駿台学園高校ボクシング部
- 東農大ボクシング部
- 警視庁に入った後もアマチュアを続けて全日本社会人選手権に優勝
- アマチュアで通算110勝というとんでもない結果を残した後で2018年にプロ入り
1988年10月22日生まれの右ボクサーファイター。
プロ3戦目で元日本チャンピオンの芹江匡晋選手に1RKO勝利を収めるも、阿部麗也選手、赤穂選手、大湾選手らには敗北。
年齢的にもプロで活動出来る時間は長くはないかもしれませんが、ポリスボクサーとしてアマチュアも含めこんなに長く活動してこれた事が信じられません。
継続していく中で普通は心が折れるのでは。
折れずにここまで続けれこれた杉田選手の継続の秘訣については以下の記事が参考になりました。
>>異色のポリス(警察官)ボクサー杉田ダイスケ 二刀流のコツは短期集中
新人王トーナメントで活躍松本ACEジムの二葉恒輝選手
続いてもう1人、2022年の新人王トーナメントSバンタム級で東日本の決勝に進んでいる松本ACEジムの二葉恒輝選手も警察官。
9月27日の準決勝観戦に行った際に気づきましたがトランクスには「電話でお金詐欺撲滅」の刺繍が。
二葉選手は機動力があって手数も出る毎回タフな試合を繰り広げる激闘型の選手。
東日本の決勝で対戦したJBスポーツジムの星野凌選手がフェイスオフの際に敬礼で挑発。
これに対して返した際の敬礼のキレが半端なかったです。
練習は週4日だそうで、十分には出来ていないのかもしれませんが、それにしてはスタミナが凄いボクサーです。
東日本の決勝はリアル幕之内一歩こと星野凌選手に逆転KO負けしましたが惜しい試合でした。
高校総体3連覇日大を経てポリスボクサーとなった滝沢栄吉選手
新潟の大翔ジムからまた新たなポリスボクサーが誕生しました。
(大翔ジムといえば会長はあのエドウィン・バレロとも戦った元日本ライト級王者の嶋田雄大氏。)
滝沢栄吉選手は高校時代に高校総体3連覇。
日本大学では副将も務めた実力者。
大学アマでは目立った結果は残していないかもしれませんが、案外そういう選手がプロで伸びたりもします。
警察官となったきっかけは「なくした自転車を届けてくれた女性警察官が凛としていてかっこよかったかったから。」
今度は自分がポリスボクサーとなってカッコいい姿を見せる番です!!
デビューは2024年12月頃の予定。
看護師ボクサー
ハードワークで離職率が高いと言われる看護師業界。
そのハードワークな看護師の仕事をしながらプロボクサー活動をしている選手は意外と多い。
かつて助産師ボクサーとして世界チャンピオンまで上り詰めたクイーン冨樫直美選手を筆頭に、2022年に引退されたワタナベジムの谷山佳菜子選手や、三迫ジムの前原香那枝選手も看護師ボクサーです。
元女子日本バンタム級チャンピオン谷山佳菜子選手
谷山選手はキックボクシングで活躍した後にボクシングに転向して女子日本バンタム級チャンピオンまで上り詰めました。
谷山選手の印象は笑顔が素敵で周囲を明るくする方。
ボクシングスタイルはデビュー当時はリズムの取り方がキックっぽいなと感じていましたが、キャリアを重ねるに連れてどっしりと下半身が安定してパンチ力が上がっていきました。
2022年12月に女子No.1の超個性はボクサー晝田瑞希選手とWBO世界Sフライ級のベルトを賭けて争い敗北。
晝田選手が集中力を切らさず素晴らしいボクシングをした試合でした。
谷山佳菜子選手はこの試合を最後に引退を表明。
ハードパンチャー前原香那枝選手
三迫ジム所属の前原香那枝選手はハードパンチャーで熱い試合をする選手です。
前戦はテクニシャン鵜川選手を相手に果敢に前に出てパンチを打ち込み、判定では敗れましたが鵜川選手の顔を腫らす善戦を見せました。
前原選手も元々はワタナベジム所属のボクサーでした。
冒頭の杉田選手もワタナベジム所属ですが、フルタイムで働く選手にとってワタナベジムのような遅くまで営業しているジムは競技活動と両立させやすいのでしょう。
医師ボクサー
女医ボクサー高橋怜奈選手
日本初、世界初?の女医ボクサーとして注目された選手と言えばまたまたワタナベジムの高橋怜奈選手。
ちなみに旦那さんは元日本ミドル級チャンピオンで不思議なキャラクターが魅力的な佐々木左之介選手です。
女医でありながらプロボクサーになるのも凄いし、旦那さんが佐々木左之介選手というのもまた何とも言えぬ魅力、人間力を感じます。
高橋選手の以下の取材記事でボクシングに本気で取り組んだ事が本業に与えたメリットが語られています。読んでみると「なるほどな!」っという気付きがありました。
一つの事で頭がいっぱいになると閃きもなくなるし(その逆もありますが)気持ちも疲れる。
息抜きに中途半端な事をしても切り替えが出来ず逆に苦しくなる事も。
そんな時にもう一つ夢中になれるもの、夢中にならざるを得ないものがあると嫌でも気持ちは切り替えられるものだなと。
とてもためになる記事でした。
升田ジムの医師ボクサー大川悠真選手
2021年にデビューした大川悠真選手も医師ボクサー。
升田ジムの大川悠真選手はデビューから3戦して1敗2分と勝ち星に恵まれませんでしたが、4戦目で初勝利。
2024年9月時点の戦績は2勝4敗3分。
一体どんな日常生活を送っているのか、果たして医師との両立は今後も可能なのか??
そんな気になる大川選手が愛媛テレビで紹介されました。
視聴した方の9割が感じることを先に言ってしまいます。
え、、奥さんめっちゃ綺麗じゃん。。
軽く嫉妬するかもしれませんが大川選手のことが良く分かる番組になっています。
江坂ジムの医師ボクサー中上勝一朗選手
2022年11月19日にまたしても医師ボクサーがデビューし、3度ダウンを奪う派手な試合で勝利しました。
中上選手のプロフィールを江坂ボクシングクラブ公式サイトから引用します↓
福井大学医学部医学科 2016年卒業
2016年に医師国家試験を受験し合格医師
免許証を取得
現在 大阪大学大学院医学系研究科
外科学講座 消化器外科学 下部グループ所属!
江坂ボクシングクラブ公式サイトより
この通りホンマもん。
しかも男前。
BOXING RAISEで試合を観ましたが、4Rを通して足が良く動いていました。
緊張はあったと思いますが、最後まで運動量は落ちず右の当て感がとても良かったです。
あと、映像で見ても男前でした。
中上選手は2023年の新人王トーナメントにエントリー。
初戦の相手は2022年の西日本新人王トーナメントで決勝まで進んだ白木潤太選手。
流石に厳しいと思いましたが、何とこの強敵に見事勝利そのまま勝ち上がり西日本の決勝へ。
西日本の決勝は3150ファイトクラブからプロデビューした注目のボクサーモリモでしたが、モリモの棄権で西日本新人王獲得!!
注目していたとはいえまさか優勝するとは思っていませんでした。
デビュー戦で感じた身体能力の高さは本物でした。
そして迎えた西軍代表決定戦。
対戦相手は中日本代表の藤野零大選手。
中日本の圧倒的優勝候補と予想していた犬塚音也選手に引き分け勝者扱いで勝ち上がった藤野選手はアマチュアのキャリアもあるハードパンチャー。
この超強敵を相手にした中上選手は2Rにダウンを奪う大健闘。
最後は藤野選手の強打に捕まりましたが、中上勝一朗選手はデビューから僅か1年でとんでも無く強くなりました。
学校教師ボクサー
教師でボクサーはたまに聞きますが両立は中々困難で短い期間に限定的に挑戦するケースが大半でしょうか。
しかし中には何戦も戦ってチャンピオンになってしまうような方もおります。
体育教師世界チャンピオン 奥田朋子選手
奥田朋子選手は高校の体育教師をしながらWBO女子Sフライ級の世界チャンピオンにまで昇り詰めた選手。
長身で両手をやや前に伸ばし、懐の深さを活かしたボクシングをする選手で、相性の良し悪しがものすごく出そうな選手です。
奥田選手の凄いところは31歳でプロボクサーになり、37歳で世界チャンピオンになった点。
ボクサー年齢はどんどん上がっていますが、特に女子ボクサーは定年の37歳を超えても第一線で活躍している選手が多いですね。
>>現役プロボクサーかつ高校の体育教師。 先生や仲間に支えられ夢を実現。
高校国語教師からプロになった浅井大貴選手
元全日本社会人選手権王者、近大ボクシング部監督、高校国語教師という数々の肩書きを持って31歳でプロボクサーとなり、デビュー戦で亀田京之介選手と対戦した浅井大貴選手。
デビュー戦は敗れましたが続く試合に勝利し日本ランカーに。
現在は高校教師は辞めて本格的にボクシング挑戦しているようです。
思い切った決断をした浅井選手には燃え尽きるまで悔い無く頑張って欲しい。
>>近大ボクシング部師弟コンビがB級テスト合格 高校国語教師の浅井大貴は31歳でプロに
浅井選手は近畿大学在学時にボクシング部が不祥事で廃部になるという悲劇に見舞われた選手。
>>7年ぶり1部の近大ボクシング部 廃部時に学生だった監督の思い
大工ボクサー
大工ボクサーはいそうで意外と少ない。
そして少ない大工ボクサーに共通するのがハードパンチャー。
井岡一翔選手への挑戦を最後に引退した福永亮次選手
リトルパッキャオの愛称で活躍し、井岡一翔選手への世界挑戦を最後に引退を表明した角海老宝石ジムの福永亮次選手。
Sフライ級ながら15勝のうち14勝がKOという脅威のKO率を誇る選手でした。
3150ファイトクラブからデビューの双子大工ボクサー田尻浩司選手
3150ファイトクラブからプロボクサーになった双子大工ゆーじこーじの弟田尻浩司選手は2022年10月現在1勝1KO1敗。
デビュー戦は1R開始早々にダウンを奪うも逆転KO負け。
2戦目はわずか58秒でのTKO勝利。
左フックの威力がハンパないです。
大工仕事で培った人脈で応援され、ボクシングの試合に出ることが大工の宣伝にもなり、2つの活動が良い方向に作用し合っている点が印象的な選手です。
3戦目も勝利が期待されましたが、3敗1分の嶋田選手の右クロスでダウン。
その後も劣勢で2敗目を喫しました。
嶋田選手はあれで白星がなかったのが不思議な良い選手でした。
お坊さんボクサー
最強の住職を目指す男 テンプル神原選手
リングネームのインパクト大の住職ボクサーテンプル神原選手。
僧名は神原玄裕。
これまでにも色々なバックボーンを持つボクサーは出てきましたが、お坊さんは初ではないでしょうか。
このテンプル神原選手はボクサーとしてもセンスがあり、良い所まで行きそうなポテンシャルを持っています。
特にディフェンス能力が高く、リング上を縦横無尽に動き回りながら相手がバランスを崩したところに的確なパンチを浴びせていくスタイル。
今のうちから注目しておいて損はない選手です。
弁護士ボクサー
東大卒弁護士ボクサー坂本尚志氏
既に引退している選手ではありますが、坂本尚志さんは東大卒の弁護士ボクサーとして話題になった選手でした。
このブログでちょいちょい取り上げているベジータ石川選手との対戦経験もありますし、弁護士と両立させながらプロで18戦も戦ったツワモノでした。
坂本尚志さんのボクサーと弁護士を両立させたきっかけ、やってみて良かった事、辛かった事などが語られています。
ついでにボクサーではないのですが、弁護士プロレスラーとして活動している剛馬こと川邉賢一郎さんの以下の記事も面白いです。
>>ハッキリ言って“弱い”けど…東大卒・弁護士レスラー剛馬(39)が語る〈敗北の極意〉「プロレスと裁判に共通するのは…」
弁護士って結構泥臭いんですね。
タレントボクサー
イケメンハードパンチャー山下翼選手
タレントがプロボクサーライセンスを取得するケースは稀にありますが、山下翼選手はタレント兼プロボクサーとしてリングに上がっています。
このブログでもイケメンボクサーとして紹介したことがありますが、リング上でも礼儀正しくキラキラ輝いていますが、パンチは相当ハードです。
2023年春にはドラマや映画のボクシング指導の第一人者である松浦慎一郎さんが出演する映画『有り、触れた、未来』で対戦相手のボクサー役として出演。
今後出演ドラマが増えてくると試合にも支障が出そうで、そこが悩ましいところ。
顔腫らして撮影はNGだろうしなぁ。
映画監督ボクサー
カリスマボクサー赤井英和さんの息子赤井英五郎選手
赤井英和さんの息子、赤井英五郎選手は2022年新人王トーナメントミドル級にエントリーして注目されました。
トーナメントは東日本の準決勝で敗れましたが、会場の盛り上がりは日本タイトルマッチ以上で大勢の観客が詰めかけた中の大熱戦となりました。
赤井英五郎選手は2022年新人王トーナメントの他にドキュメンタリー映画「AKAI」の監督としても注目されました。
赤井英和さんの現役時代はとにかくめちゃくちゃカリスマ。
入場シーンは鳥肌モノでした。
赤井英五郎選手は2023年度の新人王トーナメントにもエントリーし、激闘に次ぐ激闘で東日本の決勝へ進出。
東の決勝はマッチョパパ一基選手とまたまた会場大興奮の試合を見せて見事優勝。
全日本優勝も近い!!
サラリーマンボクサー
サラリーマンボクサーについては以前別立てで書いた記事がありますので以下をご参照ください。
記事中に選手達のインタビュー記事へのリンクも掲載しております。
サラリーマンボクサー情報まとめ〜正社員でも仕事と両立でプロボクサーになれる!
2024/4/27
現役選手と引退選手とに分けてサラリーマンボクサー情報をまとめました。正社員として働きながらでもプロボクサーになって競技を継続することは可能。是非サラリーマンボクサーを目指してみませんか?
消防士ボクサー
これまた公務員なので無給になると思いますが消防士として勤務しながらリングに上がる希少な選手も存在します。
消防士は勤務形態上毎日練習するのは無理だと思いますが、24時間勤務の後の時間も使って練習しているのでしょうか。想像するだけでも恐ろしい。
消防士の方々は普段自分も消防団活動でお世話になっているのですが、みんな体がゴツいです。
ナチュラルな筋肉の強さを感じます。
黒潮ジムの藤原蓮選手
まず初めに紹介するのが福永宇宙選手の活躍で注目度アップ中の黒潮ジム所属藤原蓮選手。
黒潮ジムの今日の、なんの、アレ!より
2022年7月31日のデビュー戦はダウンを奪う内容で勝利。
ボクシングにはまだ荒削り感がありますが体がゴツくてとにかく運動能力の高い選手。
この手の選手は試合になると強いんです。トンデモなく化ける可能性を秘めた選手です。
2022年12月18日の試合は医師ボクサー大川悠真選手と同じ興行のリングに上がり、なんと次戦の2023年2月26日のリングも大川選手と共演。
同じジムでもないのに面白い偶然です。
デビュー戦で中日本新人王と対戦の鈴木学選手
続いてはデビュー戦でいきなり中日本新人王の上村健太選手と対戦した西遠ジム所属の鈴木学選手。
この選手も普段は消防士として働いており、地域支援係で広報活動などを担当しているそうです。
デビュー戦は残念ながらTKOで敗れてしまいましたが、鈴木選手もまたまた体がゴツく、35歳という年齢を全く感じさせません。
年齢的にも長く競技生活は続けられないでしょうが、鈴木選手の実力ならデビュー戦やプロ1,2戦の選手になら問題なく勝てそうに思います。
終わりに
あまりに色んなジャンルで働いているボクサーがいるためやや混沌とした記事になってしまいました。
これでもまだ全然不完全だとは思いますので随時更新していく予定です。
仕事とボクシングと、両方のバランスを取りながら頑張る選手達からは学ぶものも多いし、若い人達の希望にもなる事でしょう。
インフレ、給与は上がらない、人口減、気を抜くと暗い話題に流されそうにもなりますが、こうして色んなフィールドで夢を持って生きている方々を見ると希望が湧いてきますね。
暗いニュースに流されず自分もやりたい事に積極的に挑戦し、誰かの背中を押せるような人間になりたいと思います。